柳川先生のリサイタル

2017-12-03 22:27:23 | Weblog
軽井沢大賀ホールにて恒例の柳川先生のピアノリサイタルがあった。なんと85歳の独奏会である。曲はバッハ・ブゾーニのシャコンヌ。シューマン子供の情景、ショパン24のプレリュードである。例年より若干軽めのプログラムだが、およそ85歳が弾くプログラムとはとても思えない。それぞれデビュー当時からのレパートリーで、先生のお得意な作品だ。感想を一言でいうなら、本当に立派な演奏会だった。シャコンヌは男性的でシャープな演奏。難所でテンポを緩めるどころか、一気に畳み掛ける。まさしくドラマチックな展開であった。子供の情景は、一転して潤いのある詩的な演奏。またショパンは、万華鏡のようにいろいろな歌が様々なタッチで弾き分けられた。全て85歳とは思えないみずみずしい潤いのある音色であった。(年齢が高くなると乾いてスカスカな音色になる人が多いが・・)お客様は、柳川先生の芸術を心ゆくまで堪能できたことと思う。先生のピアノは、いつも作品に対して一期一会の勝負をかける。その姿勢は、潔いという爽快感をもたらす。時にはおやっ!という弾き損じもあるが、ご自身の信ずる音楽を確信をもって披露される。その入魂の響きには全くもって脱帽であった。本当に現代のピアニストとしては稀有な存在だ。