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怪傑ハリマオ

2017-12-20 17:19:46 | 音楽
快傑ハリマオ オリジナル バージョン


歌声喫茶でも、時々歌われる「怪傑ハリマオ」
これは、一体どういった内容の歌であるのか?
詳しい事を知っているという方はあまり多くないと思います。



「怪傑ハリマオ」は、
1960年4月から1961年6月まで日本テレビ系で放映されました。
(これは私が中学生だった頃で、まだテレビの無かった我が家では、
これを観る事はなく、私は歌を知っているだけで観た事はありません)

ドラマの内容は、
東南アジアやモンゴルを舞台に、正義の日本人ハリマオが、
東南アジアを支配する某国の軍事機関・・彼等と結託する、
死の商人や秘密結社、スパイと戦う冒険活劇という設定です。
ハリマオはマレー語で(虎)を意味します。

原作は、直木賞受賞作家の山田克郎が、
1955年から2年間、日経新聞に連載した
児童小説「魔の城」です。

「怪傑ハリマオ」にはモデルとなった人物が居ました。
彼の名は「谷豊」という福岡県生まれの日本人です。



谷豊(1911~1942)享年30歳。
日本人の両親の下、福岡に生まれた豊は、
2歳の時にマレーに移住します。
教育は日本で受けさせたいという親の希望で、
1916年(5歳)から1924年(13歳)まで日本で過ごします。
1924年(13歳)再びマレーに渡ります。

1931年(20歳)
日本に帰国し徴兵検査を受けますが、
思想的に相容れず不合格となります。
その頃、中国で起こった満州事変に対し、
マレーの華僑達が排日運動を起こし、
その最中、1932年に豊の妹が華僑達に惨殺されてしまいます。

この事件により谷の一家も日本に引き揚げざるを得なくなります。
帰国した母親から事件を聞いた豊は激怒し、
1934年(23歳)再びマレーに向かいます。

妹の復讐心に燃える豊はマレーの友人たちと徒党を組み、
華僑を襲う盗賊団となり、数年間マレー半島で活動します。
しかし逮捕され2ヶ月間の獄中生活を送ります。

そんな中、太平洋戦争が始まります。
マレー半島攻略を第一目標とする日本軍は、
現地に精通する諜報員を欲していましたが、
谷豊と彼の率いる盗賊団を、諜報組織に引き込もうとします。
その任務を請け負ったのが、
警察官であり諜報員だった、神本利男でした。



神本は獄中の豊を釈放し、
日本軍への協力を要請しますが、豊はこれを拒否します。
しかし、神本の熱意に押され遂に日本軍への協力を引き受けます。
こうしてハリマオ盗賊団が再結成されました。

豊や神本、ハリマオ一党はイギリス軍を相手に、
妨害工作、実力行使による諜報活動に従事。
しかし、豊はその最中にマラリアに感染してしまいます。
日本軍はイギリス軍から捕獲した、
マラリアの特効薬キニーネを大量に保存していましたが、
豊は「本当のマレー人なら白人の作った薬は飲まない」と、
キニーネ剤を断固として飲まず、30歳の生涯を終えます。

瀕死の豊の下に駆けつけた神本は豊の手を握りますが、
既に言葉を発する事も出来なくなっていて、ただ見つめ合っていたそうです。
豊は自分が果たせなかった「マレーの植民地解放」を、
神本に託したのかも知れません。

諜報員として活動した豊は軍属という事で、
戦死扱いされ靖国神社への合祀も決まります。

この劇的な日本人諜報員・谷豊は、
「マレーの虎・ハリマオ」と言われ、
伝説的な英雄「ハリマオ」の虚像が一人歩きを始めます。


「怪傑ハリマオ」に主演したのは、
勝木敏之(1933年~)で、
彼は日大芸術学部映画学科を卒業し、
1956年、俳優座第8期生となります。
同期には、山崎努・水野久美・河内桃子らがいます。





「ハリマオ」は一般公募で、200人の中から主演に選ばれました。
この後「隠密剣士」などにも出演しますが、
俳優業を引退し、五反田で居酒屋を経営します。
しかし、それも廃業、以後、段々と消息不明となります。



「ハリマオ」には、童謡歌手だった、
近藤圭子も出演していました。
彼女もまた芸能界を引退後は音信を絶ってしまいました。

10月に行った、深浦の歌声旅行では、
太宰治の生家を見物しましたが、そのすぐそばに、
津軽三味線会館があり、その売店に、
「怪傑ハリマオ」の本が売っていました。
三味線とハリマオの組み合わせが最初、意味不明だったのですが、
この主題歌を唄っていたのは、三味線奏者でもあった、
三橋美智也だったからなんですね。

歌声喫茶で時々唄ったりする「怪傑ハリマオ」
その歌にはこういったドラマがあったのです。





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