陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

中共の水問題は危険レベル

2006-09-16 23:36:30 | シナ・中共関係

 数日前、芋煮の為に若者達が材料を仕入れにスーパーへ行くと言うので、私もついて行った。約10人分、購入リストを見ながら賑やかに安売りの棚にある野菜を選んでいる。里芋も長葱も地元産だ。それにオーストラリア産の牛コマ。他県産の大根1本、人参2本、ごぼうの笹掻きに舞茸、それにごま油も入れると言う。それじゃあ、けんちん汁に似てしまうなと言って笑った。

 中国産の野菜、殆ど売っていないですねと一人の若者が言う。確かに、ほうれん草、さやえんどう、椎茸等以前は沢山あったが、今はさっぱり棚に並んでいない。輸入時の食品検査が厳しくなっているのと、消費者が賢くなって、安くても胡散臭いものは買わなくなったからだ。残留農薬、異物混入、不適切表示等に加えて、中国産食品に対する不信感が根強い。でも、スーパーによっては、中国産の浅蜊や鰻の蒲焼き等を安売りしている所がある。加工食品に至っては、一般消費者にはどうなっているのか分らない。いずれにせよ、中共から輸入される食料品については、味覚評価の前に、彼の国の水の問題が根底にあると思う。

 水の確保が充分でないのに、中共は急速な工業化へ突っ走り、生産第一で公害防止を置き忘れた。その歪みは農業へしわ寄せされて、約20年で破綻が見えて来た。昨年から、水に関する問題が隠蔽し切れずに、驚くような情報が流れ出る。ブログでは有名な中国の七色の川と奇形生物があるが、気の弱い方は注意書きにあるように、後半は見ない方が良い。

 情報漏洩防止に躍起になっている中共だが、どうした事か、下記のような秘密内部資料が流出した。上海経由であるけれども、中共の食品薬品管理局には良心的な局員がいて、危機感を持って注意喚起で流したのかも知れない。あるいは、内部抗争の反映で暴露されたのか。日本では、例によって産経新聞のみがこれを伝えている。

-----------------(引用開始)

中国、疾病増加 食の安全警鐘
   重金属や農薬で河川6割汚染 内部資料入手

 【上海=前田徹】中国全土の河川の6割が水銀など危険な重金属や農薬で汚染され、こうした水質悪化が疾病の8割、さらには病死の3割に関係していたと指摘した中国食品薬品監督管理局の内部資料が明るみに出た。また、重金属による汚染面積は2000平方キロメートルにもおよび、汚染地域を含む経済先進都市周辺での食の安全に内部資料は強い疑問を投げかけている。日本はすでに野菜の残留農薬規制を強めているが、ほかにも中国から安い食品を輸入していることから今後、対応を迫られそうだ。

 資料は4章に分かれ、問題の汚染実態は第3章に書かれていた。
 それによると、産業廃棄物による深刻な汚染は中国全土の河川と湖の6割におよび、残りの河川もまだ軽度ながら汚染が進んでいる。さらに農産物に影響のある全潅漑(かんがい)用水の2割が規制基準を大幅に上回る水銀に汚染されている。水質汚染が関係したとみられる症例は全疾病の8割、病死の3分の1にのぼり、2004年以降、幼児の頭が巨大化する奇病が汚染地域で次々に確認されているという。
 体内に残留しやすい有毒重金属による汚染危険地域は(1)天津、北京など渤海沿岸工業地帯(2)上海など江蘇、浙江省の華東工業地帯(3)珠江三角州と呼ばれる華南工業地帯-の3カ所に集中し、汚染面積は2000平方キロメートルに及んでいる。

 また、中国の化学肥料の年間使用量は4100万トンで、その結果、黄河や長江、珠江を経て流れ込んだ無機窒素が中国近海の赤潮の主な原因になっていると内部資料は断じている。毒性の強い農薬使用で汚染された土壌を元に戻すのに最長で33年間が必要という。

 加工食品についても作業員による衛生管理の質が悪く不衛生としたほか、偽ブランド食品の安全性に特に問題があると警告している。衛生より利益優先のため、重さをごまかすのに牛や豚に水を注入したり、大量の食塩を食べさせるなどのほか、ペンキの材料など極度に毒性の強い添加物や防腐剤を使用するケースが多いと、その危険性を指摘している。

 中でも注目されるのは、「根本的な原因を絶たなければならない」とした上で、水質汚染や食品汚染を防ぐ方法として計画経済の手法を採るべきだと指摘している点だ。中国の改革開放政策以来、外国資本を導入した急速な近代化によって汚染が進んだことを反省していることがうかがえる。

 資料を作成した食品薬品監督管理局は2003年4月、国務院(内閣)に発足した比較的新しい直属機関で、前年に日本で中国産ホウレンソウから基準を上回る残留農薬が検出され、社会問題化したためつくられた。
 内部資料は約80ページで、肝心の調査データは添付されていなかったが、発足直後から実施されてきた現地調査に基づいて作られた暫定版のような体裁をとっている。このため、あくまで内部資料の枠を超えないとみられている。
 この内部資料を検討した日本の食品関係会社の専門家は「汚染はあまりにひどい。地方での調査は十分ではなく、実態はもっと深刻なはず。日本側は自らの検査能力を高めて安全を確保する必要がある」と話している。
(産経新聞) - 9月10日8時2分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060910-00000003-san-int

