陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

国家の科学・技術予算を仕分け作業の対象にしたのは何故か

2009-12-01 08:57:14 | 国内政治:内閣
 マスコミは、蓮舫参議院議員(当選1期目;42歳)がお好きなようで、彼女の仕分け作業をこれでもかと言う位に画像や紙面で垂れ流している。ご当人も、タレント出身と言う背景もあるのだろう、ここぞとばかりに露出芸に励んでいた。来年の参議院選を乗り切るための布石にしか見えぬ(笑)。

 蓮舫議員が、あらゆる分野の予算案件内容を熟知して仕分け作業に参加しているはずが無い。殆どの質問内容は、財務省官僚達が作った手引き書でやっている。従来は、財務官僚が密室で対話し、予算化諾否を各省庁に下していたが、それと同じ内容を公開しただけで、目立ちたがり政治屋を使った高等技とも言える。

 特殊法人の人件費に噛み付いたのは良かったが、教師の給与関係は民主党を支える日教組に配慮して手付かずになった。歳費支出を抑えると言う本来の仕分け趣旨を通すなら、まず国家公務員給与全体を見直すべきだろう。その前に、国会議員の歳費カットを仕分けしたらどうか(笑)。

 蓮舫議員のスパコン支援予算に関するヒステリックな質問、「何故1位なのか、2位では駄目か?」が象徴するように、彼女はスパコンの持つ意味を理解していない。このような質問から、彼女の幼稚さが曝され、インテリジェンスに欠ける頭脳の持ち主であることが直ちに分かる。

 TOP500のリストを見ると、日本の保有する最速演算速度のスパコンは、海洋科学研究所が保有する「地球シミュレーター」(Earth Simulator: SX-9/E/1280M160;NEC)で、世界レベルの31位である。
http://www.top500.org/list/2009/11/100

 かつては、演算速度で日本がトップであったが、今では韓国(14位)やシナ・中共(5位)にも追いつかないレベルなのだ。

 また、次の記事にあるように、マスコミの短絡振りにも呆れる。


スパコン開発で「ゴードン・ベル賞」 長崎大助教ら受賞
「国内最速」安価で実現

2009年11月27日 00:06

 長崎大工学部の浜田剛助教(35)のグループは26日、国内最速のスーパーコンピューターを開発し、米電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞した、と発表した。同賞はスーパーコンピューター分野のノーベル賞といわれ、市販の画像処理装置(GPU)を使って安価に高速計算を実現したのが受賞理由。同部門の受賞は8年ぶりという。

 政府の新年度予算概算要求の事業仕分けでは、次世代スーパーコンピューター開発予算(267億円)が大幅削減とされたばかり。浜田助教は「高性能の計算機は重要だ」としながらも、巨費を投じた従来の開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」と述べ、低価格化が可能との見方を示した。

 浜田助教らのスーパーコンピューターはGPUを760個並列につなげたもの。1秒間に158兆回の計算ができ、国内最速の「地球シミュレータ2」の同122兆回を上回ったという。

 GPUを大量につなげられるプログラムの開発が成功のカギとなり、数百億円規模が必要とされる開発費用を3800万円に抑えたという。天体物理学などの複雑な計算での活用が見込まれる。

=2009/11/27付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/136999


 浜田氏らの研究成果は大きいし、評価に値する。だが、理研が中心になっているスパコン・プロジェクトは、ハードとソフトの両面で開発を続けようとする内容で、浜田氏らの既存GPUを用いた機材とは大きく異なる。記事にするなら、その点を掘り下げるべきだ。上記記事で演算速度を比較をしているが、「地球シミュレータ」と浜田スパコンの計算内容は異なる。同じ計算プログラムで比較すると、「地球シミュレータ」が圧倒的に早い。また、両者の信頼性と耐久性についても触れるべきであろう。

 西日本新聞は、蓮舫議員を応援したつもりなのだろうが、意図的に混乱した情報を世間に流すのは良くない。

 科学・技術分野への国家投資は、長期的展望を持って行う継続性が極めて重要である。また、文化維持の側面からも、評価は慎重になされるべきである。日本学術会議も、会長談話でその点について主張しているが、マスコミは完全に黙殺している。

我が国の学術研究推進の重要性についての会長談話

 国費の無駄な投資を減らし、より適切な国家予算を作るための一つの方策として、現在、行政刷新会議における事業仕分けが進んでいます。この事業仕分けは国民に対してオープンな状態で行われていて革新的であり、国民から広く受け入れられているものと理解します。一方で、特に基礎科学や科学技術関連の項目についての厳しい判定を懸念する声も聞こえてきておりますので、この機会に中・長期的視野に立った学術研究推進の重要性について改めて述べたいと思います。

 日本学術会議はすでに、「我が国の未来を創る基礎研究の支援充実を目指して」(平成20年8月)と題する提言を発出しておりますが、その中で、将来を見据えた基礎研究への投資こそが我が国が真の文化国家として世界的な学術の発展及び人類の福祉の向上に貢献するものであることを述べました。基礎研究を含む学術研究を大切にする心に支えられて、科学・技術を推進し、その成果を基に社会制度や意識改革を含むイノベーションを創出し、同時に次代を担う人達を育成することこそが、資源・エネルギーに乏しい我が国が先進国の中でプレゼンスを高め国際貢献を果たすことができるための唯一の道であると考えます。

 科学・技術の成果は一朝一夕に成るものでなく、多くの研究者による実験、データ収集、解析・評価、証明など長期にわたる継続的努力の積み重ねによっています。また、多くの研究計画は多数の研究者の議論の積み重ねによって作られています。したがって、基礎研究への投資がたとえ短期間であっても大きく減少することは、研究を実際に担う人材の離散を生じるだけでなく、国際競争力の低下をも招きます。この状態からの回復は困難であり、仮に回復できるとしても、それまでに膨大な時間と資金が必要となり、国際間の大競争時代にあって国家的損失を招くことは明らかです。

 新政権が社会に吹き込む新風に対して、国民は大きな期待を寄せています。鳩山内閣は、総理を筆頭に理系出身の多くの閣僚を含み、科学・技術に深い造詣と理解を有するものと信じております。また、菅国家戦略担当・科学技術政策担当大臣は、来年度予算の柱として、雇用、環境、景気、子どもに科学・技術を加えた5つのKによって、景気回復からできれば成長の方向へつなげていきたいとの方向を打ち出しており、私達科学者も大いに期待しています。

 我が国として、是非人文・社会科学を含む基礎研究から開発研究に至るまでの広い意味での学術研究を重視し、国家百年の計を過つことの無いように心から願っています。

平成21年11月20日
日本学術会議会長
金 澤 一 郎

http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d5.pdf


 蓮舫議員には、この文章を熟読玩味することを薦める。
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夢も希望も無い民主党 (在日民主党)
2009-12-01 18:37:54
事業仕分けの成果は仕分け人の知見や能力などに依存している。
次世代スーパーコンピューターやロケットなどの科学技術関連予算が事業仕分け(税金10億円投入)で見送られるようでは、民主党政権には夢も希望もない。
民主党の蓮舫や枝野のような科学技術に無知で、日本の将来に無関心な人物が仕分け人では、致し方ないこと。
毎年2.5兆円の税金を使う高速道路無料化は、無駄な予算であるから、事業仕分けによって廃止してもらいたい。
民主党には成長戦略が無く、成長のための投資と無駄を区別する能力も無いことが見えてきた。
どこの国の政党か分からない民主党を衰退させなければ、祖国日本が衰退することを憂える。

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