『もういちど愛して』のサウンドトラックが聞けるアルバム、
"Les Musiques De Claude Bolling"をご紹介します。
このCDは、音楽を担当したクロード・ボランが
アラン・ドロンさん、ジャック・ドレー監督二人と組んだ、
『ボルサリーノ』『ボルサリーノ2』『もういちど愛して』『フリック・ストーリー』
の4作品の音楽の中からセレクトされた曲たちのコンピュレーション・アルバムです。
さらにこのアルバムには曲と曲の間に映画の中の台詞が効果的に挿入されており、
発売された当時、ファンにとってこれほどありがたいアルバムは他にはありませんでした。
『もういちど愛して』の音楽は、
映画の中で主要な舞台となる教会音楽をベースとしながらも、
映画前半は主な音楽がパイプ・オルガンで演奏されていたのが、
後半はハモンド・オルガンが主旋律を奏でるようになり、
主人公の心の移り変わる様が音楽でもって表現されているようでした。
アルバムのライナー・ノーツにはクロード・ボランのインタビューが掲載されており、
今回は前半の部分をご紹介します。
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アラン・ドロンと出会ったことは、私にとって映画の世界で最も素晴らしいものであった。
彼とジャック・ドレー監督の為に何作品かのスコアを書けたことは、
私にとってとても幸運な出来事であった。
作曲家にとって、一人の俳優の成長の過程に付き添い、
彼の新しいフィルムに音楽で色を染めていく作業というのは、
とても魅力ある仕事であった。
アランとジャックと私は『ボルサリーノ』で初めて一緒に仕事をし、
続編の『ボルサリーノ2』ともども、音楽の観点からいってそれは正に挑戦であった。
私は彼ら二人にこの映画のオリジナル・スコアは、
撮影当時流行していた音楽ではなく1930年代の雰囲気のあるものを選択するよう説得した。
そして映画が描いた時代の精神をなぞって、より本物のようでいて、
しかしながら現代的なアプローチと感性でもって作曲することが私に委ねられたのだ。
そして私は現代的なスタイルで、しかしなおかつ1940年代以前の香りを持つ曲つくりに専念した。
いくつかの曲は不安感をもたせるようなものではあったが、
暗黒的な雰囲気の曲はこの2本の作品のスコアには選択しなかった。
それに対してこのテーマ曲の機知にあふれた部分にはある種「明るい心」を表し、
映画の中の主人公たちの事件における暴力性とは対称的なものにしたのだ。
『もういちど愛して』はこれとは全く違う精神で作曲されている。
ドロンは観客の期待を裏切るような役柄で、結婚問題に悩む神父を演じている。
ここでもまたギャグとコミカルな効果が映画の根底に流れてはいるが、
この作品には神秘的なものを漂わせた宗教的な音楽でもってテーマを強調するほうがよいと私は考えた。
パリのサン・トゥスタシュ教会のオルガン奏者ラファエル・タンビエフが
素晴らしい演奏を繰り広げるトッカータ曲である"MELODIE DU REVE" は、
バロック音楽の香りを残しながらもポップなフィナーレを迎える曲だ。
"Le vent"はブルターニュ地方の荒地の上を飛ぶ風の神アイオロスを呼び起こすような
ジャジーなボーカルが奏でるポエムのような曲である。
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次回『フリック・ストーリー』紹介の記事に続きます。
"Les Musiques De Claude Bolling"をご紹介します。
このCDは、音楽を担当したクロード・ボランが
アラン・ドロンさん、ジャック・ドレー監督二人と組んだ、
『ボルサリーノ』『ボルサリーノ2』『もういちど愛して』『フリック・ストーリー』
の4作品の音楽の中からセレクトされた曲たちのコンピュレーション・アルバムです。
さらにこのアルバムには曲と曲の間に映画の中の台詞が効果的に挿入されており、
発売された当時、ファンにとってこれほどありがたいアルバムは他にはありませんでした。
『もういちど愛して』の音楽は、
映画の中で主要な舞台となる教会音楽をベースとしながらも、
映画前半は主な音楽がパイプ・オルガンで演奏されていたのが、
後半はハモンド・オルガンが主旋律を奏でるようになり、
主人公の心の移り変わる様が音楽でもって表現されているようでした。
アルバムのライナー・ノーツにはクロード・ボランのインタビューが掲載されており、
今回は前半の部分をご紹介します。
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アラン・ドロンと出会ったことは、私にとって映画の世界で最も素晴らしいものであった。
彼とジャック・ドレー監督の為に何作品かのスコアを書けたことは、
私にとってとても幸運な出来事であった。
作曲家にとって、一人の俳優の成長の過程に付き添い、
彼の新しいフィルムに音楽で色を染めていく作業というのは、
とても魅力ある仕事であった。
アランとジャックと私は『ボルサリーノ』で初めて一緒に仕事をし、
続編の『ボルサリーノ2』ともども、音楽の観点からいってそれは正に挑戦であった。
私は彼ら二人にこの映画のオリジナル・スコアは、
撮影当時流行していた音楽ではなく1930年代の雰囲気のあるものを選択するよう説得した。
そして映画が描いた時代の精神をなぞって、より本物のようでいて、
しかしながら現代的なアプローチと感性でもって作曲することが私に委ねられたのだ。
そして私は現代的なスタイルで、しかしなおかつ1940年代以前の香りを持つ曲つくりに専念した。
いくつかの曲は不安感をもたせるようなものではあったが、
暗黒的な雰囲気の曲はこの2本の作品のスコアには選択しなかった。
それに対してこのテーマ曲の機知にあふれた部分にはある種「明るい心」を表し、
映画の中の主人公たちの事件における暴力性とは対称的なものにしたのだ。
『もういちど愛して』はこれとは全く違う精神で作曲されている。
ドロンは観客の期待を裏切るような役柄で、結婚問題に悩む神父を演じている。
ここでもまたギャグとコミカルな効果が映画の根底に流れてはいるが、
この作品には神秘的なものを漂わせた宗教的な音楽でもってテーマを強調するほうがよいと私は考えた。
パリのサン・トゥスタシュ教会のオルガン奏者ラファエル・タンビエフが
素晴らしい演奏を繰り広げるトッカータ曲である"MELODIE DU REVE" は、
バロック音楽の香りを残しながらもポップなフィナーレを迎える曲だ。
"Le vent"はブルターニュ地方の荒地の上を飛ぶ風の神アイオロスを呼び起こすような
ジャジーなボーカルが奏でるポエムのような曲である。
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次回『フリック・ストーリー』紹介の記事に続きます。
初コメントありがとうございます。
他の作曲家ならもっとコミカルなオーケストラで画面を盛り上げようとすると思うのですが、
このような神秘的な味付けをほどこした音楽を用意したクロード・ボランの着眼点はすごいと思います。
もしルグランだったらどんなことになっていただろうと想像するのも楽しいですが。
このアルバムは今見てもすごいお宝ですね。
せっかくの企画なので『ポーカー・フェイス』も
ついでに入れてくれたらよかったのにとも思います。
収録されてる4作品全てこれがリリースされた頃は
CD化されてませんでしたもんね。
『もういちど愛して』はナタリーが出てることもありますがボリンの音楽が大好きで
お気に入りの一作です!
ラスト・シーン 修道院を脱走する尼さんたちのバックに
このテーマが流れてきた時はビビッときました。
長らくレコードも見つけられなかったのでこのCD
買った日は上機嫌だったのを思い出しました。