山羊のひとり言

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眠狂四郎 無頼控(一)

2012-01-27 09:58:09 | 本と雑誌
柴田練三郎の短編連作集「眠狂四郎(無頼控)」は、一度読んでいるのですが、よく覚えている作品と、まったく忘れている作品とがあり、結構新鮮な気持ちで読んでいます。
とにかく、面白い。ちょっと前の世代の作家なので、当時としては普通でも、今ではちょっと差別的表現等もありますが、それはやまをえません。それがあっても、作品としての価値は下がりません。
やはり、主人公のキャラクターの造形が良いのでしょうね。転びバテレンが、黒ミサを行い、その中で生まれた狂四郎。その苛酷な運命の中で、虚無的に生きようと思いながら、実は人生に真摯に懸命に生きる。その姿に共感出来るようです。
文章も巧いし、流石です。
それにしても、映画の市川雷蔵は、作品の中の狂四郎そのものです。当たり役というのは、あるものです。