陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

アジア・インフラ投資銀行の意図するものは?

2015-03-28 11:59:30 | シナ・中共関係
 習近平政権は、2年前からアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の設立を提案し、各国に出資参加を呼びかけて来た。その申し込み締め切りが今年3月末である。現段階で、創立メンバーとしてASEAN諸国、中東諸国、中央アジア諸国、インドなどが参加を表明した。

 また、英国を始めとして、仏、独、伊、ルクセンブルグ、スイス、オーストリアなどの欧州諸国も参加すると言う。経済的に習近平主席に取り込まれた朴クネ大統領も、迷った挙句土壇場で参加の意向を表明。「バスに乗り遅れるな」のフレーズを何となく思い出す。
この銀行設立の意図が、ドル基軸体制(ブレトンウッズ体制)に対するシナ・中共の挑戦と見做す米国は、当然自身の参加は保留している。アジア開発銀行(ADB)のリーダーである我が国は、米国と歩調を合わせて、参加を先延ばしにする心算だ。

 AIIBの準備金1000億ドル(=12兆円)の半分程度をシナ・中共が出資するらしいが、融資条件、担保の内容など、不透明なことが多い。拠点は北京に置くようで、そのビルも基礎工事に着手したばかりと言う。シナの不動産バブルは既に始まっているのだが、そのビルも不良債権化する可能性が高い。

 このAIIBに関する問題点を、 ZakZak が解説している。

中国投資銀、公正性や審査能力など疑問だらけ 他の国際機関に損害を与える恐れ
2015.03.25

 中国主導で設立準備を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に深刻な懸念が浮上している。参加表明国も増え、日米主導のアジア開発銀行(ADB)に対抗すると息巻くが、中国が突出する枠組みは公正性に乏しく、審査能力にも疑問符が付く。そもそもADBの最大の借入国である中国が「まず借金を返すのが筋では」との指摘もある。安易な参加は、巨額債務と低成長にあえぐ中国に利用される恐れもある。

 AIIBは、新興国に鉄道や道路、発電所などの建設資金を融資することを名目に設立。資本金は1000億ドル(約12兆円)を計画。ADBの資本金1650億ドル(約20兆円)に対抗しようとしている。

 創設メンバーには東南アジア諸国連合(ASEAN)の全10カ国やインド、中東諸国、中央アジア諸国など計27カ国が決まっている。

 中国が創設メンバーへの参加期限とする3月末が迫る中、英国、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、スイスも参加表明。韓国も中国の強い圧力に屈する寸前だ。

 米国も「国際金融機関はとても高い基準が求められる」と融資審査など運営面に懸念があるとの見方を示唆する一方、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)はオバマ政権が中国側に対して、世界銀行やADBとの共同出資事業を提案していると報じた。

 日本でも、麻生太郎財務相が「(AIIBの)中に入って協議していく可能性はある」と参加に含みを持たせたと伝えられたが、安倍晋三首相は「中国が国際社会のルールや法の支配を尊重する形で発展をとげる」よう求め、疑問点が解消されないままの参加には消極的な考えを示した。

 一方で、日本が歴代総裁を出しているADBを中国は露骨に挑発している。楼継偉財政相は22日、ADBの運営が「官僚主義で煩雑で、最良とは言えない」と批判した。

 北京で開かれた経済フォーラムでの発言で、ADBの中尾武彦総裁も参加していた。中尾氏が、AIIBの投資対象のプロジェクトは環境保護への配慮などが必要だと指摘したところ、楼氏は「(欧米や日本が中心の国際機関の)既存の制度が全て良いとは思わない」と反論した。

 そんなAIIBでは中国の存在感の大きさが目立つ。ADBは日米主導とはいえ、出資比率は日本が15・7%、米国が15・6%にとどまっており、本部はフィリピンのマニラに置かれている。これに対しAIIBでは中国が40~50%出資するとみられており、本部も北京が予定されている。

