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この女流作家の本が凄い

2020-02-16 06:56:22 | 読書
昨年、10月4日のブログにも書いたのですが、
あさのあつこ、という女流作家の本がとてもいいのです。



そこにも書いたと思うのですが、
私自身は時代小説など、ほぼ興味が無かったのですが、
妻が好きで、今までは読み終わった本はブックオフに売っていました。

今回も売る筈だったのを、
たまたま(あさのあつこ)を他誌で知った私が興味を持ち、
「それ売るのをチョッと待って」と読み始めたら、
これがハマってしまいました。







このシリーズ本は、全7巻なのですが、
その主人公がまず変わっている。

よく時代劇ドラマに出てくる、同心がその主人公。
同心というのは江戸時代の下級役人のいわば警官みたいなもの。
彼の名前は小暮信次郎。まだ20代と思われる。
彼の配下には小暮信次郎の父親時代からの岡っ引き、伊佐治がいる。

何が変わっているかと言えば、
小暮信次郎の性格。
これがひねくれてチョッと人間離れしているが、
難解な事件を解決する勘が鋭く、あっと思わされる。

そのひねくれた性格を、彼の父親ほどの伊佐治がなだめ収めて、
何とかやりくりしている。
この伊佐治も、岡っ引きとしての能力が半端ではない。

その二人にいつも絡んで登場するのが、
小間物問屋の主である清之助。
彼も小暮信次郎と同世代であるが、
彼は元々武士であり、凄腕の暗殺者であったという人物。
今は商人として素晴らしい商才を発揮している。

小暮信次郎は、清之助に対し、
お前がどんなに商人を気取った所で、
凄腕の只ならない武士であった本質は「変わらね~んだよ~」と、
暗殺者を捨てた過去、捨てた本質を見抜き、チクチクといじる。

そういった嫌味な小暮信次郎を清之助は、
ゾッとする様な思いはするが、何故か離れる事ができないのです。

こういった3人の人間関係も面白いし、
主人公というのは、普通だったら正義の人物としたいと思うのに、
あさのあつこは、どうしてこんなひねくれた尋常ではない性格として描いたのか?

テレビドラマの時代劇の同心はみんな正義を振りかざしているのに、
あさのあつこはどうして、こんなひねくれ者としたのか・・
そして、我々常識人と全然違う性格像を、
書けと言われても私は描けないのに、彼女はどうして描けるのか?

時代小説ですから、カタカナ語は一切登場しません。
しかし、今どきの若者達が普通に使う言葉を、
美しい日本語で描き切る事が出来るんだよという手本でもあります。

こんな日本語があるんだ~。
こんな風にこの言葉は読むんだ~という事だらけ。

まだあと1巻残っていますが、
7巻全部を読み終わったら、大学ノートに知らなかった日本語を書き出し、
私達、日本人はこんなにも素敵な言葉を持っているのだと再確認したいのです。
例えば(リスペクト)なんて使う必要はないでしょ。
(尊敬)という美しい日本語を使えばいいじゃないですか。
そっちの方がよっぽど素晴らしいと私は思うのです。

しかし、いい本に巡り会った事に感謝。
それを与えてくれた妻にも感謝します。




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