ホトケの顔も三度まで

ノンフィクション作家、探検家角幡唯介のブログ

増田俊也さんとの対談載ってます ゴング格闘技11月号

2013年09月26日 23時32分39秒 | お知らせ
GONG(ゴング)格闘技 2013年11月号
クリエーター情報なし
イースト・プレス


もう一カ月以上前になるだろうか。

実はあの10年に1度の傑作ノンフィクションといわれる『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』、そして小説『七帝柔道記』の作者である増田俊也さんと対談した。

場所は「ゴング格闘技」。編集部から決戦……じゃなくて対談の申し込みがあったのがわずか数日前。ノンフィクションや生と死について増田さんと熱く語って欲しいということだった。

増田さんは、本の内容が斬った斬られたみたいな迫力満点の柔道ものだし、著者近影を見ると眼光の鋭い方なので、少し怖い人だと思っていた。それに「ゴング格闘技」は、こちらにとっては完全アウェー。ちょっと緊張して臨んだが、予想に反してニコニコした人のいいおじさんだった。

対談前は、格闘技雑誌でノンフィクションって、いったいどういうことだろうと不思議だったが、本当にノンフィクションの話で盛り上がり、格闘技については一切触れなかった。ゲラを見るとノンフィクション論中心の編集になっていたので、さらにびっくり。こんなにノンフィクションについて語ったのは「考える人」での沢木さんとの対談以来だ。「考える人」と同じぐらいノンフィクション論で盛り上がれる格闘技雑誌。謎である。

しかし考えてみると、ノンフィクションのルールは創作を交えないという一つしかない。あとは何でもありという意味では、文芸界のバーリトゥードみたいなものだ。ノンフィクションにおける創作が、バーリトゥードにおけるキンテキ、噛みつきにあたる(たまにそういう書き方をするジェラルド・ゴルドーみたいな作家もいる)。つまり私と増田さんは、ゴング格闘技誌上でバーリトゥードのあり方について語ったと考えれば腑に落ちる。

今度はぜひ、私のホームである「岳人」誌上で対談をお願いしたい。

ちなみに朝日で書いた『七帝柔道記』の書評はこちら。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013040800007.html

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高野さんとの対談お知らせ

2013年09月17日 16時50分16秒 | お知らせ
講談社ノンフィクション賞の受賞を記念して、同時受賞となった探検部の先輩の高野秀行さんとトークショー&サイン会を行います。

場所は高田馬場芳林堂書店。学生時代に大変おせわになった書店です。
日時は10月11日午後7時から。参加1000円で先着70名です。

申し込みは同書店03-3208-0241

登山家の竹内さんとのトークショーは三日で満席になったので、今回もすぐに席がなくなるかもしれません(竹内さん目当ての方が多かったと思いますが)。早めの申し込み、お願いします。

詳しい情報は以下を参照してください。
http://www.horindo.co.jp/pdf/20131011.pdf

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掲載誌お知らせ

2013年09月14日 12時30分15秒 | お知らせ
kotoba (コトバ) 2013年 10月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
集英社


フィリピンから先日帰国。溜まり切った原稿作業に追われている。

掲載誌のお知らせです。集英社の「kotoba」京都特集号に長文の原稿を一本書きました。梅棹忠夫さんに関する論評のようなものです。民博名誉教授の小山修三さんとの対談をベースにしています。何せあの梅棹さんに関する文章ですので、かなり苦労しました。

オール読物の連載「太陽は昇らない」、ビーパル「エベレストには登らない」、星星峡「探検家の日々ボンボン」とも好評連載中です。

朝日新聞書評は以下のページから。

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魂が引き裂かれそうな苦しみ3

2013年09月04日 21時25分57秒 | 雑記
ダメもとで来たフィリピン取材だったが、今日ついに一番会いたかった取材先の居所をつかんだ。

この人に会いたいと思ってフィリピンに来た私であるが、考えてみると日本を出発した時はその人の名前さえ知らなかった。途中でカタカナ表記の名前が分かったが、それをアルファベットで書くとフィリピン人はどう発音するかということが分からなくなり、たぶんアルファベット表記はこうで、だからこう発音するんじゃないかと通訳の澤田さんに助言され、その発音でその人のことを知らないかと、いろんなところを回って聞きこんできた。しかし結果から言うと、私たちが想定していたその発音は実は間違っており、その人の名前はちがう読み方をしたのだが、しかしそれでもこの異国で澤田さんを巻き込んで地を這うような地どりを続けた結果、奇跡的に見つかったのである。

