陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

日本の謝罪に思う

2005-06-09 06:05:28 | Weblog
 2005年4月22日に、バンドンで開催されたアジア・アフリカ(AA)主脳会議で、小泉首相が演説をした。その冒頭で、かつてアジア諸国へ迷惑を掛けたとして「村山談話」に沿った形で謝罪を重ねたのだが、多くのブロガ-たちはこれを鋭く批判した。小泉首相の意図が何処にあったのかは、いまだに良く分らない。その後米国紙を含めて、幾つかの国の有力新聞は「日本はもう充分に謝罪している」との見解を伝え、予期しない国際的な反響があった。

 AA会議の共同議長国インドネシア自身の論評は素っ気無いものであって、「何でまた今頃そんな話をするのか」と言う感じである。このような推移を見ながら、私はかつてインドネシアを訪問した事を思い出した。

 畏友I氏の御好意で2週間程インドネシアを訪れたのは、2000年の春であった。当時は、スハルト大統領が失脚し、ハビビ大統領登場の頃である。華僑が襲われるなど、些か不穏な状況であった。近代的なジャカルタ市の街並を見たり、ボゴールの植物園を見学してバンドンへ行った。

 スカルノの卒業したバンドン工科大学では、3日程間程大学院生たちと付き合い、一方、オランダ風の面影が残る街路を散歩した。そして、1955年の第1回AA会議が行われた歴史的建物を感慨深く眺めた。バンドンには、日本の有力繊維企業が進出して大工場があり、ジャカルタ同様に日本人学校もある。

 付き合ったインドネシア人達の応接は、全般に仲々スマートで好意に溢れ、不快な事は殆ど無かった。多民族国家であるから、ジャワ島に限ってもジャワ人、スンダ人、スマトラ人、華僑などが混在し、肌の色もそれぞれに異なる。イスラム教が国教のようなものであるから、ジャカルタでは朝早くから拡声器でコーランが流れ、食堂ではアルコールをおいている所が少ない。大東亜戦争での日本占領の話は殆ど出なかった。むしろ、日本からの多額ODAに感謝している雰囲気が濃厚である。

 古都ジョグ・ジャジャルタを訪問した時、ボロブドールやプランバナンの史跡へも行ったが、そこでインドネシア独立戦争の時、旧日本軍の一部がインドネシア独立義勇隊を援助し、活躍した事を知った。だが、当時はそれほどの印象を持たずに帰国した。その後、ワヒド大統領時代になってジャカルタとバンドンへは秋の季節に再訪する機会があり、インドネシアの知人と旧交を暖めた。

 最近「アジアの真実」(管理者lancer1 氏)のブログに出会い、独立戦争に関与した日本軍人の記述を読んだ。
http://blog.livedoor.jp/lancer1/archives/11839865.html#comments
 インドネシア人は、独立戦争時に参加した日本人の貢献を忘れずに、独立記念日(8月17日)の記念式典では、男女のインドネシア人2人と日本軍人の服装をした1人、合計3人が国旗掲揚を行うとの事だ。これは、仲々の話だと思う。

 大東亜戦争時の3年半にわたる日本軍政下に、インドネシア人は様々な事を学び、独立の心を養った。300年近いオランダの植民地支配から血を流して抜け出し、彼らが晴れて紅白のインドネシア国旗を挙げる事が出来たのは、日本軍のお陰だと毎年独立記念日の時に国民が思い起こしているのだ。(こうした事を含め、lancer1 氏のブログには、他にも参考になる記述が見られ、教えられる事が多い。愛読させていただいている所以である。)
 
 一方、私を含めて日本人の多くは、この事実を知らないままである。もっと、大東亜戦争時のインドネシア占領の実態を知りたいと思うし、フィリピン、マレーシアなど他の東南アジア諸国の見解を確かめたいと願う。

 たまたま機会があって、2001年に作られた「ムルデカー17805」(東京映像制作)をDVDで観た。ムルデカ merdeka はインドネシア語で独立の意味である。178は、8月17日であり、05は皇紀2605年を指していて、インドネシアの独立宣言書で使われている。この映画は、インドネシアの全面協力を得て、現地ロケで製作された。登場人物は勿論フィクションであろうが、両国の俳優達は熱演していた。映画にも出て来たが、インドネシア独立戦争で亡くなった日本軍人は、英雄としてジャカルタの国営墓地に畏敬の念を持って埋葬されている。

 インドネシア政府は、日本軍による占領行為を是非に峻別し、良かった点を国事にさえ残して評価している。それ故、国家間の交流も、占領当時の問題が色濃くあらわれる事は無く、未来に向けての相互関係維持が前提とされる。

 さて、我が国は既に17回もChina や韓国へ謝罪を行った。また、1945年の敗戦以来、50年間一度も武器を持って他国へ侵入した事は無い。もう小泉首相の演説を以て、最後の謝罪にして欲しいものだ。
http://ja.wikipedia.org.wiki%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%88%A6%E4%BA%89%E8%AC%9D%E7%BD%AA%E7%99%BA%E8%A8%80%E4%B8%80%E8%A6%A7
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1 コメント

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その通りです ((^-^)風顛老人爺)
2006-04-20 01:57:14
拝啓、橋本元首相が得意とした、謝罪外交から脱却しましょう。 草々
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