陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

平和安全法制の成立と今後の展望

2015-09-23 09:30:28 | 国防関連
 約4ヶ月に亘って国会審議が行われた「平和安全法制」案が、9月19日未明に参議院本会議で可決成立した。この法制を成立させるべく鋭意努力された安倍晋三首相を始め、関係各位に「ご苦労様でした」と労(ねぎら)いの言葉を申し述べたい。

 今回の法制化においては、大きく分けると

(1)連合国(UN)の安保理関与に基づくPKO活動(集団的安全保障活動)への参加を、より有効な形にする(参加については、国会の承認を必要)
(2)日米安保条約(集団的自衛権)を含めた実力同盟の双務化を明確にし、緊急事態においては切れ目のない同盟国間協力体制を充実させる

という内容である。つまり、UNへの協力と自国安全の抑止効果の向上を狙っている。このような我が国の安保体制の充実は、中共、南鮮(韓国)を除きASEANを含めた環太平洋諸国、更に欧州諸国など40ヶ国から戦争抑止政策として好感を持って受け止められている。

 ところで、9月17日~18日の参議院特別委員会では、採決をしようとする委員長席周辺で民主党議員による暴力沙汰もあったとのこと、また、参議院本会議採決を阻止し、廃案化するべく、首相、防衛相の問責決議案などを連発、更に衆議院では内閣不信任案を上程するなど、民主党を始めとする野党の攻勢は中々凄まじかった。これが国会議員のすることかと唖然とする振る舞いも見られた。

 だが審議が全て終わってみると、何か物足らないものが残る。野党質問は、法案自体の内容を掘下げたり、対案を出して現下の国防・安全保障体制の認識を深める機会が少なかった。それよりも、この法制案を「戦争法案」だとか、「徴兵制」導入だとか全く関係のないレッテル貼りに固執して、国民の思考を混乱させる方向に動いていた。

 我が国の左翼リベラルは、国防や安全保障、更には外交の具体的あり方について議論する能力が極めて弱いのである。それ故、現状の国際情勢変化に随いて行けず、「憲法9条」を守れば全て解決する(?)と言う教条的な「一国平和主義」から一歩も抜け出ることが出来ない。リベラル指向の憲法学者の中には、この法制化を進めるのなら、まず憲法改正をせよと声高に唱える輩もいるが、では憲法改正をしようかと提案すると、「護憲は至上のもの」と頑なな返事となる。全く議論が咬み合わない。

 私は、我が国の民族性、伝統文化を重視しながら、言論の自由を保証する民主主義体制の持続を願うものであるが、同時に国際的な協調を期待している。そのためには、独立不羈の国防体制を早急に確立することが急務で、自然法に反する歪んだ<日本国憲法(GHQ憲法)>が改正されることを切望する。

 我が国の左翼リベラルは、まず憲法改正に協力し、その後の人権尊重、社会福祉、環境保全のあり方に工夫を凝らすべきではないか?「ガラパゴス憲法」と揶揄される現憲法(特に第9条)を墨守しても、国家の安全保障は何ら担保されす、国際協調は次第に難しくなるであろう。

 欧州は、先行き見えぬギリシャ財政問題に振り回され、大量の難民問題で苦吟しており、更にウクライナ問題が絡んで経済は益々縮小気味である。チャイナ・リスクは予想を上回る早い展開を見せ、デフォルト状態への道を歩んでいる。同国の軍事拡張や経済実態の「大法螺」が次々に暴露されて国家のメルトダウンさえ囁かれる有様だ。米国経済は利上げで過剰なドル回収をしたくても雇用不安もあり決断出来ない状況が続く。我が国は、アベノミクスが消費税3%アップの影響で内需は足踏み、原油価格の暴落で多少は国富の海外流出は抑えられているが、相継ぐ自然災害の襲来で国民意識は沈滞気味である。

 安倍政権は、暫くの間内政的安定が継続しそうである。国土強靭化を進める来年度予算を早目に審議終了させ(来年2月下旬)、内需拡大を持続させるために消費税10%化の公約を凍結することを提案してはどうか。それに憲法改正をメイン・テーマとして、来年7月に衆参同時選挙を実施し、国防体制に関する民意を問うことを本気で考えて欲しい。
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