
ペスト菌の発見者・北里柴三郎は、
1853~1931(昭和6年)78歳。

1871年(明治4年)18歳で、
古城医学所兼病院(現・熊本大学医学部)で、
オランダ人軍医、マンスフェルトに師事し、医学の道を志します。
1874年(明治7年)医者の使命は、病気を予防する事にあると確信。
1886年(明治19年)血清療法を確立し、一躍世界的な研究者としての名声を得ます。
1894年(明治27年)香港で流行するペスト調査で、ペスト菌を発見。
人類は紀元前から苦しめられてきた恐るべき伝染病ペストの原因を、初めて知ったのでした。
ペスト(黒死病)という病気が人間社会に伝染病として、
いつから成立したのかは分かっていませんが、
紀元前に既に流行したという説もあるそうです。

6世紀(西暦500年代)のヨーロッパでは地中海沿岸を中心に、
約200年間のパンデミック(世界的大流行)が続き、1億人以上が死んだとされ、
14世紀(西暦1300年代)には第2回目のパンデミックを起こし、
2500~5000万人が死にました。
何故、ペストという病気にかかるのかは誰にも分かりませんでした。
ある日、鼠径部(そけいぶ)や脇の下のリンパ腺に腫れたものが出来ているのに気づき、
じきに黒い斑点が皮膚にも現われ、早くて一日、長くても数日で死に至ります。
原因はまったく分からず、患者に触れたり同じ空気を吸うだけで、
伝染すると人々は考え、家族すら看病を放棄しました。
巨大な穴を掘って何百という死体を投げ込み、
親も子も、兄弟も生きながら穴に捨てられたのでした。
人々は医者を頼りますが、原因が分からないのですから、
医者すら手の施しようはありません。
では、最後の砦とばかり宗教を頼りにしようと行った教会では、
宗教家すらペストの恐怖に逃げ出して誰もいなくなっていて、
宗教崩壊を招いてしまいました。

北里と同時期に、スイス人の、アレクサンドル・エルサンという人も、
ペスト菌を発見したと言われているそうですが、
どっちが先陣争いに勝利したとかは、よく分かりません。
いずれにせよ過去数百年にわたり、人類にとてつもない恐怖を与え、
億を超える人々の命を奪い、歴史を塗り替えるという(歴史)を作ってきた、
恐怖の病、ペストは遂にその原因が解明されたのでした。
現在流行のコロナは、その頃と違って原因が分かる様になっています。
ですから、真っ暗闇を手探りで歩くような恐怖感にはなりませんが、
特効薬の開発には未だ至らず、本当に私達は人生を狂わされてしまいましたね。