ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

倒壊する巨塔

2010年01月15日 12時37分11秒 | 書籍
ローレンス・ライトの「倒壊する巨塔」(白水社)を読んだ。チベットに出発する前に、アマゾンから「おすすめの本があります」と言われて、すぐに買った本だ。上下巻で800ページくらいあるので、帰国してから読もうと思って楽しみにしていた。

ビンラディンやアイマン・ザワヒリ、FBI捜査官ジョン・オニールの人生を丹念に追って、9・11がなぜ、どのような過程を経て起きたのかを提示している。細かいエピソードやシーンをつなぎ合わせることで、テロリストたちの人間像をあぶりだしているところが素晴らしい。あれほど冷酷な犯罪をしでかしたテロリストも結局ひとりの人間で、何かのふとしたきっかけで、ひょっとしたら僕らもああした人たちになってしまうのかもしれないという「地続き感」を思わず抱かせられる。

著書のローレンス・ライトはニューヨーカー誌のライター。確か取材に5年(3年かも)かけたとか書いてあった。それだけの金と時間をかけても、ちゃんと売れて読まれるということなのだろう。アメリカのノンフィクション界の層の分厚さには感嘆するしかない。

最近、デビッド・ハルバースタムの傑作「ベスト・アンド・ブライテスト」が復刊されたので、こちらも購入。待ち遠しい。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 豚の丸干し | トップ | 狩猟サバイバル »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kaba)
2010-01-17 20:56:43
そうそう、岳人、おもしろかったわ。これからも楽しみにしてます。もうあんまり埋まるなよ~。久しぶりに岳人読んでたら、むしょうに山に行きたくなってしまった。うーん、困った(笑)

返信する

書籍」カテゴリの最新記事