silly ski squadronスキー雑記

バカなスキー集団。スキーならなんでもやります京都方面本部。
突撃我ニ続ケ!!

ちょっと待て!オピニオンリーダーの意見を鵜呑みにすべからず!

2011年11月02日 00時08分24秒 | スキー・自転車・糖尿・メタボリック
『肥満によってインスリン抵抗性が起るとされているが、日本人の2型糖尿病患者はBMI平均値が23で、肥満していない場合が多い。肥満していなくてもインスリン抵抗性を来す例は多く、心血管疾患による死亡者の80%はBMI25以下である。
これをどのように解釈すべきか』。。。とこの後、このJC医大循環器の教授は注目すべきは腹囲や体重より異所性脂肪であると断言する。

あまりにも短絡的なこの理論に私は愕然としました。

1:まず肥満の定義をBMI25以上であるという前提をアタマから肯定されている。前提としている値をまず考え直すのも科学者としての態度ではないでしょうか。
2:インスリン抵抗性は肥満によって起ると簡単に言い切られていますが、原因はそれだけという結論は出ていましたっけ?
2:心血管死の80%がBMI25以下である、というのは糖尿病患者だけではなく非糖尿病者も含めてごっちゃにしておられます、恣意的かも知れません。
3:平成22年度の心血管死の割合は全死亡の15.8%である(厚労省データ、心血管イベントとは言っていないので脳血管疾患は除外している。それに関しても正確なロゴスを使用すべきだと思います)。
4:この15.8%のうちの80%がBMI25以下であるということです。
5:つまり基準確率は15.8%であり、その中のBMI25以下の割合が80%(心血管死を起こした人の12.6%がBMI25以下)なので全死亡の12.6%の方がBMI25以下である。
なのでBMIだけで語れるのかという疑問がおこります。

いかがです?ベイズ定理を当て嵌めるまでもなく“直感だけ”で判断して(誘導されて)しまいそうになる。この教授の文章を読むと何となく“ああ、肥満は心血管イベントのリスクにはならないのだなあ”という誤解を生みそうになります。
またBMIだけで他のリスクを考えていないのはあまりに乱暴すぎるのではないでしょうか。

もうひとつ。
百歩譲って2型糖尿病で腹囲や体重が心血管イベントのリスクとは余り関係ないとしても、それが即座に異所性脂肪であると言い切ってしまうのは理論の飛躍がある。
その後に、そう言い切れる根拠が書いてありますがミクロな視線過ぎるように思います(ここにはその根拠は書きませんが)。

私はこの異所性脂肪の研究は素晴らしいと思います。でもそれが唯一のリスクであると書いてしまう鈍感さに驚くのです。
オピニオンリーダーが唱えた理論であっても、私たちは科学的(それはつまり哲学的)態度を忘れないで常に懐疑の姿勢を持ち続けるべきでしょう。
もちろんそれは臨床においてでもです。思考停止した脳に診断も研究も出来ないと“断言”できます。
ちょっと私の誤解も多いと思いますが、考えるきっかけになればなあと思います。
コメント
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