小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

草食系男の恋愛(下)

2015-06-08 06:30:05 | 小説
夜になった。
「疲れちゃった。私、寝るわ」
そう言って、京子は、ツインの、一方のベッドにもぐった。
哲也も、もう一つのベッドに、もぐった。
「おやすみなさい」
京子が言った。
「おやすみなさい」
哲也が言った。
哲也は、緊張していたが、飛行機でフライト中に、あまり、眠れなかったため、いつしか、深い眠りに就いていた。

朝の光が、差し込んでくる早朝、哲也は、目を覚ました。
哲也は、吃驚した。
なんと、京子が、哲也の布団にもぐりこんでいて、からだ。
京子は、ギュッと、哲也の腕をつかんでいた。
「おはよう。哲也さん」
京子が言った。
「おはようございます」
哲也が答えた。
「夜中に目を覚まして、さみしかったから、こっちに来ちゃったの。ごめんなさい」
京子が言った。
「い、いえ」
哲也は、極力、平静を装おうとした。
「男と女が、一緒に、ハワイ旅行して、一つの部屋に泊まったのに、何もなかったって、いうの、さびしい、と思いませんか?」
京子が聞いた。
「そ、そうですね」
哲也が言った。
「じゃ、もう少し、こうしていても、いいですか?」
京子が聞いた。
「え、ええ」
哲也が答えた。
「嬉しい。哲也さん。哲也さんの体、少し、触ってもいいですか?」
京子が聞いた。
「え、ええ」
哲也は、困ったが、京子の頼みに、「嫌です」と言うことは、出来なかった。
京子の手が、哲也の体の方に伸びてきた。
吃驚したことに、京子の手は、哲也のブリーフの上から、金玉に伸びてきたのである。
「ああっ。そ、そこは・・・」
そこは止めて下さい、と、哲也は、言いたかったのだが、哲也は、京子の頼みに、「嫌です」と言うことは、出来なかった。
京子は、ふふふ、と、笑いながら、哲也の金玉を、揉んだ。
「ああ。気持ちいいわ。男の人の、金玉って、プニョプニョしてて、弾力があって、握っているだけで、気持ちいいわ」
京子は、そんなことを言った。
哲也は、うっ、うっ、と言いながら、歯を食いしばって我慢した。
だんだん、哲也の、マラが勃起してきた。
「わあ。すごい。おちんちん、が、大きく、硬くなってきたわ」
京子は、そう言って、哲也の、おちんちん、をさすり出した。
「ああっ。そ、そんなことは・・・」
そんなことは止めて下さい、と、哲也は、言いたかったが、哲也は、京子のする行為に、「嫌です」と言うことは、出来なかった。
「哲也さん。私だけ、一方的に、哲也さんの体を触って、ごめんなさい。哲也さんも、私の体を触って下さい」
京子は、そう言って、ホテルの浴衣を脱いだ。
京子の、浴衣の下は、パンティーだけだった。
「哲也さんも、浴衣を脱いで」
京子が言った。
「は、はい」
哲也は、京子に、言われて、浴衣を脱いだ。
哲也も、浴衣の下は、ブリーフだけだった。
これで、哲也は、ブリーフだけ、京子は、パンティーだけの姿になった。
哲也は、そっと、手を伸ばして、京子の体に触れた。
柔らかくて、温かくて、最高の感触だった。
哲也は、京子の体のラインを、そっと撫でた。
「哲也さん。胸でも、どこでも、触って、下さっていいのよ」
躊躇している、哲也に、京子が、言った。
哲也は、そっと、京子の、乳房に手を当てた。
「ああっ。感じる」
京子は、小さく言った。
哲也が、京子の乳房や乳首を触っているうちに、だんだん、京子の乳首が勃起してきた。
「て、哲也さん」
「は、はい」
「乳首を舐めて下さいませんか?」
京子が、大胆なことを言った。
「は、はい」
京子は、掛け布団をベッドから降ろした。
そして、ベッドの上に仰向けになった。
「さあ。やって」
「は、はい」
哲也は、京子の体の上に乗って、京子の乳房を揉んだり、乳首を口に含んだりした。
「ああっ。感じちゃう」
京子は、髪を振り乱して、言った。
哲也は、こんなことが出来る機会は、これを逃したらないと、思い、一心に、京子の乳首を舐めたり、大きな尻を触ったりした。
そして、ガッシリと、力強く、京子を抱きしめた。
「ふふふ。哲也さん。何だか、私たち、ハネムーンみたいね」
と、京子は、悪戯っぽい口調で言った。
「でも、嬉しいわ。これで、旅行が、ロマンティックな思い出になったわ」
と京子が言った。
「僕も、そうです」
と哲也も言った。
「あの。哲也さん。この旅行のことは、帰国したら、夢だったと思うことにしませんか?」
と京子が言った。
「ええ。そうしましょう」
と哲也も同意した。
哲也は、何もかも忘れて、京子を抱きしめた。
とても心地よかった。
哲也は、出来ることなら、ずっと、こうして、いたかった。