 そもそも昨年6月時点のADBの国別発効済み融資残高で、全体の25・3%とトップを占めるのが中国だ。ADBからの借金が最も多い国がADBを批判しているというおかしな構図だ。

 銀行としてイロハのイである審査能力も疑わしい。中国国内の投資でも、2009年に完成した三峡ダムは深刻な環境破壊を引き起こした。11年の高速鉄道事故も記憶に新しい。

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「融資のチェックを誰が行うのか歯止めがない。海外へ進出した中国の民間企業のうち7割は赤字を計上しており、AIIBでもでたらめな融資が行われるのではないか。そもそも中国が銀行を立ち上げるなら、まずADBからの融資を全額返済すべきではないか」と指摘する。

 AIIBは、借り入れ国の返済能力を超える巨額の融資が行われ、別の国際機関に損害を与える恐れがあると指摘されている。それどころか、「融資を受ける国は、必ず中国の製品を買わされるはずだ。ヒモ付き融資がAIIBの真の姿かも知れない」(同)というのだ。

 中国経済の先行きも厳しい。米マッキンゼー国際研究所の報告書によると、中国が抱える債務は07年以降3倍に膨らみ、28兆2000億ドル(約3385兆円)と、国内総生産(GDP)の3倍近くに達する。

 経済成長率についても、中国政府は14年の数値を7・4%と公表したが、英国のシンクタンク、ロンバード・ストリート研究所は、実際には4・4%だったと推計している。

 自国の経済が傾きつつあるなかで、半ば強引に進められる銀行構想。前出の勝又氏は、「中国の過剰生産能力は、低成長の国内では処理しきれない。そこで、編み出されたのがAIIBという舞台装置だ」とみる。

 実利を求めて参加しようとする国も、本当においしい思いができるのだろうか。
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150325/frn1503251550001-n1.htm

 部分的にシナ・中共と協力関係にあるロシアは、態度保留である。現段階では、原油価格の低下とルーブル通貨の暴落により目減りした外貨保有を、これ以上減らしたくないからだ。

 欧州で英国が最初に参加表明したのは、香港上海銀行(HSBC)を保有するサッスーン財閥(ロスチャイルド系列)による英政府への働きかけがあったのではと想像される。欧州は景気が悪いから、アジア後進国のインフラ整備に関与したいはずだ。

 評論家の宮崎正弘氏は、凋落するシナ経済を見据えて、AIIBに批判的である。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015) 3月24日(火曜日)
     通巻第4495号  <前日発行>
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 「日本政府は無能、中国に完敗」と日刊現代の報道に感涙した中国紙
   アジアインフラ投資銀行に参加表明しない日・米を揶揄した日本のメディア
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 日本の極左新聞『日刊現代』が、日本の立場を徹底的に批判し、中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加表明したドイツ、フランス、イタリア、そして英国に先を越され、日本政府が無能ぶりを天下に曝したと報じたことが、中国メディアは嬉しくて仕方がないらしい。
同紙が『日本の完敗』と書いたことがよほど気に召したらしいのだ。

 すでに述べたようにアジアインフラ投資銀行は、まだ発足もしていないうえ、本店ビルは基礎工事を終えたばかりだ。
資本金の払い込みも遅れており、実質は中国が60%程度負担することになる。つまり、この銀行は政治資金を活用してアジアの政治攪乱、ひいては金融覇権を目ざす野心的試みとはいえ、ドル基軸体制に挑戦するという銀行がドルによる運用をするのだから、この矛盾に対して中国から何の回答もない。

 欧州が加わるのはユーロが価値を激減させている最中、すこしでも米ドルが弱くなることを歓迎する政治的意図がありありとしており、中国に本気で協力しようとする姿勢はまったく見あたらない。

 いずれアジアインフラ投資銀行は空中分解か、最初の貸し付けが焦げ付き、増資を繰り返しながらの低空飛行となるだろう。

 つまり日本は歯牙にもかける必要がないのである。
http://melma.com/backnumber_45206_6183338/
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