私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

金友写真館の吉備津寄席

2008-04-14 09:42:24 | Weblog
 昨日、神道山の桜並木を通り抜けました。殆どの木々が、まだ、一杯花びらを残したままで、行く春を惜しんでいるかのようにも見えます。
 それでも晩春です。時折吹く風に名残をとどめるかのように、花びらが空のキャンバスに波紋を描きこんでいました。道に溜まった花びらまでもが散り落ちた枝に向かって吸いつけられるように、散る花びらと交錯するように舞い上がり花の波紋を幾重にも重ね風と戯れながら、音無き滝となって落ち係り、春の最後の花の宴を繰り広げています。
 
 行く春を桜とともに惜しむかのように、夜、吉備津寄席が開かれました。
 本年で10回目だそうです。古今亭菊輔師匠の独演会です。毎回毎回違うネタを引っさげられての登壇です。
 吉備津の金友写真館さんのお骨折りで、生の話芸を楽しみます。目や口の動かし方、目の遣りどころ、体全体から醸し出される所作というか動作までつぶさにこの目の前で、直接見ることが出来るのです。体全体で演じられる日本の伝統ある芸ー話芸ーが噺を聞く事によってつぶさに感じられるのです。
 人の持つ可笑しさ滑稽さを体全体で聞かせてくれるのです。
 電車賃も何もいらないのです。わずかばかりのお金で済むのです。こんなに安価で、決して買う事が出来ない日本の宝物が年一回ではあるのですが、この吉備津でも、深く味わう事ができるのです。
 宣伝もしないので、そんなに大入り満員ではないのです。かえって、見るこちらから、これでは赤字になるのではと心配してあげているのですが、もう10年も続けられているという。
 また、こんな辺鄙な田舎にまできて、大して多くも無い聴衆に、お話を面白ろおかしゅう聞かせてくれる菊輔さんと言う芸人さんも“たいしたものだな”と、いつも感心しています。年々芸に幅が出来ているようです。うまさが飛躍的に付いてきているように感じられます。指先の一つの動きを見ても、そんな風に素人の私にでも感じられます。「風貌が芸を磨く」という事を何時だったか聞いた事がるように思いますが、まさにその通りだと思いました。話している最中の顔っ面がいいなあ。目じりがだっらと下がったな、あれがいいなと思いながら聞き入りました。
 人の風貌とは、腰の座る位置かな、それともそんな芸とは関係の無い時間のことかな、それとも顔にできる皺のことかいな、声の持つ幅かな、といろいろ思いながら、時間の経つのも忘れて話の中に吸い込まれていきました。
 いい人に来てもらって吉備津って街も、本当に「てえしたもんだ」「でえれすげえもんだ」とも思いました。
 
 

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