私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

暫軒を詠んだ歌

2009-10-17 09:55:40 | Weblog
 後楽園十勝の一つが「暫軒風」です。
 これを、あえて「の」を省いて書いて、「ざんけんのかぜ」と読ませています。 その「暫軒風」を詠った歌を数首挙げておきます。

    ・しばしとて 立ちよる軒の 涼しきに
               うきも忘れて 今日も暮しつ
                          中塚正斎
    ・立ちよれは なかめもあかむ この軒に
               しばしてふ名は 誰(だ)か負せけん
                          小野 節
    ・しばしとて 立寄る袖に 軒の端の
               銀杏のもみじ ちりて来にけり 
                          安原多平
    ・しばしとて たちよる軒に 吹かよふ
               かせさへすすし 川つらのいほ
                          岡 直盧

 なお、この「暫軒風」を「暫軒晴嵐」としている本もあります。
 晴嵐とは、本来、春や秋、山里が山霞に煙って見える風景をいうのだそうですから、綱政侯などが詠んだ歌のように[夏風]の「涼しき」をこの庵から感じたとった景色であると考えるならば、やっぱり、「晴嵐」より「風」のほうが、より暫軒にぴったりするのではないでしょう。夏のほうが季節としては、より似合うように思えるのですが。[ざん]という響きがどうも「せい」という響きと合わないのでは・・・どうでしょう?
 

 それにしても、日本語って本当に難しいものですね。