山羊のひとり言

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ジョーカー・ゲーム

2011-11-25 18:49:27 | 本と雑誌
柳広司の「ジョーカー・ゲーム」を読みました。日本推理作家協会賞と吉川英治文学新人賞を受賞した作品です。
本屋で、読みたい本が見つからず、何気なく手に取り、あまり期待せずに読み始めた作品でしたが、それは失礼な態度でした。
一級のエンターテイメント作品であり、それだけには止まらない奥の深い作品です。戦時中の日本の問題点、ひいては婉曲に現代の日本の問題点を指摘しています。
スパイ小説なのでワクワクドキドキ感も十分です。但し、巻末の解説者が佐藤某であることが、この作品の価値をミスリードしそうなことを懸念しています。また、彼の解説が、多分本来意図しているものとは別の、政治的な意味に捉えられないことを祈りたい気分です。


聖痕

2011-11-23 20:19:47 | 本と雑誌
宮部みゆきの短編集「チヨ子」の最終話「聖痕」を読み終えました。不思議な作品です。内容を話してしまうとネタバレになってしまうので、詳しく離せません。主人公は、女性の調査員です。これは、桐野夏生の「顔に降りかかる雨」の主人公ミオに通ずるものです。同じくハードボイルドで格好いい。それが、予想外の展開になっていきます。
「名もなき毒」などの最近の宮部みゆきのテーマはここにあるのかもしれません。「英雄の書」も共通ということなので、一度読んでみたいと思います。