---------------------(引用終り)

 消費者の警戒心が強くなったとは言え、なお中共から野菜や、食品を輸入しているのが我が国の実情だ。国民の健康を第一に考えるならば、政府は更に中共へ情報公開を求め、検査基準の強化、産地明確化にもっと手を打つ必要がある。
  と言っている矢先に、次のような報道。これはもう緊張感が欠けているとしか言い様が無い。

---------------------(引用始め)

福岡市118小学校 給食野菜に残留農薬
 基準の6倍  検査結果待たず配送

 福岡市教委は13日、市立小学校計118校の給食で使用した中国産冷凍キヌサヤから、食品衛生法で定める残留基準の約6倍の農薬メタラキシルが検出されたと発表した。現在のところ、学校側から健康被害の報告はない。市教委は、残留農薬検査の結果が分かる前にキヌサヤを各校に配送していた事実を認め「学校の献立に間に合わせるため、見切り発車をしてしまった。大変申し訳ない」と謝罪した。

 市教委によると、残留農薬検査は、市学校給食公社が食品環境検査協会に委託して8月下旬に実施。検査には約3週間かかるため、市は9月上旬までの献立で使用が決まっていた学校に、検査結果を待たずキヌサヤを提供した。しかし、検査では、基準値(0・05ppm)を超える0・29ppmのメタラキシルが検出された。発がん性はなく、人体への影響はないというが、今年5月に残留農薬の規制の対象となった。

 キヌサヤは今年4月、中国から輸入。農薬は産地で殺菌用に散布されたとみられる。今月6日から12日にかけて学校給食の肉じゃがや八宝菜などの食材として使われ、教師や児童など約6万1000人が食べた。市は当面、中国産キヌサヤの使用をやめる。

 メタラキシルは、野菜の殺菌用に使われる農薬。低い濃度で病原菌に活性を示すため、持続効果が長い。海外で、ポストハーベスト(収穫後に使用する)農薬として、日本への輸出向け農産物に多用されている。

=2006/09/14付 西日本新聞朝刊=
(西日本新聞) - 9月14日10時7分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060914-00000000-nnp-l40

--------------------(引用終り)

 水に関しては、何処の国だって国民自身の命に係わる問題であるから、こちらに限っては中共でも情報公開が行われつつある。大紀元が伝える所では、

--------------------(引用開始)

中国:各地で水質汚染事故頻発、昨年末から130件

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 【大紀元日本9月12日】中国共産党(中共)当局は10日、平均にして2、3日毎の頻度で、中国国内で水質汚染事故が発生していることを明らかにした。最近の事故として、9月8日に湖南省岳陽県で砒素化合物の飲み水質汚染事故が発生している。

 中国環境保護総局副局長の潘岳氏は9月10日に、昨年11月の松花江汚染事故以降、現在まで130件の水汚染事故が発生したと発表した。湖南省岳陽環境監視測定センターによると、基準より10倍もの砒素含量が同県の飲み水の水源である新牆河から水質検査で検出されたという。

 *8万人が影響を受けた

 新牆河の汚染事故が発覚された後、当局は8万人の住民に対して、水道水を飲用しないように警告し、18台の消防車による飲み水の供給を行い、新牆河の上流にある2つの水門を開く緊急措置を取り、水を大量に放流することによる砒素化合物の希釈および排出を図った。

 環境保護総局の潘氏は、現在中国国内で頻発する水汚染事故は、非合理的な関連産業の配置構造と関係することを示唆した。同氏は石油化学企業を例としてあげ、中国にある2万あまりの石油化学企業の大部分が河川沿いに建設されており、その内の2000の企業工場は飲用用水源および人口密度の高い場所にあると指摘した。同氏は、当局は、関連産業の建設用地を配置した当初、環境保護の要素および地元の負荷能力について、熟慮しなかったからだと分析した。同氏は、産業計画、区域計画および河川流域内企業の建設について合理的な設置構造を見直し、当局は環境評価計画制度を検討していることを明らかにした。

(06/09/12 08:44)
http://www.epochtimes.jp/jp/2006/09/html/d11331.html

--------------------(引用終り)

 バランスのとれた産業立国には、常に良質の水が必要である。古来、政治の要諦は<治山治水にあり>と言われた。農業から高度な工業へ国家の生産形態が変化しても、人間がそれに携わっている以上、良質な水の重要性は変わらない。

 空気と水、それが清浄な中に人間性が保たれる。我が国は、天の配剤により豊かな降水量に恵まれ、四面海に囲まれた島国であるがゆえに空気はきれいである(大都会は少々別だが)。アジアで水道水をそのまま飲めるのは、日本、シンガポール等、数カ国のみと言う事を改めて思い出した。


【追記】
 食品残留基準のポジティブ・リスト制度が2006年5月29日から我が国でも施行されたが、これが中共からの野菜輸入に大きな影響を与えている。それについては、ポジティブ・リストの説明を参照されたい。

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