テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

羨望の、美術館巡りの著。

2007-08-09 13:31:40 | ブックス
 厚いです。上質な紙と印刷で、重量もあります。
 大部の著、というべきですね。
 が、その大部にしてなお、頁数が足りないと思わせる充実の書です。
 本日の御紹介は、大迫力の、こちら。


       ―― 美の旅人 フランスへ ――


 著者は伊集院静さん、’07年4月刊行の作品です。
 かつて『週刊ポスト』に連載されたものに
 加筆&再構築、書き下ろしも加え、この一冊になりました。

「ネーさ、えがいっぱい、でスね」

 美術館巡り、絵画鑑賞の旅の御本ですからね。
 図版が豊富なのは嬉しいことです。
 しかも、すべてカラー! 
 モノクロで妥協しなかったところが素晴らしい!
 (資料用の写真にはモノクロもありますが、これは必然です)

 旅ゆくは、フランスの地。
 ルーヴルでの観察・考察は綿密です。
 ただ、多くの名画家、天才の技よりも、
 伊集院さんが心惹かれるのは、日本では殆ど無名の画家、
 ジャン・フレデリック・バジール。
 
 ルノワール、モネ、セザンヌら友人や
 家族が反対するのも聞かず
 バジールは自ら進んで戦場へ行きました。
 祖国のために、と。
 そして若すぎる死。
 もし彼が、モネのしたように、
 国外へ逃れていたなら?
 そうしたら?

 どこかもの言いたげに、
 バジールの描いた『村からの眺め』という画が、
 1ページを占めて大きく掲載されています。

「よいえ、でス……」

 戦争に翻弄されたもう一人の画家、
 藤田嗣治も取り上げられています。
 かつて長崎を原爆が襲ったのと同じ日付の、
 今日という日に、
 読むのがふさわしい御本であるような、
 そんな気がしました。

 

 

 
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