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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 夜のはて ―

2018-03-15 22:14:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 すみれッ、さきましたでス!」
「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!フキノトウも!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅が咲き、スミレが咲き、このままサクラも開花するんでしょうか♪
 いえ、油断大敵だわね、
 寒の戻りに戦々恐々となりながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日ご紹介いたしますのは、
 春の訪れに相応しいこちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  



           ―― 極夜行 ――



 著者は角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さん、2018年2月に発行されました。
 『空白の五マイル』『雪男は向こうからやって来た』
 『アグルーカの行方』『漂流』……と著作リストにも明らかなように、
 《探検》をやらせたら
 この御方の右に出る者なし、という
 ノンフィクション作家・角幡さんの最新刊です。

「こんどはァ、どんなァたんけんッでスかッ??」
「ぐるるがるる?」(←訳:遠くへ行くの?)

 新たな《探検》の舞台を、
 御本の表紙と題名から察し得た活字マニアさんも
 少なくはないことと思います。

 極夜(きょくや)。

 高緯度地方の夏の、
 日が沈まぬ白夜(びゃくや)とは反対に。

 太陽が地平線の下に沈んで姿を見せぬ、
 長い夜――

 緯度によっては、
 極夜は三ヶ月も四か月も、
 いや、半年も続くところもある、
 “光のない”空間です。

「ええッ? よんかげつゥ、まッくらァ??」
「がるるぐるるるがる?」(←訳:半年も太陽なしなの?)

 長い長い、漆黒の夜。

   そこに――極夜の世界に行けば、
   真の闇を経験し、
   本物の太陽を見られるのではないか。

 そう、今回の《探検》で角幡さんが向かうのは
 北緯77度47分、
 北極圏の中でも最北、超極北エリアにある
 グリーンランドの小さな猟師村・シオラパルクです。

 とはいえ、角幡さん、
 いきなり極北の地へ乗り込んだ訳ではありません。

 2012年の冬からコツコツと、
 極夜の地への旅や過ごし方を想定し、
 準備を続けてきました……が。
 
「うゥ? まさかッ?」
「ぐるるるるがるるる?」(←訳:出発寸前にトラブル?)

 いざ冒険の旅へ!と意気込んで
 ページを捲った読み手さんの
 ビックリ仰天したお顔が想像できます。

 御本の冒頭の章題は、
 『東京医科歯科大学附属病院分娩室』。

 分娩室で陣痛に絶叫しているのは、
 えっ?
 角幡さんの奥さん??

「えええェッ???」
「がるるるっ???」

 なんと、この御本は
 角幡さんの奥さまの出産シーンから
 幕が開きます。

 我が子の誕生にオロオロあたふたし、
 混乱する角幡さん。

 しかし、
 その腕に生まれたての赤ちゃんを抱いた瞬間が、
 まさしく《探検》に踏み出す第一歩でもあったのでした。

   すべての人間が
   等しく見る最初で最後の究極の光――

 極夜のはての光を、
 私の目にも。

「うわァ! でもォ、ほんとうにィ?」
「ぐっるる?」(←訳:真っ暗闇?)

 北の地で、どんな冒険、どんなムチャ、
 どんなアクシデントが
 ひとりの探検家を待ち受けているのか、
 それはここには記せません。

 角幡さんがしたように、
 一歩一歩、
 一ページ一ページ、
 御自身の眼をたよりに進んでいってくださいね。

「ことしのォ、べすとぶッくゥ!」
「がるるぐる!」(←訳:大本命です!)

 皆さま、ぜひ、一読を♪