河童の歌声

歌声喫茶&キャンプ&ハイキング&写真&艦船

悩みは深い

2023-05-17 10:31:27 | スポーツ
私の父は、野球が大好きでした。
仕事は普通のサラリーマンでしたが、地元の野球クラブに入って、
休日には、いわゆる(草野球)ばかりやっている(野球バカ)でした。





父は体格も良く、エースピッチャーであり4番バッターでもある、
つまり、その野球クラブでは誰もが認める大選手でした。
父を「プロになれる素質で、アマでは勿体ない」と言う人も多数いました。
そんな父親だったので、私も物心ついた時には、勿論野球をしていました。
父と一緒にプロ野球観戦は日常茶飯事。

そんな私達父子を母は温かい目で見ていました。
と言うのも、母はずっと社会人ソフトボールの選手をしていたからです。
つまり私は何を考えるまでもなく、
生まれついての野球バカ街道を突っ走る事を、運命づけられていたのです。
母も体格が良く、両親の素質を受け継いだ私は身長185センチの堂々たる体躯を誇っていました。

子供野球から、中学に入ると当たり前に野球部以外には目も向きませんでした。
高校では、ある学校から勧誘もあったのですが、
やはり地元で子供の頃から顔馴染みの友達たちとやりたいと、
他県に留学する事はなく、地元の強豪校に入りました。





父と母とのDNAを受け継いだ私は、体格は申し分なく、素質も凄かったのです。
私が高校の野球部に入ると、野球部を辞める人が数人出ました。
監督は何とか彼等を引き留めようと説得したのですが、
彼等の意思は強く、結局それを止める事は叶いませんでした。

後で知ったのですが、彼等が野球部を辞めた理由は、私を驚かせました。
私を見た仲間達は「世の中にあんな奴が居るのを見たら、もう勝てないと思った」だったのです。
彼等だって私と同じ、野球バカ。
それなのに、、それまで一生懸命にやってきたのに、
私が普通に凄い剛速球を投げ、普通に平気な顔してホームランを打つのを見たら、
「こいつには絶対に勝てない、こんなのが居るんじゃもうダメだ」
皆は私という素質に驚き、初めて劣等感にさいなまれ、
もう、自分達には野球人生という選択肢は完全に失せたと、
敗北感しか感じなくなってしまったのだそうです。

何でもそうですが、人間は心が折れてしまったら、完敗ですね。
もう立ち直れないのです。

そういった辛い出来事もありましたが、
私は高校、そして大学と考えてはいたのですが、
高校在学中からプロのスカウトマンが見逃す筈はなく、
ドラフト会議となり、トントン拍子にプロの道へと進んで行きました。
それは両親にとっても大いなる歓びでありました。
私はプロでの人気もそこそこ獲得し、数年後に、
いよいよ大リーグへと夢を大きく伸ばし羽ばたいていきました。





そこで私は悪夢を目の当たりにしてしまったのです。

こんなのが居るんだったら、もうダメだ。
俺は絶対にこいつには敵わない、勝てない。
俺の今までの野球人生ってなんだったんだ。
友人達が俺を見て、「敵わない」と野球を辞めさせてしまった俺。
その俺が、こいつを見て「もう完全に敵わない、勝てない」と心底思う。
俺、もう野球辞めちゃおうかな・・・

顔・・勝てない。
体格・・敵わない。
モテっぷり・・話にならない。
性格・・男の俺が惚れちゃう。
肝心かなめの野球・・もう絶望としか言いようがない。

あ~、あ~、
溜息しか出てこない。
俺の野球人生って、、、何だったんだ~ッ!

夢か幻か・・・あ~~ッ!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三ツ矢サイダー | トップ | あの無念さは、取り返しが尽... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

スポーツ」カテゴリの最新記事