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英国で主婦は見た




ロンドンの最新ファッションを扱う高級百貨店やセレクトショップに入る。
店員さんはみな、外国人である。
ファスト・ファッションの店も、ファスト・フードの店も似たり寄ったりだ。

ロンドンの5つ星ホテルに入る。フロントも、マネージャーも、シェフも外国人である。
たぶん星1つでも同じ事情なのだろう。

Bホテルの顔見知りのバアテンダーはポーランド人で、かたわらの同僚はハンガリー人だ。
彼女達はほんとうによく働く。
(話し好きの夫が聞き出した話では)例えばある日は22時まで働いた後、地下鉄とバスを乗り継いで2時間かけて家に帰り、朝食の番のために朝7時にホテルに戻る...のだそうだ。

そう言えば知り合いのロシア人は教師で、職場にいわゆる「ネイティブ英国人」はいない、と言ってたな。

美容師さんから聞いた話によると、彼女の働く美容室に「西側先進国」出身者は2名しかいない。
他はルーマニア、ブルガリア、チェコ他から手に職を持って出てきた人たちであり、彼らは安い賃金に堪えつつ、組合があるわけでもなく、それでも雇い主に文句ひとつ言わない。文句には「じゃあ辞めたら?代わりはいくらでもいるから」と返されるのがオチだからだ。祖国へ帰るよりも、英国のそんな生活の方がずっとまし、というわけだ。



企業は安い賃金で長時間労働をいとわず、文句を言わない労働力を歓迎する。しかも手に職があるとなればなおさらだ。最初の社員教育に投資する必要がなく、最後は使い捨てができる。それでもってコストを削減し、儲けを増やし、さらに安価で商品を提供し、さらに儲けを増やす...鬼のようなやり方だと思われるかもしれないが、資本主義下ではこういうやり方が「正しい」のである。


その一方で資本主義に参加できない、しない層が存在する。資本主義の「飴とムチ」(がんばったら、こーんないい車に乗れるぜ、とか)が通用しない層だ。

移民のように安い賃金では働きたくなく、移民のように長時間労働に堪えられず、移民のように手に職がない...(移民に就職の機会を奪われていると看板には書いてあるかもしれないが、それは別の話だ)

今年、ロンドンで暴動を起こしたのもこの手の層だと言われている。あるいはたとえ現在職についていても、その待遇を理不尽だと常々感じている人々。


無論、暴動などの反社会的な破壊行動は未来を生まない。
でも、目先の成長に目がくらんだ企業と国とが、コストがかかっても次の世代を育てるとか、コストがかかっても地元に還元するとか、そういうことを忘れてしまったら、その国には未来がないと思う。
もちろん一方で移民を暖かく迎え公平に待遇するなら慶賀である。

それゆえ、はっきり言って、英国には未来はないと思う。
日本がもし今後も「グローバル化」を目指すのなら、十分注意すべきだ。移民を入れないよう注意しろ、という意味ではなく、移民がいるからといって次世代を育てたり地元還元することをおろそかにしないよう注意しろという意味で。
「国際競争に生き残るため」英語で仕事ができない人は辞めてもらうと公言しているような大企業は要注意だ。

完全自己責任社会の出現に耐えられる人は、パレードの法則ではないが2割くらい、残りの8割は会議ができるだけの英語力がなく、中程度の能力もないかもしれない「普通の人」なのである。ここをどう生かし合うかが成熟した社会の一番大切な仕事だと思う。それ以外に何があるだろうか?


そんな感覚では国際競争に生き残れないと○井さんや○○谷さんには言われるかも...しかし英国は一見生き残ったように見えるけれど、先は真っ暗だと思う。

今後もたくさん生産してたくさん売る式の商売がずっと可能だと思える感覚の方が危ういと思う。
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