旧ソ連が崩壊して冷戦が終了した後も、北大西洋条約機構(NATO)は加盟国を増しながら、露西亜への警戒感を維持している。かつては、NATOに対抗して、旧ソ連と東欧衛星諸国、合計8カ国が「ワルシャワ条約機構(WTO)」と言う軍事同盟を形成して対峙したが、それは東欧の解放と共に消滅した(1991年7月解散)。
それどころか、旧東ドイツ(ドイツに合併)、ポーランド、ハンガリー、チエコ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアの旧WTO加盟国がNATOに加盟してしまった。露西亜としては、何とも面白くない。
1990年代は経済混乱の続いていた露西亜も、石油価格の高騰で借金を返し、この所元気がある。プーチン大統領(現在55歳)が就任してからは、サミット参加国にもなり、資源大国としての貫禄を示し始めた。時には、天然ガスと石油供給でかつての衛星国家、只今は親欧州各国を恫喝する場合さえある。
東欧で広がった無血革命(共産主義体制との決別)は、露西亜離れを加速し、最近のウクライナでは親欧州派が議席の多数を占めた。独裁体制を嫌う事態は、旧ソ連国家の中でなお続いている。
さて、産経ニュースの伝えるところによると、
旧ソ連7カ国首脳 「平和維持部隊」創設で合意
2007.10.7 21:19
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアなど旧ソ連7カ国で構成する集団安全保障条約機構(CSTO)は6日、中央アジア・タジキスタンの首都ドゥシャンベで首脳会議を開き、共通の「平和維持部隊」を創設することで合意した。同機構はさらに、中国が中心となった上海協力機構(SCO)と安保面で協力を深めることでも一致。欧米に対抗した中露中心の軍事同盟化の動きが活発化する可能性が出てきた。
会議に参加したのは、CSTOを主導するロシアのプーチン大統領のほか、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、ベラルーシ、アルメニアの各国首脳ら。
プーチン大統領は各国首脳との会議後、20以上もの合意文書に調印し、「CSTOのメンバー国はこれで、特別な装備をロシア国内価格で(安く)得ることができるようになる」と述べ、同機構の強化を称賛した。
「平和維持部隊」創設は、ソ連崩壊後、親欧米国となったグルジアやモルドバを念頭に置いている。グルジアでは、親ロシア勢力による分離独立紛争がアブハジア自治共和国と南オセチア自治州で続く。グルジアや欧米諸国はこうした地域に駐留するロシア軍の撤退を求めているが、ロシア側は安価なロシア製武器を供与し、駐留ロシア軍の多国籍化を図ることで、その駐留を正当化するのが狙いだ。
共同声明は、アブハジアや南オセチアなど「凍結状態の紛争」を武力で解決することの危険性を強調し、同紛争の解決を急ぐグルジアを牽制(けんせい)してみせた。
また、CSTO加盟国はいずれも、強権的な独裁体制を敷いている。「反テロ対策」の名の下に安保面でロシアとの協力を強め、反体制活動を封じ込め、独裁体制の生き残りを図ろうとする思惑も透けてみえる。
さらに、CSTO加盟国のほとんどは、上海協力機構のメンバーでもあり、今回、中国と安保面でも協力関係を深めるとする覚書にも調印。ロシアの国営テレビNTVは、「ベラルーシから中国までをカバーする(軍事)同盟が創設されつつある」と報じた。
ただ、カザフスタンなど中央アジア諸国には、中国やロシアの影響力拡大に警戒感も根強く、欧米諸国に対抗する意味合いが強い「軍事同盟」創設には慎重な姿勢だ。ロシアも、中国とはエネルギーなど資源が豊富な中央アジア諸国への影響力確保をめぐり競合する。
ロシアは、米国がミサイル防衛(MD)施設の東欧配備など東方への拡大を進めていることに強いいらだちを示しており、中央アジアでの影響力をめぐるロシアと欧米のせめぎ合いは今後、さらに激しさを増していくものとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071007/erp0710072119006-n1.htm
