陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

陳水扁総統は、民進党主席を辞任するのか

2008-01-13 03:58:00 | 台湾関係

 台湾の2008立法委員選挙は、国民党の圧勝に終わった。メルマガ「台湾の声」では、陳水扁総統の民進党主席辞任を伝えているが、この時点でその発表をするのは選挙敗北以外に何か意図があるのだろうか。既に昨年から民進党不利は確度の高い情報として伝わっていたが、その敗北が圧倒的に推移したのは彼にとって大きな衝撃と想像するけれども。

「台湾の声」1月13日 01.22
【選挙速報】陳水扁総統が民進党主席の辞任を表明

与党・民主進歩党(民進党)の党主席を兼任する陳水扁総統は、立法委員(国会議員)選挙の民進党敗北の責任をとり、民進党主席の辞任を表明した。陳総統の党主席辞任後は、謝長廷・民進党総統候補が党主席を引継ぐとみられる。

(私の感想)
 結果的には、選挙で選ばれる合計113名の立法委員の内、

中国国民党  81
民主進歩党  27
無党団結連盟  3
親民党     1
無所属     1

 となったわけで、台湾有権者は陳水扁総統への支持を拒絶したことになる。同時に行われた2項目の国民投票でも有権者は棄権に回った。これは、間接的に国民党を応援していることになる。

「台湾の声」:1月13日 00.17
【選挙速報】国民投票は両案とも通過せず失敗

1月12日、立法委員(国会議員)選挙と同時に実施された国民投票(第3案「不当な政党財産の返還」および第4案「反汚職」)は、いずれも投票率が規定の有権者の50%に達せず、通過しなかった。

第3案「不当な政党財産の返還」
有権者数 1727万7720人
投票者数  455万0881人
投票率   26.34%
有効票   425万4664票
賛成    389万1170票(91.5%)
反対    36万3494票( 8.5%)
無効    29万6217票
   
第4案「反汚職」
有権者数 1727万7720人
投票者数  450万5927人
投票率   26.08%
有効票   396万1026票
賛成    230万4136票(58.2%)
反対    165万6890票(41.8%)
無効    54万4901票

「不当な政党財産の返還」国民投票第3案
下記の原則に基づき、『政党の不当取得財産条例』を制定し、中国国民党の財産を台湾の国民に返還することの是非を問うものである。:国民党および同党に付随する組織の財産は党費、政治献金、選挙補助金以外はいずれも不当に取得した財産であると推定し、それらは国民に戻すべきである。
すでに処分してしまったものについては、金銭で償うべきである。

「反汚職」国民投票第4案
政府機関の指導者およびその部下が故意あるいは重大な過失のある施策により、国家に重大な損害を与えた責任、ならびに立法院(国会)による調査委員会を設立して調査し、政府の各部門は全力で協力すべきであり、抵抗・拒否してはならず、国民全体の利益を守ると同時に、法を犯し失職した人員を処罰し、不当な所得を返還させることを追及する法律の制定の是非を問うもの。

(私の感想)

 台湾住民は、独立の理想を追い、蒋介石色を一掃しようとする陳総統よりも、中共と調和し経済活動に重点を置く国民党を支持したことになる。米国は、台湾として国連へ加盟しようとする国民投票の実he施にさえブレーキを掛けているから、陳総統は四面楚歌の状態だ。

 しかし、ここでは短気を起こさずに、陳総統が粘り強く3月22日の「総統選挙」と「国民投票」へ向けて努力を続け頑張って欲しいと願う。

(追記:1月13日)

 毎日新聞の関連記事は、次の通り。今回から実施された小選挙区比例代表並立制(定員を削減)も国民党に有利に作用したようだ。

台湾立法院選挙:野党・国民党が圧勝 陳総統が党主席辞任

 【台北・庄司哲也】台湾総統選(3月22日)の前哨戦となる立法院(国会、定数113)選挙が12日、投開票された。中央選管の最終確定結果によると、最大野党・中国国民党が81議席を獲得し圧勝した。総統罷免案採択に必要な3分の2以上の議席を握った。一方、陳水扁総統(56)率いる与党・民主進歩党は27議席と大幅に議席を減らし惨敗した。