時計を見ると、7時になっていた。
一泊二日の旅行なので、今日が帰国日である。
しかし一泊二日といっても、二人は、もう十分、ハワイを満喫した。
9時に、ホノルル空港行きの、JTBのバスに乗るために、ハイアット・リージェント・ホテルの前に集合しなくてはならない。
「京子さん。そろそろ、出発の準備をしましょう」
哲也が言った。
「ええ」
と京子も答えた。
二人は、ベッドを出た。
そして、服を着て、荷物をまとめた。
二人は、昨日、ABCストアーで、買っておいた、耳つきの、BLTサンドイッチと、紅茶を食べて、飲んだ。

そして、二人は、ホテルをチェックアウトして、ハイアット・リージェント・ホテルの前に行った。
帰りのフライトは、行きと違って、少し、さびしかった。
しかし、ともかく、こうして、二人のハワイ旅行は、無事に終わった。

単調な、いつもの生活にもどった。
ハワイから、帰ってきて、最初の昼休み。
哲也は、ウキウキして、京子の所に、弁当を貰いに行った。
「京子さん。お弁当、下さい」
と哲也は、言った。
しかし、京子は、
「ごめんなさい。お弁当は、作ってきませんでした」
と、そっけなく言った。
「そうですか。わかりました」
と言って、哲也は、近くの、コンビニに行って、コンビニ弁当を買って食べた。
しかし、それなら、どうして、携帯で、あらかじめ、教えて、くれなかったのだろうと、思ったが、まあ、こういうことも、あるものだ、と哲也は、気にしなかった。

しかし、京子は、次の日も、その、次の日も、弁当を持って来てくれなかった。
哲也が、わけを聞くと、
「ごめんなさい。哲也さん。ちょっと、わけがあって、哲也さんの、お弁当は、作れなくなって、しまいました。ごめんなさい」
と、京子は言った。
哲也は、残念に思ったが、女心と秋の空、というように、女は、何か、ちょっとしたことで、気分が変わることが、あるので、仕方ないな、と思って、あきらめた。

しかし、京子の、哲也に対する態度の変化は、弁当だけでは、なかった。
ハワイから、帰国してから、京子は、哲也を、夕食に誘うこともなくなった。
しかし、京子には、哲也を嫌っている様子もない。
京子の、哲也に対する、気持ちに、何か、微妙な、変化が起こったのだろうと、哲也は、思ったが、哲也は、京子に嫌われたくないので、問い詰めることは、しなかった。
哲也は、また、孤独になってしまった。

京子が、昼休み、皆と、楽しそうに、バレーボールを、している姿を、見ると、哲也に、複雑な感情が起こった。
それは、京子と親しくなる前の、京子に対する感情である。
京子の、天真爛漫な笑顔は、まさに天女であり、女神であり、崇拝の対象だった。
天女が笑顔で、バレーボールをしている姿は、無上に魅力的だった。
まあ、きっと、いつか、京子も、気が変わって、また、付き合ってくれるだろうと、哲也は、思った。