露西亜は民主化されたと言うけれども、プーチン体制は旧KGBの名残を引き摺っていて、独裁政治に近い状態だ。中共は共産党独裁の国家であって民意を反映させる体制には無い。両者に共通なのは、共に大陸性の国家であり、核大国、そして安保理常任理事国である。
更に共通なのは、自国内の反政府活動に対し容赦無く過酷な鎮圧をするムードを持っている。人権無視と過度の情報管理だ。露西亜のチェチェン紛争や、反体制派女性記者射殺などにそれが出ている。中共の法輪功弾圧、北京五輪準備の横暴さはすさまじい。それは、歴史的背景や民度と関係があると思われるが、要するに荒っぽいのだ。
ワルシャワ条約の時は、旧ソ連の支配が徹底していたが、今度の新軍事同盟構想では、露西亜と中共の両国がボスになるわけで、果たして上手く連携出来るのかどうか疑問は残る。中共は、只今エネルギー資源を世界中から買い漁り、顰蹙を買っている状態だし、中央アジア進出で露西亜と衝突することは十分に予想される。
しかし、この両大国が連携すれば、米欧を中心とするNATOに対し脅威となることは間違いない。米国は財政的に破綻寸前の状態であり、イラクを別として世界から軍事力を引き上げる傾向にある。英国は、かつての勢いも無く国力が縮小した。欧州は経済的に統合されたわけだが、民族問題や経済格差で一枚岩とはとても言えない状態だ。それでも、独裁体制に対しては人道主義の観点からある纏りを示すことだろう。
これは、新・「冷戦」の準備段階なのかもしれない。混乱の続く中東は色分けが難しいが、中露はイランに対し、同情的だ。アフリカには独裁体制の国家が多く、中共は経済援助でシンパを作りつつある。南米諸国には、嫌米国家が多いし、ベネズエラのように完全に中共寄りになった国もある。
こうしたエネルギー確保に絡む激しい国際変化が起きている情勢の中、日本は憲法改正も出来ず、シーレーン防衛もままならぬ状態である。残念なことに、「自由と繁栄の弧」を唱える麻生太郎氏は政権を離れたし、政局しか頭に無い政治屋が跋扈する現在、日本はどのように進んで行くのだろう。
それどころか、旧東ドイツ(ドイツに合併)、ポーランド、ハンガリー、チエコ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアの旧WTO加盟国がNATOに加盟してしまった。露西亜としては、何とも面白くない。
1990年代は経済混乱の続いていた露西亜も、石油価格の高騰で借金を返し、この所元気がある。プーチン大統領(現在55歳)が就任してからは、サミット参加国にもなり、資源大国としての貫禄を示し始めた。時には、天然ガスと石油供給でかつての衛星国家、只今は親欧州各国を恫喝する場合さえある。
東欧で広がった無血革命(共産主義体制との決別)は、露西亜離れを加速し、最近のウクライナでは親欧州派が議席の多数を占めた。独裁体制を嫌う事態は、旧ソ連国家の中でなお続いている。
さて、産経ニュースの伝えるところによると、
旧ソ連7カ国首脳 「平和維持部隊」創設で合意
2007.10.7 21:19
【モスクワ=内藤泰朗】ロシアなど旧ソ連7カ国で構成する集団安全保障条約機構(CSTO)は6日、中央アジア・タジキスタンの首都ドゥシャンベで首脳会議を開き、共通の「平和維持部隊」を創設することで合意した。同機構はさらに、中国が中心となった上海協力機構(SCO)と安保面で協力を深めることでも一致。欧米に対抗した中露中心の軍事同盟化の動きが活発化する可能性が出てきた。
会議に参加したのは、CSTOを主導するロシアのプーチン大統領のほか、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、ベラルーシ、アルメニアの各国首脳ら。
プーチン大統領は各国首脳との会議後、20以上もの合意文書に調印し、「CSTOのメンバー国はこれで、特別な装備をロシア国内価格で(安く)得ることができるようになる」と述べ、同機構の強化を称賛した。
