ユジャワン・ピアノリサイタル

2016-09-18 11:59:26 | Weblog
先週、話題のユジャワン・ピアノリサイタルに出かけた。カリスマ美人ピアニストとして、世界中で演奏会を開いている。当日発表の演奏曲目。クライスレリアーナ、カプースチン変奏曲、スクリアービン4番ソナタ、ハンマークラフィア。アンコールは戦争ソナタ3楽章、ホロビッツ・カルメン幻想曲、ラフマニノフ・エレジー、バラ1、ワルツ7番。2階席まで十分に届く骨太な音。抜群の切れ味のテクニック。その一方で、ピアニシモの響きのコントロールが見事だった。一番感心したのがハンマークラフィア。この45分の長大なソナタ。ともすれば緩慢で退屈な曲となってしまうが、現代の斬新な視点からのアプローチ。4楽章を通して素晴らしい物語となっていた。もっとも、ドイツの伝統的な解釈とは隔たりがある。テンポの取り方、和音の浮き立たせ方、アクセントなど、どれも目新しい。でもあれはあれでいい、と思った。やさしいワルツ7番でも、よく聴けば聴くほど芸は細かい所がある。深刻でメッセージ性のある音色とは無縁。聴き手を心地よく、ドラマチックな世界に導き入れる、新しいタイプのピアニストだった。これからのスケジュールを見ると、全世界にまたがった公演が控えている。現代の新人類のピアノ演奏を楽しんだという感じだ。