陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

新たな不良債権処理機構を米政府が検討中

2008-09-19 13:33:55 | 財政・経済問題
 毎日のように、米国の巨大金融機関の身売りや買収が報道され、ニューヨークの株式市場は500ドル下がったり、400ドル上がったりで、まるでジェットコースターの動きと同じだ。それを受けて、東京株式、アジア株式、それに欧州市場も連動した形で激しく動いている。ただ、上海株価総合指数のように、単調に下がり続けて1800ポイントをマークしている市場もあるが、それは例外だ。

 ポールソン財務長官は、遂にサブプライム問題に発する米国金融危機へ抜本的対策を導入するよう決断した。それは、公的資金を使って各種金融機関から不良債権を買い取り、時間をかけて処理する政府機関を新たに設立する構想である。かつて日本も、土地バブルの整理に同様なことをやった。

 ただ、各金融機関が保持している不良債権額は途轍もない巨額であり、実態も不明瞭なことが多い。加えて、今まで「金融工学」を弄(もてあそ)び、たっぷりと儲けた経営者や社員もいるわけで、そうした連中への厳しい制裁が伴わなければ、公的資金=税金を出す米国民は絶対に納得しないだろう。いわゆる「モラル・ハザード」の問題である。

 投資銀行(=証券会社)ゴールドマン・サックス(GS)出身のポールソン財務長官だが、厳しい納税者の監視の中で、彼にはGSが有利になるような行動は許されない。株式の空売り規制導入、市中銀行への強制資本注入、そして今回のような政府による不良債権処理構想は、まるで小ブッシュ政権が社会主義政権へ変質したような感じがしないでもない。政治の干渉を排して、自由気ままに経済活動をし、最終的には自己責任という資本主義の原則が崩れることになるからだ。

米政府、金融機関の不良債権処理を協議 公的機関設立との報道も
2008年09月19日 10:41 発信地:ワシントンD.C./米国

【9月19日 AFP】ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は18日夜、財務省と連邦準備制度理事会(FRB)、議会の幹部らが緊急会合を開き、金融機関が抱える不良資産を処理するための「包括的措置」を協議したと発表した。

 ポールソン長官は協議後の記者会見で、「問題の核心である金融機関のバランスシート上の非流動資産を対象にした、迅速な解決に向けて動き出した」と説明した。

 財務省報道官によると、協議では「立法、行政面であらゆる選択肢を検討すること」で合意。「今週末にかけて議会幹部らと最終的な方針決定に向け協議を続行する見通し」だという。

 会合にはポールソン長官のほか、ベン・バーナンキ(Ben Bernanke)FRB議長、上下院の民主、共和両党の代表が出席した。

 これに先立って、米ニュース専門放送局CNBCは同日、米政府が、金融機関が保有する不良債権の受け皿となる公的機関の設立を検討中だと報じていた。CNBCはこの組織について、「1980年代に不良債権処理を担当した「整理信託公社(Resolution Trust Corp.、RTC)に似た組織」だとしていた。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/economy/2519309/3353775


 既に米国政府は、今年になって100兆円近い債務保証を行った。更に政府債務を上乗せして、新・不良債権機構を作るとしたら、米国経済は10年以上停滞することになるのではないか。我が国は、間違っても郵貯資産を米国へ提供するなど、基地外じみた判断をしないよう、政府へ強く要望したい。

 ファニー・メイとフレディ・マックの抱える債券は、640兆円とも言われ、レバレッジを効かせて、各金融企業が膨らませた債務は4000兆円!を超えると噂されている。先に債務保証した100兆円弱に加え、もう100兆円程度を準備しても戦力小出しで間に合わないだろう。どうせなら、500兆円の債務保証をやりますと米政府がポーズを示せば、様子ががらりと変わるのだが。
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