ボイシー日記

手がふさがっていては、新しいものは掴めない。

二葉亭四迷「浮雲」。

2009-06-23 17:34:46 | 
二葉亭四迷の「浮雲」を読んだ。
明治時代の半ば、近代文学の
幕開けを告げる小説ということで
大作で難しいテーマかと思っていたらそうでもない。
現代のホームドラマの原型のような話。
フリーター男と立身出世男の対比、
リストラ、恋のかけひき、嫉妬、妄想・・・、
現代と少しも変わらないテーマで
なんだか、親しみをもてた。


主人公は、公務員の職についていた内海文三。
叔母の家に居候として住み込み、
そこの娘・お勢に英語を教えたり、
世間話をして親しくしている。

しかし文三は、突然、職場をリストラされる。
それを聞いた叔母は激怒し、
文三が上司におべっかを使わなかっただの
気を使わなかったのが原因だといって、なじる。
手のひらを返したように、文三をうとましく扱う。
それまでは、娘と結婚させてあげてもいいなどと言っていたのに。

一方、文三と同僚であり、
上司にうまく立ち回っていた本田は、リストラされずにいた。
文三の家にも時々遊びにくるようになり、
次第に文三が想いを寄せているお勢と親しくなる。
叔母、お勢、本田の三人だけで団子坂の菊を見に行ったり、
部屋の中では酒を飲んで、冗談を言い合って楽しく過ごす。
お勢も、文三には見せなかったような楽しそうな顔を見せたり
本田に心ひかれているようなそぶりを見せる。

文三はこうした状況になって
引きこもりになり、あれこれ苦悩する。
そして、お勢がもういちど
自分と親しくしてくれることを妄想したりしている。
しかし最後のほうになると、
すべては文三の疑心暗鬼からでたことで
叔母も、お勢もそんなに文三に悪い想いを
もっていないのではないかと、どこか楽観的になる。

「浮雲」は、いまでいえばフリーター。
仕事をしていなかったり、肩書きがなければ、
つまはじきにされてしまう酷い扱い。
そして、リストラされたり振られたりしたら
深刻に思い詰めてしまうのだろうが
文三はポジティブに考えて、なんとかなるべぇ、
うまくいかなかったら、叔母の家から出るだけだと
開き直るあたりが、救いになる。
まぁ、オイラも、浮いてるような人生かも♪

されど私の人生/斉藤哲夫
http://www.youtube.com/watch?v=AUVwQa3mAiE&NR=1

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