娑婆世界 再考

仏教ではこの世界を娑婆世界と、言っています。

娑婆世界というのは、【絶対に自分の思い通りにならない世界】です。

その娑婆世界という器の中で、私達衆生は悟りだ、迷いだ、煩悩だ、不安だと、様々の上で生活させてもらっている訳です。



一人一人の顔が違うように、それぞれ違った考えや思想を持っているため「差別 (さべつ)」や「平等」という制約された中で、生活をせざるを得ません。

目醒めた人でも同じです。

目醒めた人に成れば何でも出来る、何をしても許されるという事ではありません。



目醒めるとは、邪魔にしていたものが一切消えてなくなる事です。

人は誰でも目醒める力を持っていますが、自分がただそれを知らないだけなのです。

だから、気が付けばそれで終わりで、新しいものをつかむ必要もないし、今まで邪魔にしていたものを外へ投げ出す必要もありません。



制約というのは他から与えられたものです。

それを受け取った自分が差別(さべつ) や平等の意識を起こしてしまうだけで、物には差別 (さべつ) とか、平等という事はありません。



私達衆生は、自分が認めたものによって様々な考えを起こして、その考えを自分自身ではどうしても処理する事が出来ないのです。

自分自身で苦しみや悩みの風を起こしておきながら、他からの縁によって自分が苦しめられているのだ、という考えから離れる事が出来ないのです。



幸い仏教では「無常」という事を示しております。

どんなに日本の文化が変化し、仮になくなったとしても「法 (道) そのもの」は、なくなりません。

何故ならば、「なくなるという事自体が法 (道) そのもの」だからです。

ですから、「なくなり様がない」 訳です。

それがおシャカ様の教え、目醒めた人の教えなのです。


特に私達宗教者は、洋の東西を問わず、どうしても、「この法 (道)」を広めていかなければならないのです。