哲也は、ハワイで、京子の、ビキニ姿を見た。
ベッドで、ペッティングまでした。
京子の、体に、触れたのだ、と哲也は、無理に自分に言い聞かせた。

哲也は、夜、ベッドに就くと、京子のビキニ姿や、京子とペッティングした事が思い出されてきた。
人間は、絶えず、時間と共に進行し、現在の一瞬だけを生きているから、現在の、その人が、紛れもない、その人であって、過去のその人は、もはや、存在しないのである。
京子との、二人のハワイ旅行は、もはや、思い出、という、過去の記憶に変わっていた。
現在の京子は、といえば、悩ましい制服を着た、手の届かない、悩ましい美人社員なのである。
だんだん、その思い出に浸っているうちに、哲也は、興奮してきて、オナニーするようになった。
もっと、ハワイでの、ペッティングの時は、京子のパンティーの中に、手を入れたり、さらには、パンティーを脱がしてしまっても、よかったと、哲也は、後悔した。
自分は、女に消極的すぎたのだ。あの時なら、京子のパンティーの中に、手を入れても、京子は、何とも言わなかっただろう。
哲也は、それを、後悔すると、同時に、想像で、京子のパンティーを脱がし、激しい、ペッティングをしている場面を想像した。
それによって、哲也は、激しい興奮と、ともに、大量の精液を放出した。

会社での京子の態度は、変わらない。
京子は、哲也を、避けている、とか、嫌っているような、態度は、とらない。
しかし、以前のように、特別、親しく話しかけてくることもない。

哲也は、悩まされ、毎日、オナニーをするようになってしまった。

とうとう、哲也は、我慢できなくなり、ある日、京子に、ダメで、元々、の覚悟で、京子に話しかけてみた。
「京子さん。今日、久しぶりに、京子さんの、アパートに行っても、いいでしょうか?」
と哲也は、勇気を出して聞いてみた。
すると、京子は、以外にも、あっさりと、
「ええ。いいです」
と答えた。
哲也は、京子の、予想外の返事に、驚くと同時に、飛び上がらんばかりに、狂喜した。
女は、何を考えているのか、わからないものだな、と哲也は、思った。

