サッポロで走ってる

札幌と近郊のマラソン大会に参加してます。マラソン完走記以外にも旅行記など気の向くままに書き続けています。

2023 100㎞歩こうよ大会 摩周・屈斜路 完歩記4

2023-07-02 | 完走記
7月1日(土)
22:00 第五チェックポイント
レラ摩周 77.7km地点(区間距離9.9km)
夜間歩行に協力していただいた夫婦にお礼し、この後の摩周湖の道のりはついていけないことを正直に伝える。
温かいコーンスープを頂いて椅子に座って一息つく。離されないようについていった結果、脚が筋肉疲労でバキバキだ。やべー。
横風に心折られながら考えていたのは、残りのシップをどこに貼るということ。もっとも痛みがある両膝にはすでに貼っている。あとは両ふくらはぎ、両前腿、両裏腿の6か所の候補に対してシップは4枚。このチェックポイントの後は摩周湖の急な上りと下り。坂道で使う筋肉はふくらはぎと前腿。特に下りは苦手なので前腿重視。裏腿はマラソンで鍛えられているのと、上りが得意であることを信じるしかない。カッパとジャージを脱ぎシップをふくらはぎと前腿に貼る。こんなことをしていたら後続の人たちもチェックポイントに到着してきた。滅茶滅茶横風寒かったですよねー、次から上りですねなど話す。前半とは違い、80km近く歩いてきた大変さをお互いに知っているので距離感も縮まっている。
この後はゆっくり確実に進む作戦に変更したので、ゆっくり歩きたい方々に声をかけて5名の夜間歩行のグループを結成。
ここでは45分ぐらい休んでいたようで、チェックポイントの中で一番長居した。

5名いればペースに差があっても単独になることはないですねなど話をしていたら、最初の500mも行かないうちに2名と3名に分かれた。私と一緒になったSさんは、屈斜路湖畔沿いで私を見かけていて、私のことを同じぐらいのペースだなと思っていたそう。3名とは徐々に離れていく。
摩周の上りが始まった。強風に加えて、霧で視界も悪くなる。時々霧雨が強く吹きつけてくる。これは3名を待っている余裕はないということで、私とSさんは自分たちのペースで進む。
お互いこの大会の参加は初めてであることや、マラソンをしていること、サロマ湖100kmマラソンを完走していることなど共通点が多い。年齢も近く、加齢による体のガタの話題でも話が続く。Sさんのほうが7歳年上だが、本州のウルトラ(マラソン/ウォーキング)の大会に参加していたりと精力的。一方私は、いい加減マラソンの練習がつらくなってきたので走るのやめようかなと思っていたところで、切り替えてウォーキングの大会に参加したことなど話す。
急なカーブは勾配がきつく進むペースも遅くなる。カーブを抜けるたびに第一展望台が見えるのかなと期待しては、到着しないことに心削られながら、ひたすら進んでいく。それでもSさんとの会話は続く。お互い疲労困憊なのに話すことをやめない。話すことで強風と霧雨と寒さから気を紛らわしている。
次のチェックポイントまでは5.7km。もうそろそろ到着するんじゃないのか?いくつかカーブを上ったところで、霧の中、遠くに満月のような明かりが見える。こんなに天気が悪いのに満月と思ったら、チェックポイントの目印のバルーンライトだった。やっと着いたか。すでに0時を過ぎていた。


