陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

拉致問題に対して、政府は毅然とした姿勢で行動せよ

2008-08-29 12:13:26 | 拉致問題
 北朝鮮による拉致被害者の奪還に関し、家族会や救出協議会、議員連盟の努力が6割、米国など外国への協力要請が3割程度とすれば、只今の日本政府自体の努力は1割にも満たないのではないか。この問題は、国家主権侵害に係わるのであるから、本来、努力配分としては国家が8割、海外へ理解を求める内容が1割、家族会などの協力が1割程度であって当然だ。

 拉致問題は、現在も続いている国家テロ行為である。北朝鮮に対する「テロ支援国家指定」解除は、その意味で納得が行かぬ。デタント意識の旺盛なライスーヒル組の解除画策と工作は、米国内の正当な意見によって事実上潰された。それは、日本にとって歓迎すべきことである。

 「六者協議」の一環で拉致問題を議題にしても、参加国は日朝二国間問題としか捉えない。ライス国務長官は、何度もそう述べている。だから、日本政府としては、今まで北朝鮮の良識に期待して待ったが、「拉致被害者を全員帰還させないのなら交渉は打ち切る」として毅然たる態度を示したらどうか。

 普通の国なら、外交交渉を重ねた後に軍隊を派遣して決着させる程の重要問題なのである。日本は、憲法上それが出来ないのだから、あらゆる経済的手段を用いて、北朝鮮に圧力をかけ、締め上げ続けなければならぬ。同時に、朝鮮総連の解体、北朝鮮国籍者の強制送還も平行して行うべきだ。

 それらが実施されたら、始めて金正日政権は拉致問題に真面目に取り組むであろう。拉致された人々や家族の年齢を考えると、一刻も早くこの問題を解決しなければならない。国交樹立とか、交易等の課題は、拉致問題が解決してから改めて考えるべきだ。

 島田洋一教授のブログでは、米朝交渉の蹉跌を受けて、拉致被害者家族連絡会、救出全国協議会、救出行動・議員連盟の共同声明が紹介されている。その部分をコピーさせていただく。
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/696101/

    ◇    ◇    ◇

声明

8月11日、12日、中国瀋陽で日朝実務者協議が開かれた。そこで北朝鮮は「生存者を発見し帰国させるための、拉致被害者に関する全面的な調査を行う(すべての拉致被害者が対象)」ことなどを約束し、我が国は「北朝鮮が調査委員会を立ち上げ、調査を開始することと並行する形で」制裁の一部解除を約束した。

昨日北朝鮮は、米国がテロ支援国指定解除を延期していることに反発し、既に核の「無能力化」を中断し、現状復帰を考慮すると発表した。米朝協議の迷走は、北朝鮮が国際標準の検証を受け入れるような体制でないことを改めて示した。日朝の拉致問題協議においても、北朝鮮は「再調査」中断をカードに使い、得るものを得ようとしてくるだろう。今思えば、6月の日朝協議は、米国にテロ国家指定解除を促すための北朝鮮から仕組まれた呼び水でしかなかったとも考えられる。

これまで、北朝鮮は拉致問題に関する「調査」を繰り返し実施したが、結果はいつもでたらめなものだった。したがって、今回北朝鮮が「全面的調査」でどのような回答をしてくるのかは、予断を許さない。調査の結果を確認するまえに、調査委員会立ち上げの時点などで制裁の一部解除を行うことは絶対あってはならない。

一方、北朝鮮は拉致問題の調査を行うたびに食料や大規模経済支援を見返りとして求めてきた。しかし、今回の見返り要求は、支援ではなく制裁の軽減だった。また北朝鮮は「朝鮮総連の『弾圧』や我が国による北朝鮮に対する措置」を取り上げた。制裁と「現行法制度の下での厳格な法執行」(拉致対策本部作成「拉致問題における今後の対応方針」2006年10月)が効いている証拠である。

一部与野党融和派議員らは、制裁のために拉致問題は膠着状態となったと批判し、「国家公務員の渡航を原則として見合わせる」という制裁に背いて、超党派議員で訪朝したいと公言していた。しかし、彼らが北朝鮮前に、北朝鮮は再調査実施を約束した。

制裁は大変効いており、対北外交の有力なカードになっている。制裁の圧力によって、北朝鮮を拉致問題の交渉の場に引きずりだすことには成功したのである。だからこそ安易に制裁を解除してはならないとともに、追加制裁をも躊躇してはならない。

私たち3団体は心ある国民とともに、政府がぶれることなく全被害者救出を実現するよう強く求めていく。

平成20年8月27日

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会
 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
 会長 藤野義昭
北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟
 会長 平沼赳夫

    ◇    ◇    ◇

 この声明は、非人道国家に対するものとしては、誠実で紳士的であり、かつ控え目である。もっと経済制裁の具体的項目を書き並べても良いと思うし、日本人は何時までも待てないから、朝鮮総連を解体させる可能性についても具体的に触れたらどうか。議員連盟ならそれが出来るはずだ。
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