その日、会社が終わると、二人は、電車に乗って、京子の、アパートに行った。
久しぶりだった。
京子の、心がわからないので、哲也は、電車の中で、京子に話しかけなかった。
京子のアパートに着いた。
京子は、以前と、同じように、哲也に、料理を作って、出してくれた。
「ありがとう」
と言った。
京子は、哲也と、一緒に、晩御飯を食べた。
食事が終わった後。
哲也は、
「京子さん。また、護身術の練習をしてみませんか?」
と勇気を出して聞いてみた。
京子は、以外にも、
「はい」
と答えた。
哲也は、京子の、予想外の返事に、驚くと同時に、飛び上がらんばかりに、狂喜した。
女は、何を考えているのか、わからないものだな、と哲也は、思った。
「さあ。京子さん。立って下さい」
哲也が、言うと、京子は、スクッと立ち上がった。
久しぶりに、京子を触れる、機会である。
この次、いつ、京子を、触れるか、わからない。
そう思うと、哲也は、今回は、たっぷりと、京子を弄んでやろうと、思った。
「京子さん。今日は、あなたのような、きれいな女の人の家に、強盗が入った時に、実際に、どうするかを、想定して、実践的にやりたいと思います。いいですか?」
哲也が聞いた。
「は、はい」
京子は、素直に返事した。
哲也は、ナイフを取り出した。
「さあ。着ている物を、全部、脱いで、裸になって下さい。きれいな、女の人は、痴漢に襲われた時のために、そなえて、合気道的な、護身術を、身につけている場合が、かなりあります。しかも、非常事態ですから、火事場のバカ力が出ますから、女といっても、あなどれません。だから、実践では、男は、いきなり、女の人に、抱きつこうとは、しません。関節を取られて、格闘になったり、悪い場合には、取り押さえられたりしてしまうことも、あり得ます。それに、防犯ブザーや、ナイフや、シャープペンなどの、尖った物を、服の中に、隠し持っている場合もあります。特に、最近は、小型の防犯用品が、たくさん、売られていますから、なおさらです。だから、女の人を、襲う場合、距離をとって、ナイフで、脅して、まず、丸裸にするものです」
と、哲也は、もっともらしく、説明した。
「は、はい」
今日は素直に返事して、服を脱ぎ出した。
ブラウスを脱ぎ、スカートを脱ぎ、そして、ブラジャーを外し、パンティーを、脱いで、一糸まとわぬ丸裸になった。
京子は、恥ずかしそうに、ボッティチェリのビーナスの誕生のように、片手で、乳房を隠し、片手で、女の恥部を隠した。
哲也は、京子の服を、自分の方に、引き寄せた。
そして、念入りに、京子の、服を調べた後、おもむろに、
「ふむ。凶器になるような、物は、ないですね」
と、哲也は、もっともらしく言った。
「さあ。両手を後ろに回して、背中で、手首を重ね合せて下さい」
哲也が命令的に言った。
「は、はい」
京子は、哲也に命じられたように、両手を後ろに回して、背中で、手首を重ね合せた。
哲也は、重ね合った、京子の、手首を、縄で縛った。
「女性が、関節の逆とり、や、肘鉄砲などで、抵抗しないよう、プロの強盗は、女に命じて、自分で、両手を後ろに回さしてから、縛るものです」
と、哲也は、もっともらしく、説明した。
「さあ。床に仰向けに寝て下さい」
哲也は、次に、京子に、そう命じた。
京子は、哲也に、言われたように、後ろ手に縛られたまま、床に仰向けに寝た。
「そう。それで、いいんです」
哲也は、そう言って、京子に抱きついた。
そして、京子の髪を優しく撫でた後、首筋、に優しくキスしたり、乳房を、優しく揉んだり、乳首を、つまんで、コリコリさせたり、口に含んで、舌で、転がしたりした。
「ああー」
京子は、喘ぎ声を上げた。
京子の乳首が、だんだん、尖っていった。
哲也は、京子の、女の穴に、指を入れて、Gスポットを、探り当て、ゆっくりと、そこを刺激した。
