テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 劇場が《謎》を呼ぶ ~

2023-06-22 22:07:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いざッ、まくをォ~あけよッ!」

「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!照明ON!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 開幕を告げるベルが鳴って、

 さあ、読書タイムの始まりですよ。

 本日は、《演劇ミステリ》とも言える↓こちらの長編作品を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 闇が迫る ――

 

 

 著者はナイオ・マーシュさん、

 原著は1982年に、画像の日本語版は2023年5月に発行されました。

 英語原題は『Light Thickns』、

 『マクベス殺人事件』と日本語副題が付されています。

 

「ぱちぱちぱちィ~!」

「ぐるるがるるぐる!」(←訳:まずは第一幕から!)

 

 ウィリアム・シェイクスピアさん作『マクベス』。

 

 ロンドンのドルフィン劇場では、

 いままさに『マクベス』上演準備で

 役者さんもスタッフさんも、そわそわ、ピリピリの真っ最中です。

 

 演出を担当するペレグリン・ジェイさんは、

 実力ある役者さんを集め、

 美術や衣装も優秀なスタッフで固めて、

 舞台稽古もリハーサルも、

 順調に進行中――

 

 と言ってしまっては、

 そわそわピリピリの説明がつきませんよね。

 ええ、実は……

 

「とらぶるゥ、なのでスゥ!」

「がるるぐるがる!」(←訳:何かがヘンだよ!)

 

 ジェイさん、役者さんに倒れ方を実演してみせた際に

 怪我をしてしまいました。

 いえ、ジェイさんのミスではありません。

 倒れた場所に、ある筈のないモノが置かれていたのです。

 

 それは、劇中で使用される、中世の武具。

 幸いにもジェイさんの怪我は重傷ではなく、

 彼は出演者ではありませんから、

 翌日も『マクベス』の稽古は粛々と実行されました。

 

 他にも、細々としたトラブルが、あれこれと。

 

「ふあんッでスよゥ!」

「ぐるるるるるがる……」(←訳:落ち着かないよね……)

 

 不安を喉元に溜め込んだまま、

 最終リハーサルへ、

 そして初日の上演へ、と

 時間は容赦なく進んでゆきます。

 

 演劇の都・ロンドンで、

 薄っぺらい現代モノなんかじゃなく、

 あの『マクベス』を、

 シェイクスピアさんの最も有名な作品のひとつを、

 小学生でも筋書きを知っている作品を上演するということは、

 なかなかの《冒険》で《挑戦》なのでした。

 

 はたして、ジェイさんの『マクベス』を、

 新聞の演劇欄はどう論評するのか、

 批評家さんたちは、貶すのか、讃えるのか……?

 

「まくがァ、おりるゥまでェ……」

「がるぐるがる……!」(←訳:そわそわそわ……!)

 

 結果は……おお、なんと!

 

 観客さんは総立ち!

 新聞は絶賛!

 気難しい批評家さんも好意的!

 ロングランも即決定!

 と、四方八方まぁ~るく治まる成り行きに、

 ジェイさんも役者さんも祝杯をかかげて、笑顔また笑顔。

 

 良かったわね、と私たちも

 山ほどの拍手を送りたい、んです、が……。

 

「ゆだんッたいてきィ~!」

「ぐるるがるぅ!」(←訳:急転回だよぅ!)

 

 2週間の大入り満員が続いて後、

 ジェイさんは久々に劇場を訪れます。

 劇はよどみなく進み、

 そして、

 血に染まったマクベスの首が掲げられる場面で――

 

「あッ!」

「がるっ!」(←訳:ああっ!)

 

 現実のものとなった、悲劇。

 事故ではない、事件、です。

 

 事件と相対するのは、

 ロンドン警視庁の首席警視ロドリック・アレンさん。

 アレン警視をよく御存知なのは、

 よほどのミステリマニアさん、でしょうか。

 

 著者のナイオ・マーシュさん(1895~1982)は

 母国ニュージーランドや英国ではとても有名な作家さんですが、

 日本語に訳された作品はあまり多くありません。

 私ネーさ、マーシュさんの大ファンなので、

 もっともっと訳出されるようにと切望しております!

 

 おっと、話が逸れてしまいました。

 ヴィンテージミステリ好きな活字マニアさんに、

 演劇好きな活字マニアさんにもおすすめの一冊ですよ。

 本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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