陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

シナがIT製品のソースコード開示を強制する狙い

2008-12-22 16:30:35 | シナ・中共関係
 このところ、シナの経済成長率が落ち込んで、5%台になる見込みと言う。金融危機が始まる前は、10%以上と言っていたから、大変な減速だ。輸出中心で、内需が小さい国家体質だから、海外が一斉に買わなくなれば影響はもろに出る。

 シナの製品は、付加価値の低い汎用製品が多い。一方では、自国で開発する技術力が無いから、外国で開発されたIT製品を組み立てて輸出するケースが目に付く。製品の心臓部は、ブラックボックス化されている。これでは儲からぬと言うわけで、今年9月、シナに進出している外国勢にIT製品の設計情報開示を求める方針を打ち出し、2009年5月から実施するとした。9月21日付けの読売新聞によると、


ATMやPOS対象か…中国のIT製品情報開示制度

 中国政府が外国企業にIT製品情報の開示を強制する新制度について、開示対象の具体的な内容が20日、専門家の分析で明らかになった。

 非接触ICカードやデジタル複写機に加え、金融機関向けの現金自動預け払い機(ATM)システムや、小売店などの販売管理に使われている販売時点情報管理システム(POS)なども開示対象となる可能性がある。

 中国がまとめた対象リストは、「ICチップ用基本ソフト(OS)」「データベースシステム」「迷惑メール防止製品」「ネットワークの監視製品」など13項目。詳細はまだ明らかでないが、ATMやPOSは不正防止などの目的でICチップを使用しており、専門家は開示対象に含まれる可能性があるとみている。

 新制度は2009年5月に導入される予定。IT製品を制御するソフトウエアの設計図「ソースコード」を中国当局に開示するよう強制し、拒否すれば、その製品の現地生産・販売や対中輸出が一切できなくなる。

 中国の新規制については、知的財産の流出が懸念されるほか、日本の情報安全保障上も問題があると指摘されている。二階経済産業相も19日の記者会見で、「貿易への影響に関する懸念を持っている」と制度改善を求める考えを示した。
(2008年9月21日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080922nt08.htm


 シナ大陸へ進出している日本企業は、この身勝手な制度に戸惑っている。例えば、日立製作所の見解だが、

中国IT規制実施なら販売停止も 日立製作所・古川一夫社長

 日立製作所の古川一夫社長は30日、読売新聞のインタビューに応じ、中国が検討している情報技術(IT)製品の機密情報開示を強制する新制度について、「デジタル製品にとって(ソフトウエアの設計図である)ソースコードは命。(開示なら)極めて危機的だ」と強い懸念を示した。

 中国が2009年5月に予定通り新制度を導入した場合には、「中国とそれ以外で(製品を)分けることを検討する状況になりうる」と述べ、中国向けの高度なデジタル製品の製造・販売を停止することも視野に検討する考えを明らかにした。

 中国の新IT規制は、日本の技術情報が中国側に流出し、企業の知的財産権が脅かされる問題が指摘されている。古川社長は、「中国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、知的財産権を尊重すると言っている。新制度がどう発動されるのか(詳細は)まだ分かっていない」とも指摘し、政府間の交渉で新制度が改善されるかどうか推移を見守る考えを示した。

 プラズマテレビに使うパネル生産から事実上撤退することについては、「パネルが差別化要因になる時代ではなくなった。テレビは放送と通信の融合が進む方向で進化する。そういった点での差別化を考えている」と述べた。
(2008年10月1日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20081001nt04.htm?from=nwlb

 シナ政府に対しべったり姿勢の経団連も、これはまずいと思ったのか、反対の意向を明らかにした。

中国のIT情報・強制開示、断固反対…経団連会長

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は6日の定例記者会見で、中国が検討している情報技術(IT)製品の機密情報開示を強制する新制度について、「(ソフトウエアの設計図である)ソースコードの開示は、裸になるということ。日本企業も全部、断固として反対であり、反対し続ける」と述べた。

 中国の規制強化の動きに対し、日本の産業界を代表して反対姿勢を強くアピールした格好だ。さらに、「(知的財産の保護は)国際社会の常識だ。(開示の強制は)中国にとっても決してよいことではない」と、中国の動きをけん制した。

 一方、日本経団連は同日の会長・副会長会議で、補正予算案の早期成立を政府・与党に求める緊急アピールをまとめた。「中小企業の資金繰り対策や個人・企業への減税など、さらなる緊急かつ思い切った景気対策を検討すべき」などと要望している。
(2008年10月7日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20081007nt02.htm

 このソースコード開示に対する反対意向は、日・米・欧に共通している。IT製品開発の技術背景を持たないシナは、この点からも経営の曲がり角に来ていると思う。シナの経済成長を高く買う評論家が多いが、工業所有権の意味すら分からぬ国家に経済成長の持続を期待出来ない。

(参考)

大前研一 ニュースの視点ブログ
中国・IT情報開示制度 日米欧の経済界共同で懸念表明へ
ソフト設計情報 知的財産権の保護対象
http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1181.php
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