常山の記談の付録として書かれている「雨夜燈」の中に新太郎様、即ち、池田光政の政治方針に付いて記されたものがあります。
「威恩を以て国を治められし事」として、記されている光政の政治方針があります。それによります「新太郎様常々御意なされ侯は」として、次の事が挙げられています。
まず、家中国中をよく治めんと思えば、「威」と「恩」の二つを上手に使いこなさなければならないと、いつも申されていたと言う事です。
その「威」と「恩」について、
・その政治手段として「威」なくして「恩」ばかりであれば、甘やかしたる子の教訓を聞かないのと同じで、いざと云う時のように何の役に立たず、却って、邪魔になるばかりである。政治には厳しさが必要である。
・だからと言って、お上の威光ばかりで厳しさを第一とすれば、人々は、いつも上に対してへいへいと形式的には平身低頭して従順ではあるが、真実には、ただ、形だけで、心からの従うのではない。「是又散々の事なり」とあります。
そして、次に、この「威」と「恩」を組み合わせて、実際に、どのような政治を行えばよいか、その指針を、家臣に常々に仰せられていたと言う事です。
なお、「威」とは力、即ち、法による政治を指し、一方、「恩」とは気配りのある思いやりの政治を言うのだと思います。
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