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作家・あさのあつこ

2019-10-04 15:56:49 | 読書

あさのあつこ、という作家を知ったのは、
3年くらい前に買った別冊「宝島」の、「江戸の家計簿」という雑誌だった。
その中に、時代小説を書く作家として、彼女が載っていたのです。

(あさのあつこ)と平仮名のペンネームになっているのは、



漢字で書くと、浅野敦子なのですが、
女優の浅野温子さんと間違われるのを避けたという事です。

1954年、岡山生まれ。
小学校の時に漫画家に憧れ、志しますが、才能がなくあきらめます。
中学に入ると「シャーロック・ホームズ」などを読み、小説の面白さを知ります。
その頃から誰に言う事もないままに、作家を志します。

大学時代に児童文学サークルに入ります。
高校時代に1編。大学時代にも1編の小説を書いていますが、
大学卒業後は就職、そして結婚という普通の主婦の生活をしています。
子育てに追われ、多忙な日々を送っていましたが、
少し時間に余裕ができて、小説を書く事が可能になり、
37歳で作家デビューを果たしました。



1997年(43歳)で、
「バッテリー」という小説で、野間児童文学賞を受賞します。
この本は通算、1000万部を超える、大ベストセラーになりました。

また、30代半ばで、たまたま藤沢周平の時代小説「橋ものがたり」を読み、
時代小説に目覚めるのです。

私は、時代小説は読んだ事は殆どなかったのですが、
妻は時代小説ファンで、いつもそんな本ばかり読んでいます。

ある時私は、山本一力という作家を知り、
妻の手元にあった、彼の本を読んだのですが、
切りあいといった、如何にも時代小説的な波乱が全然なく、
妻に訊くと「山本一力」の本は、
江戸時代の市井の町民の姿とかが主人公だという事で、
以後、彼の本には興味を失ってしまいました。

読み終わった本は、いつもブックオフの売りに行くのですが、
ある日、またいつも通りに売りに行こうと、ふと見たら、
「あさのあつこ」の文字が目に止まり、
訊いたら「彼女の本はシリーズになっていて、面白いわよ」と言うので、
「売るのは待て、俺、ちょっと読んでみる」となりました。





と言うのは、本の巻末の解説が、
あの(本の虫)で有名な、俳優の児玉清であり、
その解説は読めば読むほど、ワクワクして早く読みたい気持ちをそそるのです。

1冊目はストーリーの先が読めなく、読み方に失敗しました。
「もう一度読み直す」となったのですが、
それより2冊目を読む方が先になってしまいました。

まだ読み終わってはいませんが、
私は彼女の才能に驚いています。
若い頃、純文学作家の、石川達三にハマった事がありますが、
彼の時には、文章の上手さとかはあまり感じなかったのに、
あさのあつこは、凄いと思うのです。

時代小説ですから、カタカナ言葉など全く出てきません。
今だったら(ストレス)とか(ナイーブ)とか、
ごく普通に日本語化している様な言葉すら、全くありません。

それでいて、人の心の内面などを、美しい日本語で、
実にリアルに、読む人の心に訴える様に書くのです。
その場の情景なども、(こんな日本語があるのか)
(こんな風に言葉だけで描き切る事が出来るのか)と、
その言葉遣いの巧みさ、繊細さには、惚れ惚れします。

今風の若者にありがちな、
何を語るにも「ヤバい」で何もかも片付けてしまう様な、
馬鹿々々しい言葉など何処にも出てきません。
そこにあるのは、美しい日本語だけです。

若い人からカタカナ言葉からなどで言われると、
どうにも落ち着かない気持ちに、私はなってしまうのですが、
この様な情緒あふれる、美しい日本語で語られると、
暑い日に、縁側に腰かけていると、
スーっとそよ風が吹いて、何か心が和む様な、爽快感があるのです。

こういった美しい日本語を、
今まで縁の無かった時代小説で触れるとは、思ってもみなかった。

これから、彼女の本を読むのが楽しみになりました。





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