私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

落葉の下草その2

2013-03-10 10:52:43 | Weblog

 中村梅玉こと中村歌右衛門が吉備津神社秋の大祭のための宮内芝居の興行に打って出ます。その時とばかりに我が高尚翁はその別荘「鶏頭樹園}に彼を招いてその芸道に付いて問いただしております、その時の記録がこの「落葉の下草」です。この席で、梅玉の歌舞伎の芸道に付いての考え方を七通り尋ねております。その一つが昨日の“芸が少ないということと細やかと云うことに付いてです。

 さて、其の2段目です。高尚は尋ねます。

 “実形の顔白く悪役の顔あかきは、善悪をはやくあらはしみする芸の筋なるべし。しかるに先年かの雛介、梶原平二の役するに、白き顔につくり、実形とみせて、ようように悪をあらわす。・・・・・げにめずらしけれど、筋たがふ故か後のかたにはならず。さようにや。又梅玉の師直も、やうやうに悪をあらわすは、かの平二に同じきや」と尋ねております。実形とは善良で誠実な性格の役のことです。それに対する答えは後において、ここで少々珍しい絵をお見せします。

     

 此の絵は歌川広貞の中村歌右衛門が演じた梶原平二の姿絵です。ここでもやはり顔は白く実形のように演じております。どうして悪役なのに実形をして演じるのですかと問いかけたのです。此の絵を実際に高尚が見たかどうかは分からないのですが、この歌右衛門が、実際は悪役である高師直を演じるのにその顔は白作りで演じたのをみて尋ねたのだと思います。

 


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