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Brugge Style
好きな男のためにおっちょこちょいをした話
わたしはチェーホフが好きである。
顔が長いという外見もだが、もちろん作品が
(実際彼はモテたそうだ)。
チェーホフの絵本があるという話を聞いたので、ひいきにしているインターネットの本屋で検索してみたら、4冊も出版されている。
おお、娘に「この世のスキ間をすべて意味で埋め尽くすことはできない」とか、「優れた文学の持つ要約の不可能性」とかいうことを教えるのに最適ではないか。早速注文。
こんなことを7歳児に教えよう!と意気込むのがもうおっちょこちょいである。
今日届いた。
「子犬のカシタンカ」(二頭目を飼うことがあったら、名前はカシタンカに決まり!)
「すぐり」
「少年たち」
「うたかた」
しかし、これ、絵本は絵本でもわが娘には読めない絵本である。
読み聞かせてやっても、
「こういった秩序も必要ではあるでしょう。でも、彼らの沈黙なしに、幸福は存在できないのです。これは世の中の全体がかかっている催眠術ですよ。」(「すぐり」)
大人にはうっとりものだが、子どもに説明(それも無茶な説明)をするとしたら2行につき1時間、必要だ。こういう文章は黙読用である。
中でもなんとか読み聞かせにいけそうなのは「カシタンカ」くらい。
仮に将来、娘の日本語が夢のように上達したとしても、この絵本が読めるならば普通のチェーホフが読める。絵本である必要は全くない。いや、普通のチェーホフなら、将来彼女は無理なくオランダ語か(英語でも)読めるのだ...
まさかこれらは児童書を装った「大人のための絵本」では...。
失敗。授業料8千円なり。
今後は好きな男が書いた本だからと舞い上がらず、版元に問い合わせるなりして、もっと落ち着いて買い物をしよう。
インターネットの本屋さん、あなたがたの便利さにはいつも助けられているワタクシですが、短編集であるならば目次が見られたり、絵本であるならばターゲットはどのレベルであるか(字の大きさとか文章の長さとか)などが分かるようなシステムを作って下さい。
好きなモノや男に一瞬興奮させられやすく、そのために一瞬おっちょこちょいを冒しやすく、また一般的には話題にもならない地味な本ばかりを購入するわたしには相当に役に立つに違いない...
もしこれらの本を気に入った!大好き!という子どもがいたら、会って話をしてみたいものである。わたしたち、お友だちになれそう。
あるいはチェーホフその人が夏の草原のピクニックで語るのを聞きたいなあ(もちろん映画の中などで充分よ)。
(今日のタイトルはちょっとチェーホフ風にしてみた。雰囲気だけど。)
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