私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

戦争

2007-09-29 16:04:20 | Weblog
 久しぶりに、「練習板」に書き込みます。よろしく。
 私は1936年10月8日に生まれました。71年前です。その年の11月に書かれた「戦争」という本が、私の本棚にあります。父の話によりますと、「お前の誕生記念に買って読んだ」と言っていたのを覚えています。武藤貞一という人が書いた本です。
 彼は、この本の中の「序」で
 「どこに戦争を賛美する奴があるか。兵は凶なり、戦争は出来うる限り避けねばならない。敢然戦争を警告する。戦争の惨烈性を知るべきである・・・」
 と、更に本文でも、武器の近代化、さらに飛行機の発達による無差別殺人などによって、女性を含めた非戦闘員の一般市民が多数犠牲となることは明らかだと、近代戦争の悲惨さについて細かく記しています。
 よくも昭和11年に、こんな本を現したものだと感心しながら読みました。

 この本の中で、随分と滑稽に描かれている部分があります。
 それは、夏目漱石の日露戦争の報告の中にあるそうです。

 「旅順の攻囲戦での話です。明治37年9月2日から、いよいよ戦いに備え、敵地砲撃の為に窖道(コウドウ=あなぐらみち)を掘り始める。すると敵も対抗して反対側に窖道を掘る。
 日本兵が工事をしていると、どこかでコツンコツン石を砕く音が聞こえる。初めのうちはわからなかったのですが、だんだんと近くなると相手も、自分達と同じように穴を掘っているのだとわかる。「おーい」と呼べば「おーい」と答える。穴のこだまがいじらしい。(漱石一流の皮肉らしい)
 そんな至近距離から、身体を穴に隠して戦いを続けます。そのうちに両軍の兵士が疲れてくる。すると双方で砲撃をやめ大声を出して話し合うのだそうです。
 「酒があるのなら呉れと強請ったり、死体の収容があるから砲撃は少し待てとか頼む。あんまり下らんから、もう喧嘩はやめにしようとなど相談したり、色々なことを言い合った」

 通訳がおったのかどうかは分らないが、そんな戦いもあったという話もこの本には出ています。

 なかなか面白い、昭和11年の本です。

 
 


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