私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

水に写る逆さ桜

2010-03-27 16:21:15 | Weblog
 今日は、吉備津の桜のその3をご紹介します。
 この桜も、また、この近辺にはない珍しい水に写る逆さの“しだれ桜”です。
      
 大きさやうつくしさだけなら何処にでもある様な普通のしだれさくらですが、ここ吉備津のそれは吉備津神社の龍神池(御手洗池)の水面にその姿を写すしだれ桜です。
     

 空と水の両面に淡いそれこそ桜色を3月のキャンバスに大きく描き出しています。風が水面を揺さぶると、その中にはたちまちのうちに桜のグラデエーションが広がり、幻想と言うか一幅のオブゼ、そうです。あのアブストラクションを見るような心地がします。そこに展開されるオブゼの時間的な変化とは対照的に空にある桜は雄大に且つ繊細に自然そのままの姿を優雅に映し出して、この2つが織りなす実と虚の対象が描き出す自然の芸術家は、風と言う媒体を通して、どんな絵描きであっても、決して描き出すことが出来ないような素晴らしいとしか言いようのない一瞬の美を生みだしてくれるのです。
 こんあ景色ってそんじょそこらに転がっているような安っぽい景色ではありません。ここ吉備津だけにしかありません。これも一見の価値があります。

 なお、このしだれ桜の横に、この池を覆い尽くすように枝を広げている這え松があります。この松も水と空にその姿を映し出しています。これも、やっぱり桜と同じように風がなかったら、桜と松が織りなすアブストラクションにはなりません。
 この桜と松と風に、更に、雨が加わる、此のオブゼは最高の作品に仕上げられ、それこそ神の領域の美を造り上げるのです。



 昔の人が、散る花びらに、その宿りを訪ねてまで恨みを言いたいと嘆かしめたあの風ですが、吉備津のこのしだれ桜には、その風がなかったなら全然話にならないのです。風が吹いて初めてその風情が湧き出るのです。よそでは考えられない風景なのです。ここ吉備津だけの特別なお花みなのです。
 明日は、どうも雨模様のようで、その上、風でも吹いてくれようなら、それこそ鬼に金棒です。志村ふくみの言う「色の音」が、そこら辺りから聞こえそうです。聞きにいらっしゃいませんか。

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