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べギン会の冬ごもり




冬の夕暮れ、家屋の明かりが灯り始めるべギン会の庭は平和だ。
なぜかひどく懐かしい気もする。


ベルギーには13のべギン会が残されている。

ガイドブックなどでは「べギン会修道院」と紹介さレていることが多いものの、修道院ではない。

12世紀に起源を持つ、今よりもさらに社会的地位が不安定だった女性たちの共同生活組織だ。
あえて言えば「半聖半俗」の女性のコミュニティで出入りは自由であり、キリストの生き方に倣い、清貧と弱者救済に努めた。

インフラ(上下水道、送電、通信、教育、医療など)、経済学者の宇沢弘文が「社会的共通資本」と呼んだ、生活の基盤となる設備やサービスをコミュニティで管理・運営し、上意下達ではなく、メンバーで自治する生き方、わたしもとても憧れる。

老後は、緩く横につながったそんな生き方がしたい。
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ブルージュを映す水鏡




からっと晴れている限り、冬のヨーロッパは大好きだ。

過去数年間は帽子も手袋も必要のない冬だったのだが、今年はタンスをかきまわして探したり、新調する人が多いかもしれない。


このブルージュの有名な運河が氷りつき、十分な厚みがあると市が許可を出すと、ここでスケートができる年がある。
今年はそこまで寒くならないだろうけれど...

想像しただけでもアシュトン振り付けのバレエ Les Patineurs『スケートをする人々 (レ・パティヌール)』のように素敵。
あるいはブリューゲルの絵画か、フランダースだけに。

わたしは98年から11年までブルージュに住んだが、凍ったのはたった一度だけだった。

夫が子供の頃は毎年とはいかないまでも、しばしば凍っていたそうだから...


暖炉は冬の楽しみの第一で、カーボンニュートラルで比較的環境にやさしい主張する人もいるが、たとえばブルージュの町中が暖炉に火を入れたら...と考えてしまう。


この日、友達と朝食を食べるために凍てついたザンド広場を横切って、暖炉の燃える店内に入ったら、彼女の笑顔が待っていた。
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ブリュッセル、わた雪。




ブルージュは晴れていたのに、80キロほど離れた内陸のブリュッセルでは頼りなさそうなわた雪が舞った。


西ヨーロッパは寒いだろうとよく言われるが、わたしが長く住んでいる英国南部も、13年住んだベルギー西部も、太い暖流のおかげで内陸ヨーロッパほど寒くない。

神戸での子供時代の記憶には冬には雪があったものの、最近ではおそらく厚く積もったりしないのと同じように、こちらでも運河が凍ったからスケートとか雪だるまを作って遊んだなどの記憶は数えるくらいしかない。

「北海の波が凍った」という、想像するだけでゾクゾクする話は、数十年前に一度あり、今も70歳以上の人たちの間で語り継がれているが...


2023年は「最も暑い年」になった。
コペルニクス気候変動サービスの発表では、 世界の平均気温が観測史上最高を記録した。
1850年の観測開始以来、最も高い気温で、産業革命前に比較すると1・48度高いという。
忸怩たる思いしかない。




今年もずっと暖かかったのだが、急に冷え込み、冬がこんなに寒くなるということを忘れていた人たちは寒い寒いと言いながら、顔を真っ赤にし、手を擦り合わせていた。

久しぶりに見た、雪。

ランチが終わって店を出る頃には晴れていたけれど...

ブルージュには降らなかった。
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初詣




年末はぎりぎりまでブルージュに帰省しており、しばらく来ないかなと思っていたのだが、週末からまた来ている。

まだ済ませていなかった初詣は、ブルージュに25あるといわれる教会の中でも、わたしが一番好きなバロック様式の聖ヴァルブルガ教会...


は、年末年始の光のショーWintergloed (冬の輝き)の最終日で、バロック様式がバロック意匠をさらに重ねたようなインスタレーションがされていた。
(異国や異教の影響を受けた怪物やグロテスクな意匠、という意味では、18世紀に流行った、吸血鬼やフランケンシュタインなどのゴシック・ロマンス的でもある)

タイトルは『鼓動』。
観客が、所定位置を歩くと、その人の脈拍が教会内の赤いライトと連動してドクドクと動くという趣向。

教会が生きた大きな生き物のようだった。


龍?!

辰年だけに...
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ベルギー人も唸る、空也のもなか





夫はなんでもおいしいおいしいと食べるタイプだ。

もちろん和菓子、餡やもなかも大好き...

とはいえ、「甘くなくておいしいね」と、生意気なことを言いながら、非常に貴重な空也のもなかを非常な勢いで食べる彼を見ていると、「ベルギー人はその辺のチョコレートでも食べといたらよろしいわ」と心の中で思うのである。



はい、モエ、持ってます!
食べ物の神様に愛されています!

銀座・空也のもなかの話が出たのは、おいしいものにも大変くわしい関西の友達からだった。

今回、東京滞中、自分も予約チャレンジするつもりではいたが、まずは東京の友達らが電話予約にチャレンジしてくれた。

が、みんな全然電話が繋がらない、と言う...
一回だけ繋がったら休日の留守番電話だったとか、「12月の予約分は毎年早々に完売するものだから」とか...


日本出国の2日前、銀座での会食前に閉店間際のお店の前を通りかかった。
ダメもとで「明日の分予約できるかしら」と申したらば、返答は「申し訳ございません、12月枠は完売しておりまして」。

が、続けて「先ほどキャンセルが出た本日分なら2箱ございますがいかがですか」と...

えええええー!

わたしがお店を出ようとしたときに入ってこられたお客さんの視線が冷たかった...そして友達みんなに羨ましがられた。

2023年の運を、年末に全部使い果たしてしまった。
宝くじを買ったらよかったかもしれない(笑)。
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