私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

Ore、オレー

2011-11-14 08:52:38 | Weblog
 この報告の中には、「Ore、オレー」こんな言葉が数か所に見ることができます。

 何の事かわかりますか?。スペイン語か何処かの国の言葉だろうと思って読んでいくと、日本語ということが分かりました。

  
 「十二月八日、木曜日、我等は旅程を倍にして同市に到着せり。蓋し国王より皇帝にオレーをなさんとて将に駿河の市に向けて出発せんとするの通知ありしが故に、彼が同市滞在の間に合はんが為なりき」

 皇帝というのは徳川家康の事で、国王とは伊達政宗です。従って、ここにある同市とは仙台の町を指します。これだけでは、まだ、このオレーとは何か分かりません。次に

 「皇帝部下の領主は皆此の如き月に宮中に出づるの例にして、之をなすは三つの目的の為めなりといふ。第一は皇帝に服従を表し進物を呈するが為めなり。進物は高価の品似て又多額の金銀を持参する。第二は人質として江戸に在る兄弟又は親戚を扶養すべき金品を持参する為めにして、第三は旅中並びに城下に於いて其の収入を消費せんが為なり。これ等の領主は戦いを好めるが故に余分の金銭を有するときは戦争を行い、帝国を乱すべきが故なり」

 と、書かれています。

 この文章を読みますと、この「オレー」というのは参勤交代の事だと云うことが分かります。このオレーについて、少々の聞き間違いはあるにしても、例えば「駿河の市に向けて」とか、「此の如き月に」とか等の誤りですが、其の目的まではっきりと記しています。当時の日本には、好戦的な領主ばかりいて、金銭があると、直ぐ、戦いを始める故に、金銭をもたせないようにするためだなんて、誰が教えたのかは知れませんが、参勤交代の主目的までをちゃんと把握して書いているのには驚かされます。よほどの情報網をもっていたのではと思われますが。

 それにしても、参勤交代の事を、「オレー」だなんて、よくその習慣を適切な日本語的な表現方法で云い現わしているなと感心させられます。なお,「おれー」は御礼という意味です。その時の通詞の日本独特な制度や習慣をどう訳せばいいか言葉の選択には随分と苦労しただろうか想像がつきます。第一、参勤交代なんて制度はヨーロッパにはありませんもの。

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