活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

無常な世の中

2015年07月12日 | 法理
この世の中でも、自分の事でも、定める事は出来ません。

一般に、浮き世のならいといいますが、世の中はどんどん変化して定めの無いものだという事は、よく分かっているのです。

分かっているのに、ひとたび逆境にあうと悲嘆のあまり自分の命を絶つような事があります。

それは「ひと時も同じではない」という事が本当に分かっていないために、それに従っていけないからなのです。


自分の心は本当にあてになりません。

今、こういう事を考えたかと思うと、次の瞬間には変わっています。

「心というのは、コロコロと転げ回るものだ」と、言っている人がいますが、全くその通りです。


特に気を付けなければならないのは、善い条件の時のみに「自己の正体を見極められる」と、考える人が非常に多いのです。

これはプラスの時もマイナスの時も全く一つです。

マイナス面の時には、何時も考えが出てしまって、「もとに戻ろう、戻ろう」という努力を懸命にする人がいますがそうではありません。

【マイナス面はマイナスのまま】、それが “事実” です。


決してプラスの時ばかりが、善い条件という事ではありません。

順境、逆境ともに「自己の正体を見極められる」という事ですから、悪いことだからといって投げ捨ててしまって、善い方にだけに方向付けする必要は全くありません。


決して「プラスの面だけが修行 (今の事実に徹する) が進んでいる」なんて事を思わないで頂きたいと思います。

私達衆生の日常生活は、「法 (道)」の働きだという事を、よく理解しておいて頂きたいと思います。



ですから、損をしても得をしても、プラス面があってもマイナス面があっても、それは「法 (道) の働き」であるという事です。