テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

想い、12コ。

2018-03-11 22:02:59 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 きょうはァ、とくべつないちにちィでス!」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!忘れないぞ!)

 こんにちは、ネーさです。
 また“3月11日”がやって来ました。
 この日付を嚙み締めつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~!

  



           ―― 絶望図書館 ――



 編集者は頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)さん、2017年11月に発行されました。
 『立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』と
 副題が付されています。

「ぜッ、ぜうぼうゥ??」
「ぐる~!」(←訳:重い~!)

 今日という日に、この題名は……重苦しいかしら、
 少々わざとらしいかもしれない、と悩んだのですが、
 敢えてこの、12篇の作品から成るアンソロジーを選んでみました。

 《内容紹介》によれば、
 この御本には、いえ、この“図書館”には、

   絶望的な物語を集めたのではありません。
   絶望から立ち直る物語を集めたのでもありません。

   絶望した気持ちに
   寄り添ってくれるものばかりを集めました。

   それで何かが解決されるわけではないのですが、
   しかしそれでも、命綱となることがあります。

 という“利用案内”が掲げられています。

「いのちィづなァ~…!」
「がるるるるるる!」(←訳:届きますように!)

 絶望、とひと口に言っても、
 いろいろな種類の絶望があります。

 この御本に収められているのも、
 人が怖い、
 運命が受け入れられない、
 よるべなくて切ない、など
 形も状況も、
 そして表現方法も異なっている作品たちです。

 児童文学あり、
 エッセイあり、
 小説あり、
 マンガもあり。

「えッ? まんがッ?」
「ぐるるるるるー!」(←訳:手塚さんのだー!)

 そう、本文の12番目に収録されているのは、
 手塚治虫さん著『ハッスルピノコ』。

 手塚さんの代表作『ブラック・ジャック』の登場人物として
 活字マニアの皆さまも
 ピノコちゃんの存在はよく御存知でしょうが……

 小さなピノコちゃんも
 絶望を抱えて生きています。

 彼女と表裏一体、
 彼女そのものであるともいえる絶望とは――

 手塚さん独自の丸いタッチで
 愛らしく描かれたピノコちゃん。
 流す涙はまさに《マンガ》のようで、
 深刻そうには見えなくとも。

 はたして、
 ブラック・ジャックさんの神業をもってしても
 彼女をその深みから救い出すことは、出来るのか。

「まだまだァ、わかりませんでスゥ!」
「がるるるぐるるがぅる!」(←訳:ガンバだピノコちゃん!)

 もちろん、
 手塚さんの作品に辿り着く前に、
 エッセイやミステリにも挑んでみてくださいね。

 私ネーさのおすすめは、
 ウィリアム・アイリッシュさんの
 『瞳の奥の殺人』です。

「おそろしいィじけんでスゥ!」
「ぐっるるっるるるるがるるぐる!」(←訳:ヒッチコックさんの映画のよう!)

 そして、御本の巻末には
 編者・頭木さんの『あとがきと作品解説』の他に、
 もうひとつ、
 フランツ・カフカさんのこんな言葉が付されています。

   本には、
   悲しんでいる人を
   助ける気持ちなんか、
   ちっともないとしても、
   本を読んでいる間は、
   ぼくは本にしっかり
   すがりついていられる。

「ほんがァ、あればア~…」
「がるるぐるる……?」(←訳:何かができる……?)

 本があれば。
 本と一緒なら、たぶん。

 ええ、その想いだけで充分なのだと信じて、
 若芽のようにやわらかなこころで
 ぜひ、一読を。
 
コメント
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