 総統選候補の馬英九・前主席(57)を擁して8年ぶりに政権奪還を目指す国民党は、総統選に向け大きく弾みをつけそうだ。一方、陳総統は敗北宣言し、党主席の引責辞任を表明。総統選候補に謝長廷・元行政院長(61)を立てる民進党は態勢立て直しを迫られる。

 国民党は陳水扁政権下の「経済不振」に対する責任を追及。国民党政権時代に築いた固い地方組織を生かし、地盤の北部以外にも支持を広げ、戦いを優位に進めた。12日夜、勝利宣言した馬氏は「改革の時が来た。総統選でも勝利したい」と意欲を見せた。

 陳総統は対中協調路線の国民党を批判し「台湾か中国かの選択」と危機感をあおって有権者の「台湾人意識」を刺激したが、浸透しなかった。45議席を勝敗ラインとしたが、これを大きく割り込んだ。陳総統は「全党の力を結集し有権者の支持を獲得しなければならない」と総統選での巻き返しを呼び掛けた。

 一方、親民党は1議席と大幅に減らし、李登輝前総統(84)が主導する「台湾団結連盟」(台連)は前回12議席から議席を失った。

 今回の選挙は、中選挙区比例代表並立制から小選挙区比例代表並立制に変更された。定数は225からほぼ半減され、任期も3年から4年に延長された。

 同時実施の「国民党の不当資産返還」(民進党提案)と「政権腐敗追及」(国民党提案)を求める住民投票は、ともに投票率が規定の50%に満たず、成立しなかった。
毎日新聞 2008年1月12日 20時47分 (最終更新時間 1月13日 1時23分)
http://mainichi.jp/select/world/news/20080113k0000m030075000c.html
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5 コメント

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郵政選挙みたいですね! (tsubamerailstar)
2008-01-15 01:41:33
こんばんは!連休で呆けておりましたが、帰宅してみたら予想外の大差でビックリしました。ご指摘のとおり「理念型」ではない「実利型」な色彩が強く、投票にいかなかった人も含め批判票的な意味合いだったのだろうと思います。
次の総統選でDPPが勝利したとしても、いばらの道のねじれ状態な訳でこれまた大変ですね。(汗)
今後もとも宜しくお願いします!TBはバシバシ(題意に関係なく)大歓迎です!
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謝長廷が主役なんだが! (むじな)
2008-01-15 03:26:00
もはやこうなったら謝長廷が主役。陳水扁は台湾世論と謝長廷にノックアウトされただけ。
それに、議席ばかり見て得票率を語らないのは選挙分析としてはおかしい。

国民党はここまで大勝したことで、分裂する。そして逆説的に当選可能性が高まった民進党の謝長廷と提携して、本土派の安定政権を作るから、議会対策は問題ない。

国民党がいつまでも国民党という塊のままでいると考えるのは、素人!
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国民党の表情を見たか? (むじな)
2008-01-15 03:27:20
それに勝ったはずの国民党幹部たちの表情が異様に暗いことを見たら、むしろこれだけの狂った大勝は国民党の危機だということがわかるはずだよ。
それが見えないとは、政治の見方の基本ができていませんな。
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投票率が低いですね (茶絽主)
2008-01-20 18:03:19
tsubamerailstar 様

一つの要因として、陳水扁氏の優柔不断さと汚職問題がこの立法院選挙に影響していると感じます。台湾国民もうんざりして投票に行かなかったのでは。
総統選では別な結果が現われるように思いますし、そうあって欲しい。
台湾新幹線に乗ってきましたので、その内ご報告をします。どうぞ宜しく。
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総統選は別な結果になるのでは (茶絽主)
2008-01-20 18:13:19
むじな様

国民党も蒋介石から離れようとしているのかもしれない。同党は、分裂したほうが良いですね。台湾軍部の動きはどうなのでしょうか。

私は、総統選で謝長廷氏が僅差で勝つように予想します。投票率も上がるでしょう。国連加盟賛否の行方については良く分かりません。色々教えてください。
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