河童の歌声

歌声喫茶&キャンプ&ハイキング&写真&艦船

エルキャピタン

2020-06-10 07:06:58 | 登山
命綱なしのロッククライマーに密着


アメリカのヨセミテ国立公園にそそり立つエルキャピタン。
ほぼ垂直の高さ914メートルの大絶壁。





東京タワーやスカイツリーとの比較を見ると、その凄さが分かります。
その絶壁をたった独りで、ザイルとかの登攀器具を使う事なく、
いわゆるフリークライミングで登り切ったのが、





アメリカ人の、アレックス・ホノルド。(1985年生まれ)





こういった岸壁を登攀器具を全く使わないで登る事を、
フリークライミングといいます。
それはどういう事かと言うと、見れば一目瞭然。
もし手を滑らせたら一巻の終わり、即、死につながるという、
常識ではあり得ない究極の登山スタイルなのです。



一般的な岸壁登攀には、ハーケン(フランス語でピトン)を岩の隙間に打ち込み、
その穴にザイルを通して命綱にします。



ですが、現在の有名な岸壁などはほぼ初登攀はされていて、
岩には残置ハーケン(過去に登った人達が打ち込んだ物)が残されていて、
それを利用させて貰って登るのが半ば常識化されています。
ですが、残置ハーケンは年月と共に劣化していますから、
果たしてそれを信用していいのかが問題です。



ハーケンは岩の隙間にハンマーで打ち込みますが、
岩にもし隙間の無い一枚岩だったら、どうするのでしょうか?
それにはジャンピングという道具があります。
一枚岩に強制的に穴を開けてハーケンを付けるのです。



そこには、こういったアブミという梯子を吊るしたりして安全確保をするのです。
しかし、こういった言わば人工登攀になると、
一部のクライマーからは「あんな物を使って登っても、それは登った事にはならない」
といった批判が当然起こる様になってきます。

そういった批判意見など及ぶべくもない、純粋な登攀がフリークライミングです。
しかし、それを追求する事はあまりにも危険性が大きいですね。
「アッ、」っと思った時は死ぬ時なのですから。



エルキャピタンは、
1960年代には登頂に7日間を要しました。
1975年になって初めて1日で登攀出来るようになりました。

2012年には、単独ではなくパーティー形式で、
2時間23分46秒での登頂が成し遂げられ、
2017年に、アレックス・ホノルドパーティーが、
2時間19分44秒で記録を更新しました。

単独登攀になると、
デイーン・ポッターが3時間24分で登るという大記録を作りましたが、
彼はザイルを持っていました。
命の安全だけは確保していた訳です。

しかし、2017年6月3日。
アレックス・ホノルドが完全な意味でのフリークライミングで、
3時間56分という記録を作ったのです。
彼の体にあったのは、手に付ける滑り止めの粉の袋だけでした。

3時間56分の間、彼の身の安全を保障する物は何もなく、
ただ自分自身の体力と注意力だけで登り切ったのでした。


エル・カピタン(El Capitan)


エルキャピタンというと、
スーザ作曲の有名な行進曲がありますね。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ローカル路線バス乗り継ぎの旅 | トップ | ジェームス・コバーン »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

登山」カテゴリの最新記事