もう片方の手で、京子の乳房を揉んだり、乳首を、コリコリさせながら。
「ああー」
京子は、また、喘ぎ声を上げた。
京子のアソコが、クチャクチャと音を出し始め、トロリとした、愛液が出始めた。
哲也は、女の穴に、入れた指を、ゆっくりと、指を、前後に、動かし出した。
「ああー」
京子は、悲鳴を上げた。
京子の、アソコは、クチャクチャと、音を立てている。
そして、京子のアソコから、粘稠な、白濁液が、ドロドロと、出てきた。
哲也は、その間も、あいかわらず、京子の顔を上から覗き込みながら、乳房を揉んだり、乳首を、コリコリさせた。
哲也は、指の振動を、いっそう、激しく、速めた。
「ああー。いくー」
「ああー。出ちゃうー」
京子が悲鳴にも近い声で叫んだ。
哲也は、サッと、京子の、女の穴に入れていた、指を抜いた。
京子のアソコから、激しく、潮が吹き出した。
それは、放射状に、何度も、大量に放出された。
京子は、しばし、ガクガクと、全身を痙攣させていた。
「京子さんの、潮吹き、って、凄いですね」
と、哲也は言った。
「ふふふ。京子さん。女の家に入った強盗は、決して、荒々しく、乱暴に、女を犯したりは、しません。極力、女を、優しく扱います。拉致したり、人質にしたりしたら、犯人と、被害者という関係でも、話をして、一緒に過ごしているうちに、一種の、特殊な人間関係が、出来ます。これを、ストックホルム症候群、といって、これを良好な関係にしておくことが大切なのです。犯罪を成功させるために」
と、哲也は、もっともらしく、言った。
「では、京子さん。立って下さい」
と、哲也が言った。京子は、
「はい」
と言って、後ろ手に縛られた、素っ裸のまま、立ち上がった。
京子は、後ろ手に縛られて、素っ裸、で、今度は、何をされるのかと、オドオドしている。
後ろ手に縛られているため、胸と恥部を隠すことが出来ないので、京子は、恥ずかしそうに、体をモジモジさせている。
「京子さん。動いちゃダメですよ」
哲也は、そう言ってから、ズボンの、ベルトを、引き抜いて、京子の、豊満な、柔らかい尻を、思い切り、ビシーンと、鞭打った。
「ああー」
京子は、今度は、苦痛の悲鳴を上げた。
尻が、ピクピク震えている。
「京子さん。絶対、動いちゃダメですよ」
そう言って、哲也は、立て続けに、京子の尻を鞭打った。
ビシーン。ビシーン。ビシーン。
「ああー。許して―」
京子は、何度も、叫び声を、張り上げた。
ある程度、鞭打ったところで、哲也は、鞭打ち、を、やめた。
京子の尻には、赤い線が、鞭打たれた所に出来ていた。
「さあ。京子さん。今度は、うつ伏せに、寝て下さい」
哲也が命じた。京子は、
「はい」
と言って、床に、うつ伏せに寝た。
「痛かったでしょう。ごめんなさい」
哲也は、そう言って、京子の、後ろ手の縄を解いた。
そして、濡れたタオルを持って来て、京子の尻を、丁寧に、拭いた。
そして、京子の尻に、優しくチュッ、チュッと、キスをした。
「京子さん。拉致犯人は、こうやって、つかまえた女を、一度は、意地悪く、いたぶる、ことも、しておくものです。優しいだけではなく、いうことを聞かなかったら、こういう目にあわすぞ、ということを、わからせて、おくためです。つまり、ビスマルクのアメとムチの政策です」
と、哲也は、もっともらしく言った。
哲也は、うつ伏せの、京子を、丁寧に、優しく、マッサージして、全身を揉みほぐした。
時計を見ると、もう、終電ちかい時刻だった。
「京子さん。もう、終電が近いので、終わりにしましょう。僕は、帰ります」
哲也は、そう言って、京子に、パンティーを、履かせ、ブラジャーをつけた。
京子は、疲れ果てた様子で、グッタリしていて、哲也のなすがままに、されていた。
哲也は、さらに、京子に、ブラウスと、スカートを着せた。
京子は、まるで、着せ替え人形のようだった。