7月2日(日)
0:15 第六チェックポイント
摩周第一展望台 83.4km地点(区間距離5.7km)
テントの中に入り、スタッフが用意してくれたカニ汁で温まる。一息付ける。私はここで少し休む気になっていたが、Sさんがあっさりしている。15分ぐらい休んだところで出発。
どうやらSさんも休みたかったのは同じだが、長居すると外の寒さに耐えられなくなりそうで、一気に摩周湖の区間を通過したい考えでした。それは同感で、Sさんにリードしてもらい助かりました。
とにかくこの区間は装備がものをいう。雨対策、風対策、寒さ対策すべてが必要。私はヒートテックにパーカーにポンチョにウインドブレーカーを着て、冬用の手袋と、カッパのズボンなので万全。Sさんは100均のカッパとポンチョなので寒さがつらそう。
一気にこの区間を終わらせたいが、霧でヘッドライトが遠くまで届かないので先が見通せない。足元を見ながら黙々と歩く。
さすがに霧雨でもシューズが濡れて足先の靴下まで濡れてきた。
途中小さな二つの光を見つける。キツネだろう。Sさんも気づいたようだ。出会った動物はこれだけ。次は第三展望台で5.1kmだがなかなかつかない。展望台がありそうな道路に着いたと思ったけど違った。そろそろ着いてもおかしくないですかねなど話しながら、ようやくバルーンライトの明かりが見えた。

1:40 第七チェックポイント
摩周第三展望台 88.5km地点(区間距離5.1km)
コーンスープを頂いて温まる。ここでの休憩は10分だった。お互いに気持ちは一致している、一気に摩周の霧と強風を抜けよう!

後は下って国道に出るだけ。下りは苦手で脚はボロボロなのでどうなることかと思ったが、シップが効いている。きっと痛いし攣りそうなのに下れる。ただ、脚の裏だけは痛い。目を閉じたら一瞬で寝そうなのに、この一歩ごとの痛みがあるおかげで眠くならなかった。気が付いたらウォーカーズハイになっていた。どんどん下っていく。Sさんから少しペースを落としていただけると助かると声をかけられて気づいた。痛みを感じないうちに行けるところまで行こうとしていた。よくない。Sさんは辛そうだ。鼻をすすったり、喘いだり、幻覚が見えるなど言っている。一方私は結婚してから徹夜したことないしその前も含めると20年以上は徹夜した記憶が無いし、普段は22時ぐらいに寝るのに、バッキバキに冴えている。前ははっきり見えるので幻覚はでてこない。なんだこの超人的な感覚。今までに経験したことのない感覚だ。しいて言うなら道マラでサブスリーを達成したときのランナーズハイに近い。今回はそれに徹夜が加わっている。
下りでもカーブがいくつかあり、このカーブを抜ければと思いながら進む。風がやむ区間が増え、霧も少なくなってきた。ただ、また強風と霧雨に戻ったりして一筋縄ではいかない。
途中路側帯が5cm削れて窪んでいるところに右脚をとられて下りで前につんのめった。やばい!あっという間に体が前に持っていかれる。が、下り坂を3歩で踏みとどまった。信じられない。ハイになって集中力が欠けていたのはある。段差に気づいた時にはつんのめっていたので、よく転ばなかったと思う。90km以上歩いてきてここで転んだら、どうなっていたことか。とにかく、助かったし、踏ん張っても脚は攣らなかった。シップのおかげかな。
ウォーカーズハイが途切れると脚の痛みを感じるようになる。苦しいし、喘いでしまう。このままこの痛みが続くのかと思いながら進むとまたハイになれた。ラッキー。
下りの急カーブはどうやら終わったようで、気が付いたら風も穏やかになっていた。Sさんから気づきました?と声をかけられた。どうやら、摩周湖の強風霧雨アップダウン区間を抜けたようだ。あとはこのまま進んで国道に出るだけ。国道に出れば川湯の温泉街は近い。が、一向に国道につかない。あとで気づいたが、観光で車で通過したときは、摩周の下りの後に国道に出るまではすぐに感じたが歩くと長い。Sさんはまた幻覚が見えるなど言っている。
空が明るくなってきた。暗いうちにゴールしちゃうんですかねなど話をしていたが、そんなに早くに到達できるわけがない。何の鳥かわからないが、鳴き声が聞こえて朝の挨拶に感じた。もうヘッドライトと懐中電灯は必要ないくらい明けてきた。ここまでくるとゴールできそうな期待が高まる。摩周湖前のチェックポイントで絶望と覚悟した天候と比べたら、なんてすがすがしい朝だろう。
国道391号線が見えた。道路を横断し、右に曲がり川湯温泉駅に向かう。