正確にういと今日見つかったのはその人のいとこで、いとこからその人の連絡先が分かった。その人はゼネラルサントスに住んでいると思っていたのだが、実は今はダバオの先のなんとかという村に住んでおり、たまたま昨日までゼネラルサントスにいたのだが、何か用事があって今日帰ってしまったという。しかし電話をしてわざわざ日本から来たのだと恩着せがましく言うと、明日、もう一度ゼネラルサントスに来てくれることになったのだ。

しかもそのいとこの話によると、なんとその人にはあの経験があって、その経験の話を聞ければ、もうこれは今回の取材は成功したも同然なのである。

という回りくどい書き方しかできないのが、実につらいところだ。

ここですべてを書いてしまいたいが、作品化する以上、ネタバレになってしまうような詳細をブログなんぞで明かすわけにはいかない。ああ、書きたいことを書けないのって、書きたくないことを書かなければならない時よりもつらいことなんですね。う~、魂が引き裂かれそうである。それに今、おしっこがもれそうだ。

それにしても取材は足で稼ぐもの。回れば回った分だけ結果はついてくる。今更であるが、新聞記者一年生のような心境になった。

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カメラが盗まれて困っています

2013年09月02日 00時51分45秒 | 雑記
今日はミンダナオ南部のゼネラルサントスに来た。

飛行機に乗る時、うっかりザックの雨蓋にコンパクトカメラをいれたまま荷物を預けてしまった。町について写真を撮ろうと思い雨蓋を開けたところ、まんまと盗まれていた。海外で物を盗まれたのは、十年以上前にヤルツアンポーに行った時に中国の硬座列車で寝ていて眼鏡を盗まれた時以来である。とてもショックだ。しかも今回は滞在期間が短い予定なので、海外旅行保険にも入らなかった。くそ、保険に入っていたら新しいカメラを買えたのに。それにしもて昨日の話ではないが、どうも気が抜けたみたいになっている。カメラがないのは非常に困るが、買うのもバカらしい。しょうがないから通訳の澤田さんのを借りるしかない。

それに変圧器のことだが、澤田さんに訊くと、220ボルトなら別に変圧器がなくても大丈夫ですよと言われた。だが昨年、パソコンのACアダプターを間違って外付けHDにつなげて壊してしまった時のトラウマが残っていて、パソコンが壊れるといけないと思い、一応ショッピングモールに行って110ボルトの変圧器を購入した。

しかし帰ってきてよくよくパソコンのACアダプターをみると、入力が110~240ボルトになっている。そうだよな。今時、海外で使えないパソコンのACアダプターなんてあるわけがない。一体フィリピンに来て、いったい自分は何をしているのだろうと頭を抱えた。でもせっかくだから変圧器は使っている。全然意味はないが。

しかし取材の方は今のところ順調に行きそうな気配である。今日は地元ジャーナリストと、日系企業の関係者と会ったが、来る前に少し懸念していたイスラム過激派もゼネラルサントス周辺では特に活動はしていないという。

それに山下財宝の話とか、今回の取材とはまったく関係ないけど面白そうな話をいろいろ聞いてしまった。年をとって身体を使うような探検ができなくなったら、ここに来て山下財宝を探すのも悪くはない。

ちなみに何の取材をしているかというと、沖縄のあるマグロ漁師の漂流事故の話を取材している。掲載誌は小説新潮。来年に連載開始の予定で始めた取材だが、一体いつになるのか今のところ目途は立っていない。今回のフィリピン取材はこの取材がうまくいくかどうかの、かなり肝の部分になりそうな気がする。下らないことでドタバタしている場合ではないのだが。

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