陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

大洪水に悩まされるタイ

2011-10-21 21:28:16 | Weblog
 過去にもタイは、何度も洪水に見舞われているが、今年のメコン河支流の氾濫災害は特別のようである。雨期の続く9月の豪雨で、メコン河支流の上流に位置するダムが満水になり、一斉に放流したから下流に大洪水が起きた。メコン・デルタ地域は、海抜ゼロメートルが多いから水は中々引かない。そこへ豪雨が降れば、洪水被災地はドンドン広がる。

 アユタヤ付近に展開する巨大工業団地にも、洪水は遠慮無く押し寄せた。日本のエレクトニクス産業、自動車産業、関連の部品産業が操業停止に追い込まれている。トヨタの部品製造業がストップしたので、インドネシアにある自動車組立工場は操業出来なくなった。

 首都バンコクも大洪水で、住民の生活は大変なようだ。数多くある運河の水が引く見通しは立たず、タイ政府は堤防の水門を開いて上流で氾濫した水を市内へ流し、それを海へ投棄する計画と言う。これは、極めて危険な対策だが、アユタヤ周辺の水を排除する止むを得ない方法なのだろう。

 タイも国家として工業化を進める中で、森林を伐採し、水田を工業団地に変えて行った。結果として、土地の保水力のアンバランスを招く。今世紀になって、治山治水計画を見直したが、タクシン一派を中心とした政争が長引き、計画実施は遅々として進まなかった。見方によっては、今回の大洪水は人災と言えるかも知れぬ。

 進出している日本企業約300社も、経営に大きな影響が出るだろう。東北大震災による津波、台風12号、15号による豪雨災害、そしてタイの大洪水と、今年は「水難の年」としても記憶に残りそうだ。

 日本政府は、友好国タイの危難を助けるべく、出来るだけ迅速に支援の手を差し伸べて貰いたい。食糧支援、疫病発生の防止、応急橋梁の建設、決壊した堤防修復など、やることは沢山ある。

首都洪水、拡大続く=運河決壊、下流でも-タイ

 【バンコク時事】タイの大洪水で、バンコク北部で氾濫したプラバー運河は21日、下流域でも浸水が拡大した。バンコクのスクムパン知事は西部地域でも水害の危険があるとして注意を促した。一方、インラック首相は同日、激甚災害時に首相の権限を強化する自然災害防止法の条文適用を決めた。

 同法の適用により、関係機関に対して首相が直接指示することができるようになる。

 同運河は20日、北部で氾濫が始まった。21日には浸水部分が南下し、行政裁判所や法務省特別犯罪捜査局がある大通りも川沿いの一部が冠水した。

 水は運河に接する陸軍施設を通じて幹線道路に広がった。施設はグラウンドなどの広大な敷地がほぼ全面的に冠水。幹線道路の浸水は深い所で約50センチに及んだが、運河から百数十メートルの範囲にとどまった。

 また、バンコク中心部に近い運河のさらに下流では、水位が高まっている場所もあるが、堤防の決壊などは見られなかった。日本人が多く住む地域にある運河も大幅な増水はなかった。政府の対策本部があるドンムアン空港周辺も、被害は出ていない。(2011/10/21-18:51)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011102100771
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