「平和維持部隊」創設は、ソ連崩壊後、親欧米国となったグルジアやモルドバを念頭に置いている。グルジアでは、親ロシア勢力による分離独立紛争がアブハジア自治共和国と南オセチア自治州で続く。グルジアや欧米諸国はこうした地域に駐留するロシア軍の撤退を求めているが、ロシア側は安価なロシア製武器を供与し、駐留ロシア軍の多国籍化を図ることで、その駐留を正当化するのが狙いだ。
共同声明は、アブハジアや南オセチアなど「凍結状態の紛争」を武力で解決することの危険性を強調し、同紛争の解決を急ぐグルジアを牽制(けんせい)してみせた。
また、CSTO加盟国はいずれも、強権的な独裁体制を敷いている。「反テロ対策」の名の下に安保面でロシアとの協力を強め、反体制活動を封じ込め、独裁体制の生き残りを図ろうとする思惑も透けてみえる。
さらに、CSTO加盟国のほとんどは、上海協力機構のメンバーでもあり、今回、中国と安保面でも協力関係を深めるとする覚書にも調印。ロシアの国営テレビNTVは、「ベラルーシから中国までをカバーする(軍事)同盟が創設されつつある」と報じた。
ただ、カザフスタンなど中央アジア諸国には、中国やロシアの影響力拡大に警戒感も根強く、欧米諸国に対抗する意味合いが強い「軍事同盟」創設には慎重な姿勢だ。ロシアも、中国とはエネルギーなど資源が豊富な中央アジア諸国への影響力確保をめぐり競合する。
ロシアは、米国がミサイル防衛(MD)施設の東欧配備など東方への拡大を進めていることに強いいらだちを示しており、中央アジアでの影響力をめぐるロシアと欧米のせめぎ合いは今後、さらに激しさを増していくものとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071007/erp0710072119006-n1.htm
露西亜は民主化されたと言うけれども、プーチン体制は旧KGBの名残を引き摺っていて、独裁政治に近い状態だ。中共は共産党独裁の国家であって民意を反映させる体制には無い。両者に共通なのは、共に大陸性の国家であり、核大国、そして安保理常任理事国である。
更に共通なのは、自国内の反政府活動に対し容赦無く過酷な鎮圧をするムードを持っている。人権無視と過度の情報管理だ。露西亜のチェチェン紛争や、反体制派女性記者射殺などにそれが出ている。中共の法輪功弾圧、北京五輪準備の横暴さはすさまじい。それは、歴史的背景や民度と関係があると思われるが、要するに荒っぽいのだ。
ワルシャワ条約の時は、旧ソ連の支配が徹底していたが、今度の新軍事同盟構想では、露西亜と中共の両国がボスになるわけで、果たして上手く連携出来るのかどうか疑問は残る。中共は、只今エネルギー資源を世界中から買い漁り、顰蹙を買っている状態だし、中央アジア進出で露西亜と衝突することは十分に予想される。
しかし、この両大国が連携すれば、米欧を中心とするNATOに対し脅威となることは間違いない。米国は財政的に破綻寸前の状態であり、イラクを別として世界から軍事力を引き上げる傾向にある。英国は、かつての勢いも無く国力が縮小した。欧州は経済的に統合されたわけだが、民族問題や経済格差で一枚岩とはとても言えない状態だ。それでも、独裁体制に対しては人道主義の観点からある纏りを示すことだろう。
これは、新・「冷戦」の準備段階なのかもしれない。混乱の続く中東は色分けが難しいが、中露はイランに対し、同情的だ。アフリカには独裁体制の国家が多く、中共は経済援助でシンパを作りつつある。南米諸国には、嫌米国家が多いし、ベネズエラのように完全に中共寄りになった国もある。
こうしたエネルギー確保に絡む激しい国際変化が起きている情勢の中、日本は憲法改正も出来ず、シーレーン防衛もままならぬ状態である。残念なことに、「自由と繁栄の弧」を唱える麻生太郎氏は政権を離れたし、政局しか頭に無い政治屋が跋扈する現在、日本はどのように進んで行くのだろう。
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