巨万の富とは

フランス小説「モンテクリスト伯」
それを読むと、モンテクリスト伯が、モンテクリスト島から発掘した、
スパダ家の財宝を（巨万の富）として書かれています。

巨万の富という言葉はよく聞く言葉ですが、
それは一体どの程度の金額をして、そう言うのでしょうか？



モンテクリスト伯には色々なお金の単位が出てきます。
フラン・リーブル・スー・エキュ。

その中で最も頻繁に出てくるのは、フランです。
小説の中で様々な場面に登場するフランを計算してみると、
１フラン＝１０００円といった所が最も場面に合致する金額だと、
私には思えます。

例えば、若きダンテス（モンテクリスト伯）が、
航海で家を留守にしていた時の、父親の一か月分の生活費だったり、
巨万の富を手に入れてから、
正直で心優しい人に対し、モンテクリスト伯がチョッとしたご褒美として、
手渡した金額が大き過ぎるので、それを貰った人が、
「何かのお間違えじゃないでしょうか、貴方がくれた額は多過ぎますよ」
それに対し、モンテクリスト伯は、
「貴方は実に正直なお人だ、ご褒美にこれもあげますよ」
と言って、倍額を差し上げるのです。

こういった場面を計算すると、
１フラン＝１０００円といった所が最も適正だと思います。

しかし、小説の中ではモンテクリスト伯の総資産は８０００万フランとしています。
８０００万フランは・・８００億円なのです。
８００億円を巨万の富とは・・言わないでしょう。

現在、世界一の大富豪の資産は１４兆円。
あのビルゲイツは、１０兆円。
日本一の資産家はユニクロ会長・柳井氏の、２兆７０００億円。
２番の孫正義氏の２兆６０００億円です。
１０位のＡＢＣマート社長の三木氏ですら４３００億円です。

モンテクリスト伯は小説の中で、
一流の資産家・二流の資産家・三流の資産家として分けています。
モンテクリスト伯、最大の敵であるダングラール男爵（銀行家）を、
貴方は三流の資産家ですね、と言って、ダングラールを口惜しがらせます。

一流・・資産額１億フラン・・・・・１０００億円。
二流・・〃５００億フラン・・・・・・５００〃
三流・・〃１５０億フラン・・・・・・１５０〃

つまりダングラール男爵の資産はいくら大金持ちを気取った所で、
１５０億円の程度の三流でしかないのです。
となるとモンテクリス伯の資産８００億円は、巨万とは言えませんね。

モンテクリスト伯が受け取ったスパダ家の財宝とは・・・

スパダ家とは、実在した財閥で、
ヨーロッパ一の名門貴族・メディチ家がモデルとも言われています。
巨万の富を誇ったスパダ家は、その財宝を狙われます。
時の権力者アレクサンドル６世と、その息子チェザーレ・ボルジアによって、
財産目当てに命を狙われます。

それを察したスパダはアレクサンドラ６世らの招待を敢えて受けます。
しかし、その前に財宝をモンテクリスト島に隠すのです。
スパダは彼の読み通りに暗殺されてしまいます。
しかし、その財宝は子孫にも隠し場所が分からず、年月ばかりが経過します。
全くヒョンな事から、その財宝をモンテクリスト伯が手にするのです。

時の権力者が喉から手が出るほど欲しかった財宝が、
たった８００億円という事は無いでしょう。
少なくとも、その１０倍（８０００億円）、
いや、まだまだそんなものでは無いと思います。

巨万の富というのは、
現代に換算してみると、１兆円。
最低でもそれくらいを言うのだと思います。

１兆円を１万円札で積み重ねると１０キロメートル。
エベレストを超える高さになります。
重さでいうと１００トンです。

１０キロを、時速１００キロで高速道路をぶっ飛ばしても６分かかります。
１秒で３０億円くらい走りますから、
貴方の資産など、０，０１秒程度じゃないんですか？


巨万の富というのは、
信じられない、途方もない、空前の金額であり、
すなわち、私達とは死んでも永遠に無関係のお金なんですね。