陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

メドベージェフ氏が新露西亜大統領への歩みを進める

2008-03-03 00:02:36 | Weblog
 新・露西亜大統領に、ドミトリー・アナトリエビッチ・メドベージェフ氏(42)が選ばれるのは規定路線だが、3月2日の投票日に、どの程度の支持票が集まるのか、世界が注目している。70%以上に達するとの情報もあるようだ。

 ウラジーミル・プーチン<皇帝>(55)はランク落ちしてでも首相になって、実権を維持するとの話が以前からあるが、まあ、彼の個性と年齢であればやりかねない。なお、新大統領は今年5月に就任予定。

 産経新聞が、御両人の間に吹く隙間風について論評している。

露 メドベージェフ氏大統領誕生へ 裏切り恐れるプーチン氏
2008.3.2 22:37 産経新聞

 【モスクワ=内藤泰朗】メドベージェフ第1副首相は、プーチン氏の影響力に左右されない独立した“真の大統領”となれるのか-。プーチン大統領の部下として決して野心をみせることなく、忠実に仕えてきた13歳年下のメドベージェフ氏に対して、早くも疑問の声が上がっている。「プーチン氏のかいらい大統領」とも揶揄(やゆ)されるだけに、今後の政策運営は新しい指導者を苦しめることになろう。

 プーチン氏は、メドベージェフ氏を“後継”に指名した後、同氏の次期大統領就任の暁には自ら首相に就任する意向を示した。プーチン氏は、今年5月の退陣後も政治的な影響力を行使し続けると宣言した。

 さらに2月14日、クレムリンでの4時間半以上にわたるマラソン記者会見では、「メドベージェフ氏が新大統領となったら、その権限についてはお互いに分けることができる」と述べた。具体的にどう権限を分けるのかは言及しなかったが、プーチン氏が、大統領権限の一部を首相に移すことを念頭に置いていることを印象づけた。

 ただ、首相の指名権など大統領に強大な権限を与えているロシア憲法でも、それ以下の人事は明文化されていない。プーチン路線の継承を訴え、次期「首相」にプーチン氏をすでに指名したメドベージェフ氏が独自色を打ち出す余地は、それほどないのだ。

 これを受け、プーチン翼賛与党「統一ロシア」が支配する下院ではすでに、同国の政治・経済を牛耳る「シロビキ(武闘派)」と呼ばれる治安・保安機関関係者などの人事権を首相に与えようという法案の検討も始まった。中央集権国家では、人事権を掌握した者が、実権を握る。

 政治評論家のリリヤ・シェフツォワ氏は「国民が変化を求めず、エリートたちが現状維持のために動く中、“雪解け”は起きない」と断言。「変化」が起きるとすれば、「メドベージェフ氏自身が中途半端な大統領である事実を恥ずかしいことだと思い始めたときだ」と指摘する。

 そこに、プーチン氏が退任後も政権内に留まり権力に固執する理由が隠されている。

 ロシアの専門家の中には、プーチン氏が私利私欲とはかけ離れ、「強国ロシアの再興」という使命感に燃え、その実現に向けて昼夜いとわず働き続ける「愛国者」であるとの見方がある。メドベージェフ氏についても、同じ理想を追う「同志」であり、「友」であるという見方だ。

 しかし、ソ連・ロシアの歴代の指導者たちは多くが、前任者を裏切り、その非を批判して逆の路線を打ち出すことで、その政治的な地位を確固たるものとしてきた。

 故エリツィン初代大統領に後継指名されたプーチン氏も、大統領に就任後、「偉大なる国家ソ連を崩壊させ、大混乱に陥れた」前任者の治世を徹底して批判。実際に、エリツィン時代のエリートを国外に追いやり、反政権派を逮捕し一掃することで、中央集権国家を再構築してきた。

 恩人であるエリツィン氏を「裏切った」プーチン氏は、権力者が権力を失う「怖さ」を肌身で知っているのだ。

 ロシア語で「クマ」という意味のメドベージェフ氏はいま、「道」の意味を持つプーチン氏に服従し、その路線を歩もうとしている。だが、いったん大統領となり、その「中途半端さ」に気づき指導者としての「強さ」を求め始めたとき、どのような布石を打つのか。自らの経験からそれを熟知するプーチン氏は、今後ともメドベージェフ氏の“監視”を怠らず、自らの権力を脅かす行為は絶対に許容しないものとみられる。

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080302/erp0803022246007-n1.htm


 メドベージェフ氏は、レニングラード大学法学部を卒業、法学博士の学位を持つ政治家である。KGB出身のプーチン大統領とは異なる経歴だが、それはプーチン氏によって与えられたもので、彼の強い信頼から後継者に指名された。

 より自由主義的であり、民政に長く携わったメドベージェフ氏が、閉鎖的な露西亜社会を変えて行けるのか、あるいは、なおプーチン氏のコントロールの下で暫くは強権的な政治を続けるのか、それについては、冷静に眺めて行くことにしよう。彼が、自由主義的な発想から、台湾問題で中共と緊張する形になれば日本としては都合が良い。

 現在、露西亜は石油・天然ガスの価格上昇で、かつての経済的苦境を脱しており、豊かなオイル・マネーで日本を含む諸外国への投資を模索中だから、メドベージェフ氏の登場は内外共に興味を持って見られるわけだ。

 大統領が変わるからと言って、直ぐに<北方領土>問題に影響があるとは思われず、メドベージェフ氏は中々のやり手であるから損をしない対露外交を常に意識した方が良いと思う。
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