若林顕ピアノリサイタル

2016-01-18 17:04:13 | Weblog
若林顕さんのリサイタルに家族で出かけた。上越文化会館まで。彼の演奏は10年ぶりである。前回はリスト編曲の「第九」だった。その時、次の公演を心待ちにしていたのだ。今回は、ラフマニノフの「コレルリの~」、ショパンの作品25のエチュード全曲、ベートーベンの「ハンマークラフィア」ソナタ。全てピアノ曲史上、究極の作品で占められている。若林さんのピアノはとにかく音がきれい。磨き抜かれたピアニシモには、息をのむほど惹きつけられる。いつまでも聴いていたい音だ。後のサイン会でわかったのだが、とても豊かで肉付きのいい指をしている。どんな難所でも、叩いたり、ピアノと格闘することは皆無。いとも簡単に弾ききってしまうから、この人のテクニックは尋常なものではない。しかし、決して超絶技巧をひけらかすことはなく、真摯に作品に向かっていく姿勢は、いつも感動ものである。これほど重量感のあるプログラムでありながら、後に爽やかな温もりが残るのは、なぜだろう。アンコールは4曲。「金平糖の踊り」(完全にオーケストラの響きだった!)、愛の夢3番、革命のエチュード、最後に「ムーンリバー」を超美音で!超一級のピアニストでありながら、またお客様も大事にする。お人柄もなんとなく家庭的で温かい感じがした。現在、国内最高のピアニストの一人であることは疑う余地がない。