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クリスマス前の街で




クリスマス前、最後の土曜日。
人々はクリスマスショッピングに邁進し、店も一年で一番大きい売り上げを狙う。


わたしと夫も買い物に邁進する側の人間で、早朝ブラッセルに到着し、朝食をすませてすぐ午前10時前の街に出た。
一番最初に来たのは、先日ためらって購入しなかったクリスマスフレーバーを買い足すつもりでネスプレッソブティック。
店の前にまで来たらば開店の8分前で、わたしたちの前には白髪のマダムと、若い男性が既に並んでいた。


今週は零下の日々が続き、今朝は温度計によれば零下10度、もちろん雪は歩道にもだいぶ残っているし、立っているだけでつま先から冷気が這い上がってくる。
そのうち三々五々お客さんが集まって来て、開店5分前には閉ざされた門の前に10人ほどのネスプレッソユーザーがぴょんぴょん飛びはねながらたむろしているというシュールな風景が展開された。

店内からは我々の様子が丸見えにも関わらず(もちろん我々からも店内の様子は丸見え)、結局10時すぎまで何の反応もなかった。


もしかしたらネスプレッソは、その独特の商戦のはり方と同様、開店/閉店時間も厳しく本社から監督されているのかもしれない。定時にならないとレジが動かないのかもしれない。ブラッセルの小店舗に采配はないのかもしれない。

だが、わたしは言いたい(笑)。
ここで
「お寒いでしょうから開けますね」
と、開店5分前に店を開けたら、顧客にどんなに喜んでもらえるだろうか、ということを。

働くということの本質は、イレギュラーな工夫をすることによって、「他人に喜んでもらう」ということではないのか?


たかが5分でしょ?待てないの?待てないんだったら出直して来たら?
と、いう議論をするつもりはない。
ええ、5分くらい待てますよ。一番最初に来たというマダムが蒼白な顔色をした大変お年を召された方で、寒くてお気の毒だな、と思いながらね。
あるいは出直してこい、と言える人は師走の大人の都合をよくご存じないね。


5分前はまだ店員の接客義務が発生する時間ではないとか、5分間の働き損とか思う人は、給料分の働きは得られるかもしれないが、労働の喜び(つまり他人に喜んでもらえること)を知らない人なの...(残念だが欧州にはこういうタイプの労働者が多い)かもしれない。


メリークリスマス、ネスプレッソ。
ジョージも何か言ってやってよ(笑)。


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