陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

いわき沖が放射能含有水で汚染される:汚染水漏れを止める一つの提案

2011-04-06 08:42:32 | Weblog
 大量の放射性物質を含んだ高レベル汚染水の流出が止まらない。また海洋への放射性物質が拡散する傾向は、色々とシミュレーションされているようだが、プランクトンや魚介類による放射性物質の生物濃縮がとても気になる。こんな事態が長期間続けば、いわき沖や沿岸の漁業は潰滅するのではないか。更に、低レベルの汚染水であってもサケ・マスなどの回遊魚への影響が心配である。

 読売新聞によると、


汚染水拡散「最初は南北沿岸」…仏が予測

 福島第一原子力発電所から、高濃度の放射性物質を含む水が海に流れ出している問題で、放射性物質の拡散は方向によって大きな差があり、最初は沿岸を南北に広がり、東西にはすぐに広がらないことが、仏国立科学研究センターなどの計算でわかった。

 政府は「放射性物質は拡散して薄まる」と強調しているが、海域ごとに注意深く監視していく必要がありそうだ。

 仏グループは国際原子力機関(IAEA)の要請を受け、福島県沖の海底地形や潮流、水温、塩分濃度をもとに拡散を予測。公表された動画では、同原発から海に出た放射性物質が沿岸に沿って南北に広がった後、北側の仙台湾から東西に拡散していく様子がわかる。
(2011年4月5日14時39分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110405-OYT1T00586.htm?from=nwla


 トレンチ(横坑)やピット(たて坑)から浸出する高レベル汚染水を、高分子吸水剤、あるいは水ガラス添加などで止めようとしていたが、それは多分上手く行かないだろう。

 ところで、4/3(日)夕刻、TV各社は一斉に「汚染水に、高分子ポリマーを加えて漏水防止する」と報じたが、高分子ポリマーの表現は奇妙である。何故なら、高分子=ポリマー(重合体)であるからだ。それを言うなら、高分子吸水材料か、またはポリマー吸水剤だろう。最初に説明した東電の技術者が間違った言い方をし、それを化学知識の欠落したマスコミがノーチェックで一斉に報じる姿に疑問を覚える。翌日の新聞では、高分子吸水剤との記述になっていた(笑)。

 今朝の朝日Webによると、

高濃度放射能汚染水、海への流出止まる 福島第一2号機
2011年4月6日7時7分

 東京電力は6日、東京電力福島第一原発2号機の取水口付近の作業用の穴(ピット)から海に漏れ出ていた高濃度の放射能汚染水が同日午前5時38分、止まったと発表した。

 東電は5日午後、流出しているピットの下に、砕石層をガラス状に固める薬剤を入れる止水工事をした。工事後に、海への流出量はやや減っていた。
http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060084.html


 どうやら、ピット下の土壌改良で漏水停止に成功したようだ。

 私は、スメクタイト(粘土鉱物の一種)を汚染水へ添加することを薦めたい。天然物では、モンモリロナイト(商品名:ベントナイト)を4~6wt%添加して分散すると、時間と共に水分散液は見かけ上固化(静止ゲル化)し、全く流れなくなる。つまり、流出は止まるはず。これを、チキソトロピー現象と言う。

 静止ゲル化は、純水では間違いなく起こる現象だが、海水のように多量のNaイオンやClイオンの存在する場合、固化が迅速かつ適切に生じるかどうかは、今のところ不明。簡単な実験をやってみれば良い。スメクタイトは、化粧品に用いられるように、人畜無害である。

 スメクタイトの一種、ヘクトライトであれば、2wt%前後の濃度で固化が生じる。但し、ヘクトライトは高価である。いわき市に工場を持つK社では、これらスメクタイトを大々的に生産・販売しているから、東電の技術者は同社に問い合わせたら良いだろう。

 上記の提案を東京電力のHPに書き込み、また、カスタマーセンターに電話をして担当者に伝えておいた。彼が理解したかどうかは不明だが、参考にしてもらえば幸いである。
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