「京子さん。今日は、鞭打ったりして、ごめんなさい」
そう言って、哲也が去ろうとした時である。
「待って。哲也さん」
京子が呼び止めた。
「はい。何でしょうか?」
「哲也さん。気持ちよかったですか?」
京子が聞いた。
「はっ?」
哲也には、京子の質問の意図が、わからなくて、何と答えていいか、わからなかった。
「私は、すごく、気持ちよかったです」
京子は、ニコッと笑って言った。
「はっ?」
哲也には、京子の態度が、どうして急変したのか、わからなかった。
「今まで、冷たくして、ごめんなさい」
京子は、深々と頭を下げて謝った。
「どういうこと、なんでしょうか?」
哲也は、わけが、わからなくて、遠慮がちに聞いた。
「私の計画を正直に話します」
そう言って、京子は、語り出した。
「哲也さん。今まで、つめたくして、ごめんなさい。正直に白状します。私は、哲也さんと、ハワイで、ペッティングしましまた。私は、その後、哲也さんの気持ちが、ほぐれて、私に対する気持ちに、緊張感がなくなって、惰性的になって、しまうのを、怖れたんです。男と女の関係は、言いたいのに、言い出せない、ためらい、の気持ちがある方が、緊張感があって、良いと私は思っているのです。そうすれば、いつも、新鮮な気持ちでいられます。芸能人でも、一般の人でも、離婚してしまうのは、相手に対する、遠慮がなくなって、惰性になってしまうからです。どんなに、魅力的に見える相手でも、惰性で、馴れ合いになってしまって、相手に、遠慮する気持ちがなくなって、しまうと、厭き、が、起こります。私は、それが、嫌だったんです。私は、哲也さんとは、いつまでも、新鮮な関係でいたかったんです。それと、哲也さんに、犬の、おあずけ、のようなことをして、優越感に浸りたかったんです。いつまでも、哲也さんの、憧れの女でいたかったんです。それと、一度、哲也さんを、怒らせて、本当に虐められてみたかったんです。それと、哲也さんの意志で、愛撫されたかったんです。今まで、つめたくして、ごめんなさい」
京子は、穏やかな口調で語った。
哲也は、ほっと、溜め息をついた。
「そうだったんですか。京子さんが、そんな、計算をしていたとは、知りませんでした。僕は、まんまと、京子さんの、計画に、はまってしまっていたんですね。でも、京子さんの気持ちを知れて、僕も、安心しました」
哲也は、言った。
「でも、もう、タネあかしを、してしまいましたから、これからは、哲也さんを、悩ませることは、出来ませんね」
京子は、残念そうな口調で言った。
「いえ。そんなことは、ありませんよ」
哲也は、咄嗟に否定した。
「僕も、本心を言います。さっき、京子さんを、鞭打ってる時、僕は、サディストになりきっていました。苦痛に、悲鳴を上げる京子さんは、たまらなく、美しく、愛おしかったでした。また、京子さんを、触れるのは、今度は、いつになるのか、わからない。もしかすると、もう一生、触れないかもしれない、これが最後の期会かもしれないと、思っていたので、思う存分、夢中で京子さんを、弄んでいました。僕が、本当の強盗なら、こうしますよ、と言っていたのは、ウソです。本当の強盗なら、こうする。という口実で、僕は、京子さんを、弄び尽くしていたのです」
哲也は、そう言ってから、さらに、もう一言、つけ加えた。
「でも、京子さんの考えも、もっともです。恋愛も、馴れ合いになってしまうと、新鮮さ、が、なくなってしまいます。ですから、これからも、距離をおいて、下さって、一向に、構いません」
「嬉しい。きっと、哲也さんは、そう言ってくれると、思っていました。では、昼の、お弁当は、私の気の向いた時に、作ることにします。私のアパートに来ることも、私の気の向いた時に、呼ぶようにします。それで、いいでしょうか?」
京子が聞いた。
「ええ。もちろん、構いません」
哲也が答えた。
「ところで、京子さんは、僕が、ハワイや、それまで、京子さんに、遠慮していたのが、物足りなかったのですね?」
哲也が聞いた。
「え、ええ。そうです。哲也さんの、遠慮した、思い遣りのある、態度も、嬉しかったんですけれど、ちょっと、あまりにも、煮え切らない態度に、満足感を得られなくて、もっと、能動的に、責めて欲しいとも、思っていました。普通、ハワイの時のように、男と女が、一つの部屋で、寝たら、草食系の男の人でも、女に抱きついてきますよ。そんなことをしないのは、哲也さんくらいですよ。でも、そういう超草食系男子の性格だから、私は、哲也さんが、好きなんです」
京子は、さらに、続けて言った。
「女は貞淑などと、思っている男の人も、多いかもしれません。確かに、女は、男の人のように、いつも、発情は、していません。しかし、女は、いったん、性欲の火がつくと、女は男、以上に、物凄く、淫乱になってしまうんです。動物の、発情期と似ていますね」
と、京子が自嘲的に言った。
「そうですか。それなら、今度、その気になって、僕を呼んでくれたなら、その時には、僕は、本気で、思い切り、京子さんを責めます。僕は、京子さんに、嫌われたくないので、今まで、消極的に振舞っていましたが、僕の心にも、女の人を、徹底的に、弄びたい欲求は、あります。ただ、京子さんに、嫌われたくない一心で、僕の中の肉食系男子の、野獣を飼い慣らしていただけです」
哲也は、そう言った。
「そうですか。本気になった、哲也さんが、どうなるのか、わからなくて、ちょっと、こわいですけれど、もう、すでに、私は、そのスリルに、ゾクゾクしています」
と、京子は言った。

平成27年6月5日(金)擱筆


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