3:45 第八チェックポイント
川湯駅前交流センター 97.3km地点(区間距離8.8km)
スタッフの方にゼッケンを確認してもらい、中に入る。ストーブが温かい。山わさび入りのおにぎりを食べるが、徹夜した体には刺激が強すぎた。鼻にツーンときて、涙が出た。ここでは摩周湖の区間を一気に乗り切った余韻に浸っていたのかもしれない。ここで初めて足裏にまめができていることに気づく。濡れた靴下での摩周の下りだろう。体力的にきついと感じないというか感じれていない。25分ほど休憩していた。

残りは3kmちょっと。硫黄山から川湯に戻るルート。ここでまた、左脚がアスファルトに躓き前に転びそうになる。が、再び踏みとどまる。そんな体力はないのに、すごい。Sさんからは左右でバランス取れましたねなど冗談も聞かれる。彼もだいぶ回復したようだ。ここまでくれば急いで歩く必要はない。つらくない程度にゆっくり歩く。ただ、Sさんがここまできて24時間切りそうだったら、最後は頑張りましょうと言われたので、ちょっとだけペースアップ。時間を見たら余裕はありそうだ。
昨日の朝、雨の中、硫黄山の横を通過したときは100kmも歩けるのか不安でしたが、一夜明けて同じ道を歩くと、すがすがしい気持ちで歩けました。ヴィクトリーロードですねなどいいながら進む。大鵬記念館とセイコーマートマートが見えた。左に曲がり川湯ふるさと館に向かう。

4:50 ゴール
川湯ふるさと館 100.9km(区間距離3.6km)
23時間50分でゴール!スタッフに迎えられて中で記念撮影。記録賞を受けとり、蛍光タスキを返却する。
荷物を受けとり、まずは汗を流したいので、チケットを購入し道路向かいの欣喜湯へ。
一日中帽子をかぶっていたので、髪がなかなか泡立たない。体も洗って、下の温泉に行くために階段を降りる。手すりに摑まれば階段は大丈夫そう。温泉に浸かると気持ちいい!疲れが取れる気がする。

汗だくの服はリュックにしまい、帰りの服装に着替えて、再度ふるさと館へ。SさんもJRで釧路まで行くので、バスの時間(8:02)まで過ごす。Sさんはマットに横になったらすぐに寝たようだ。私はカップラーメンを頂き、椅子で少し仮眠。

その後も参加者がゴールしてくる。摩周湖の前でグループになった後分かれた3名は7:00にゴールした。道中の苦労話などして、バスの時間になったので、ふるさと館を出る。
郵便局前からバスに乗り川湯温泉駅へ。つい数時間前にはここのチェックポイントにいたななど思う。

8:18 釧路行きの1両車両に乗る。相席だが幸いにも座ることができた。途中ウトウトしながら1時間半で釧路に到着(10:55ごろ)。
ゴールに向かっている途中Sさんに何度も伝えているが、「一緒に夜間歩いていなければゴールできませんでした。ありがとうございました。」と感謝を伝え、最後に握手。みどりの窓口で特急の切符を購入したところでお別れ。札幌の大会にも参加しているようなので、どこかで会うかもしれないな。

11:23 特急おおぞらで札幌に向かう。
途中爆睡していた。

15:40 札幌駅到着
地下鉄に乗り、妻に地下鉄の駅まで迎えに来てもらう。

濃い土日が終わった。やっと休める。

18時に就寝。次の日の朝まで爆睡だった。

途中リタイアを覚悟しましたが、信じられないような力が出て完歩することができました。
北海道を歩こう33kmと千歳JALマラソン(フル)が雨でしたが、雨でよかった。おかげで、雨の日の対策ができた。
道中色々な方に声をかけていただき助かりました。一人では乗り越えられなかった区間がありました。
大会を徹夜で運営していたスタッフの皆さん、ありがとうございました。とてもいい経験ができました。
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