「鷺踊」歌にのせて 祇園祭 千之丞さん遺志継ぎ
祇園祭の神輿(みこし)洗いに先立ち、京都市内で10日夕方からあった「お迎提灯(むかえちょうちん)行列」で、子どもたちが舞う「鷺踊(さぎおどり)」の曲に初めて歌詞が付いた。
約60年前に鷺踊の復活と指導に努め、2010年に亡くなった狂言師の茂山千之丞さんの願いがかない、囃子(はやし)にのせた歌が響く中で舞を披露した。
鷺踊は、15世紀に存在した「かささぎ鉾」の周囲で舞っていたとされる。鉾は途絶えたが、島根県津和野町に伝わっていた鷺舞を参考に、戦後始まったお迎提灯行列に加わった。
行列は市内の料亭などでつくる祇園万灯会の有志が催している。
千之丞さんは津和野での調査や京都での再興で中心となった。
かささぎ鉾の稽古を題材にした狂言「煎(せん)じ物」で、囃子と歌にのせて薬湯を売る場面があり「いつか歌詞を付けたい」と願っていた。
遺志を継いだ長男の茂山あきらさん(60)が今年5月、歌を新たに録音し、子どもたちに稽古を付けた。
行列は東山区の八坂神社を出発し、中京区の市役所前で鷺踊を披露した。
曲の後半で「かささぎの橋を渡いたりや そうよの」と歌が流れ、鷺にふんした子どもたちがかわいらしく舞った。
八坂神社能舞台前でも演じた。
鷺踊を見守った茂山あきらさんは「おやじの思いが実現できてありがたい。
このかたちで続いてほしい」と話した。